深セン証券取引所の創業板への上場を目指している、福建遠翔新材料(301300/深セン)が8月5日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。1605万株を発行予定で、公募価格は36.15元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2006年設立の民営企業で、15年に株式会社化した。沈降シリカの研究開発、生産、販売を主業務としている。化学的不活性、化学製剤に対する安定性、ゴム製品の力学性能向上といった性質を持つことから、化学工業の充填剤としてタイヤ、靴、シリコンゴム、飼料、塗料、オーラルケア、日用品、医薬、電子製品、各種ケーブル、絶縁部品、自動車などさまざまな分野に広く利用されている。
 
 中国における沈降シリカの生産量は2009年の74万トンから19年には176万トンにまで増加した。20年には新型コロナの影響もあり163万トンまで減少したものの、今後も安定的な需要の増加が見込まれる。用途の約4割はタイヤであり、自動車の保有台数増加に加え、環境性能の向上を目的としてタイヤへの沈降シリカ使用量が増えていることから、タイヤ用材料としての沈降シリカ需要は今後もさらに強まりそうだ。また、中国産の沈降シリカは10年以降毎年40万トン前後が輸出され、主に欧州、韓国、ブラジル、東南アジアなどの国・地域で広く利用されている。
 
 また、同社製品が原料となり、電子製品やケーブル、自動車部品、日用品の材料として用いられる高温加硫シリコンゴム(HTV)の需要も安定的に伸びており、18年の16万7700トンから20年には19万8300トンに増加、25年には32万3400トンにまで需要が拡大すると予測されている。なお、2020年に中国における同社のHTV用シリカ市場シェアは26.98%だ。

 同社は自主開発による優れた生産技術、清華大学など学術・研究機関との協力による高い研究開発能力、長きに渡り安定した関係にある顧客リソースを持っていることなどを強みとする一方で、沈降シリカに特化しているために取り扱い製品が単一的であること、資金調達の手段が限られていることなどがボトルネックとなっている。また、主原料であるケイ酸ナトリウム、硫酸の価格変動に伴う利益率の低下、原料の調達先が少数のサプライヤーに限られていること、生産過程で大量消費する必要のあるエネルギー価格の上昇といった経営上のリスクが存在する。
 
 2021年12月期の売上高は4億495万元(前期比26.08%増)、純利益は7687万元(同17.15%増)。22年1〜6月期の売上高は1億8831万元(前年同期比2.63%減)、親会社の株主に帰属する純利益は3171万元(同21.45%減)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)