上海証券取引所の科創板への上場を目指している、海光信息技術(688401/上海)が8月3日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。3億株を発行予定で、公募価格は36元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2014年設立で、20年に株式会社化した。サーバー、ワークステーションなどのコンピューティング、ストレージ設備で利用されるハイエンドなプロセッサの研究開発、設計、販売を主業務としている。主な製品は汎用プロセッサ(CPU)、およびコプロセッサ(DCU)で、中国国内の情報産業発展に伴い、さまざまな型式のハイエンドプロセッサ製品を開発してきた。CPUは電気通信、金融、インターネット、教育、交通などの業界、分野で広く利用されており、DCUはビッグデータ処理、人工知能、商業コンピューティングなどに用いられている。
 
 世界のIC(集積回路)市場規模は2013年の2518億米ドルから18年には3933億ドルにまで成長したが、19年には世界の貿易摩擦の影響により3304億ドルまで落ち込んだ。しかし、20年には貿易摩擦の緩和、データセンター設備需要の増加、5Gサービス拡大、自動車のインテリジェント化などにより3612億ドルと再び成長に転じた。また、中国市場は13年の2509億元から毎年成長を続けており、20年には8848億元にまで到達。AI(人工知能)、ビッグデータ、5Gなどの新たな情報技術の成熟に伴い、今後も急速な市場拡大が見込まれている。

 さらに、同社のCPUの主な用途となっているサーバーについても、世界市場、中国市場ともに年々規模が拡大しており、特に中国ではx86サーバーの出荷数が2014年の177万9000台から20年にはおよそ2倍の343万9000台にまで増え、25年には525万2000台まで伸びると予測されている。これに伴いx86サーバー用CPUチップの出荷数も16年の490万5000個から20年には698万1000個まで増加し、25年には1066万2000個に達する見込みだ。中国でこれまで輸入製品に大きく依存してきた半導体製品を国産品に置き換える動きも、同社にとっては大きな追い風と言える。
 
 同社は国内をリードし、世界のトップクラスに匹敵する高性能なCPU、DUC製品を提供可能であること、2021年末現在で従業員数の約90%に当たる1031人の技術開発スタッフを有するなど高い研究開発力を備えていること、海外のリーディングカンパニーに比べて中国国内市場のニーズを細やかに把握し、対応できること、中国国内の著名サーバーメーカーを顧客に持っていることなどを強みとする一方で、海外のリーディングカンパニーに比べて技術的な蓄積、資産規模、研究開発投資規模といった点でなおも一定の差があること、ハイエンド人材のさらなる確保が必要であること、国内外のマーケティング体制がなおも不十分であることなどがボトルネックとなっている。
 
 また、開発段階で商品化に至っていない製品が多く、開発が失敗する可能性があること、同社が2019年に米国の輸出規制条例のエンティティリストに入ったこと、少数の顧客に売上が集中していること、同社の技術が米AMDの技術ライセンスに依存しており、米中貿易摩擦の激化によりライセンス契約の継続ができなくなる可能性があることなどが経営上のリスクとして存在する。
 
 2021年12月期の売上高は23億1041万元(前期比126.07%増)、純利益は4億3760万元(前期は8297万元の純損失)。22年1〜6月期の売上高は25億2973万元(前年同期比342.75%増)、純利益は6億8410万元(前年同期は9666万元の純損失)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)