ドル円は大きく売られ、NYでは134円27銭まで下落。PMIなど、経済指標の悪化から米景気のリセッション入り観測が強まり、円が買われた。ユーロドルも小幅に売られ、ユーロ安ドル高が進む。1.05を割り込み、1.0491辺りまで下落。株式市場は3指数が揃って反発。ダウは194ドル高。S&P500は35ポイント上昇。債券は続伸。長期金利は一時3.0%台まで低下しドル売りにつながる。金は4日続落。原油も続落し、およそ1カ月半ぶりに104ドル台に。米景気の鈍化が原油需要の低下につながるとの見立て。

6月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)    →  52.4
6月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)  →  51.6
6月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値) →  51.2
米経常収支(1-3月)              →  -291.4b
米新規失業保険申請件数              →  22.9万件

ドル/円    134.27 ~ 135.59
ユーロ/ドル  1.0491 ~ 1.0554
ユーロ/円   141.39 ~ 142.43
NYダウ  +194.23 → 30,677.36ドル
GOLD    ―8.60 → 1,829.80ドル
WTI    ―1.92  → 104.27ドル
米10年国債 ―0.069 → 3.087%

【本日の注目イベント】

日 5月消費者物価指数
独 6月ifo景況感指数
米 6月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
米 5月新築住宅販売件数
米 デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演
米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演

昨日の朝方には136円台前半で推移していたドル円は、昨日1日だけで約2円の下落を見せるなど、依然として値幅の大きい荒っぽい動きです。NYでは、経済指標の下振れから、米景気のリセッション入りが速まっているのではないかと見方もあり、米長期金利が低下。久しぶりに「安全通貨としての円が見直された」格好になりました。

ただ昨日の日中にもドル円下落の予兆はありました。ドル円は昨日の昼前、135円台後半から135円13銭近辺まで急落する場面がありました。元財務官の中尾武彦氏がブルームバーグとのインタビューで「為替介入の可能性は排除できない」と述べ、そのヘッドラインにAIが反応しドル売りが進んだようです。ただ中尾氏は、協調介入の可能性については「難しい」と語っています。ドル円はその後135円80銭台まで戻しましたが、NYでは再び大きく売られました。6月のPMIが製造業、サービス業、さらにコンポジットも全て速報値から下方修正され特に、製造業は速報値の「57.0」から「52.4」と、大きく下方修正されています。同指数は「50」が景気の拡大か縮小の分かれ目であることから、かろうじて拡大を維持したといった状況です。また失業保険申請件数も「22.9万件」と、2月下旬以来の高水準でした。景気の下振れを示す数字が相次ぎ発表される中、労働市場については「極めて良好」と見られていますが、ここにもやや変化の兆しが見え始めたということかもしれません。この状況が続けば、FRBが急激な利上げを実施する必要性が低下し、インフレのピークアウトにつながる可能性があります。そのため、米長期金利が低下し、それを好感してナスダック指数など、株価の上昇につながった面があります。もっとも、景気の減速は株式市場にとっても「マイナス要因」ではありますが、足元の最大の関心が「インフレの抑制」にあることから、「プラス」と受け止められています。ドル円ロングの投資家にとっては悲しい結果でしたが、パウエル議長にとっては喜ばしい結果だったことでしょう。

ただこれでFOMCでの急激な利上げモードが鎮静化するわけでもありません。FRBのボウマン理事はマサチューセッツ州での講演で、「現在のインフレ指標を踏まえると、次の会合では75ベーシスポイントの利上げが、その後の会合では少なくとも50bpの利上げが適切になると見込んでいる。それは今後入手できるデータの裏付けがある限りだ」と述べています。これまでFRB執行部の中ではウォラー理事が最も「タカ派的」な発言を行ってきましたが、ボウマン理事は、条件付きとはいえ7月の会合で75ベーシスポイントの利上げを実施しても、その次の9月会合でも50bpの利上げに言及しています。仮に7月会合で75ベーシスポイント引き上げたとしても、9月ではそれまでの急激な利上げの効果を検証するとの見方を超えていました。FRB執行部の「タカ派化」が目立ってきています。パウエル議長は前日に続き、この日は下院金融委員会で証言を行いました。議長は、「労働市場はある意味、持続可能なほど熱気を帯びており、今の状況は米金融当局のインフレ目標からかけ離れている」と説明し、「物価安定を取り戻すこと、インフレ率を目標の2%に戻すことが真に求められている。それがなければ、最大限の雇用を持続的に一定期間達成することはできないからだ」と述べ、インフレ抑制への決意を述べたに留まっています。ただ、上でも述べたように、労働市場については極めて楽観的なスタンスであることは変わっていません。

FRBによる急激な利上げ観測は変わらないものの、今週に入ってNY株式市場はやや落ち着きを取り戻し、長期金利も低下傾向を見せています。引き続き経済指標の数字と、インフレ指標に注視しながらの展開です。日本の5月のCPIは「2.1%」と、2カ月連続で2%を超えていました。予想通り、日本でもジワジワとインフレが進行しており、どこかの時点で日銀に政策の修正を催促することになろうかと考えます。

本日のドル円は134円から135円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)