ドル円は続落。昨日の東京の午前中から135円台半ばまで下げ、NYではGDPがマイナスだったこともあり134円20銭まで売られる。約1カ月ぶりの水準を記録。ユーロドルではドル安が進まず、1.01台前半から後半で推移。ユーロは対円で5月30日以来となる136円台半ばまで下落。株式市場は大幅に続伸。マイナスだったGDPを受け、積極的な利上げは回避できるとの見方から買いを集めた。債券にも見直し買いが入り、長期金利は2.67%台へと急低下。ドルが売られたことで金は大幅に反発。一方景気減速懸念から原油価格は反落。

4-6月GDP(速報値)  →  -0.9%
新規失業保険申請件数    →  25.6万件

ドル/円   134.20 ~ 135.75
ユーロ/ドル  1.0117 ~ 1.0199
ユーロ/円   136.37 ~ 137.42
NYダウ  +332.04 → 32,529.63ドル
GOLD   +31.70 → 1,769.20ドル
WTI     -0.84 → 96.42ドル
米10年国債 -0.109 → 2.676%

【本日の注目イベント】

豪 第2四半期生産者物価指数
日 7月東京都区部消費者物価指数
日 6月失業率
日 6月鉱工業生産
独 7月雇用統計
独 4-6月期GDP(速報値)
欧 ユーロ圏7月消費者物価指数(速報値)
欧 ユーロ圏4-6月期GDP(速報値)
英 6月消費者信用残高
米 6月個人所得
米 6月個人支出
米 6月PCEデフレータ   
米 6月PCEコアデフレータ
米 7月シカゴ購買部協会景気指数
米 7月ミシガン大学消費者マインド(確定値)
米 4-6月雇用コスト指数
米 企業決算 → エクソンモービル、P&G、シェブロン

FOMCの結果発表と、その後のパウエル議長の会見では思ったほど動かなかったドル円は昨日の東京時間10時過ぎから動き始め、NYでは134円20銭と、およそ1カ月ぶりの水準まで「ドル安円高」が進みました。昨日の東京時間で136円を一気に割り込んだ時からドルの下落はある程度想像できましたが結局、FOMC前の水準からは3円ほど動いたこととなり、結構な値幅です。やはり今年の夏は例年とは異なるようです。

この欄でも今週触れたように、ドルが売られるとすればざっくり3つのケースがあると考えていましたが、昨日はその一つが顕在化した格好です。米第2四半期GDPが「マイナス0.9%」と市場予想の「プラス0.4%」を下回り、これで「2四半期連続のマイナス成長」となったことで、教科書的には「リセッション」と捉えることができます。すでに予想されていたのか、バイデン大統領は「テクニカル・リセッション」は実際のリセッションとは異なると、強調していましたが、パウエル議長も前日の会見で「米経済がリセッションに陥っているとは考えていない」と述べていました。マイナス成長を受けてイエレン財務長官も、「経済がリセッションに陥っていることを証明するものではない」とし、「本当の意味でのリセッションとは、広範囲に及ぶ経済の弱まりだ」と説明し、「現在そういう状況は見られない」と、GDPの結果に対して「持論」を述べました。またイエレン氏は、「インフレ率が依然として高すぎ、これを下げることが政府の最優先事項だ」と指摘し、「消費者物価の伸びは、近いうちに低下する可能性が高い」と述べています。

著名な経済学者として大きな成果を残しており、FRB議長も経験しているイエレン氏の言葉はそれなりに説得力がありますが、今回だけはやや「ポジション・トーク」の可能性が高いとみています。ただこのような状況は想定されたことで、そのために短期間で急激な利上げを行ったわけです。心配されるのはマイナス成長に陥りながらも、物価上昇が止まらないケースです。FRBは連続利上げで経済活動を鈍化させることで物価上昇が抑制されると想定しているわけですが、ウクライナ情勢の長期化などからインフレが止まらない、いわゆる「スタグフレーション」に陥ることはFRBとしても避けたいところです。同じく昨日発表された週間失業保険申請件数も「25.6万件」と高水準で、前週分も「25.1万件」から「26.1万件」に下方修正されています。申請件数が「26万件」を超えるのは、手元のデータでは今年1月の第4週以来のこととなります。4月は17~18万件で推移していたことを考えると、好調な労働市場でもいずれその影響が出て来ることが予想されます。

バイデン大統領は中国の習近平主席と28日、電話会談を行いました。両首脳が直接言葉を交わすのは今年3月以来のこととなり、バイデン氏は習氏に対して、武力による台湾統一に警告を発した一方、台湾が正式に独立宣言を行うことは支持しないと伝えたようです。一方中国外務省は会談終了後に声明を発表し、「中国の国家主権と領土の一体性を断固として守ることが中国人民の意思だ」と主張し、「火遊びする者はやけどを負う」と、これまでの警告を繰り返しています。中国側の声明発表後にホワイトハウスも声明を発表しており、それによると、バイデン氏は習氏に対し、「台湾に関する米国の方針は変わっていない」とし、台湾海峡の現状を一方的に変更する取り組みには「強く反対する」との見解を繰り返しました。昨日の会談は2時間10分にも及んだようですが、ペロシ下院議長の台湾訪問に関しては議論されなかったようです。米国側の今回の声明には、過去の両首脳の会談後に盛り込まれていた「建設的だった」といった表現は見当たらなかった(ブルームバーグ)とされ、今回の会談では両国関係が依然厳しい状況であることを浮き彫りにした格好でした。

GDPの結果を受け、NY株式市場では3指数が前日に続き大きく上昇しました。マイナス成長で積極的な利上げが避けられるとの見立てで、金利上昇に弱い株式に買い戻しが入ったようですが、景気後退は企業業績の悪化にもつながり、株価の大幅上昇には疑問がつきます。単なるショートの買い戻しだったのでしょうか。債券も買われ、長期金利は一時2.64%台まで低下し、ドル売りの材料になっています。139円39銭の高値を付けてからこれで5円ほど下げ、この状況がこれまでと同じ「調整の範囲」と捉えるべきかはまだ何とも言えませんが、上昇トレンドが転換したとは判断できません。

本日のドル円は133円70銭~135円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)