ネット広告の効率性の象徴であった「リターゲティング広告」(過去にWEBサイトを訪問したことのあるユーザーに対して配信される追跡型の広告)が、追跡手段であるCookieの使用が厳しく制限されるようになってきたことで、多くの企業がネット広告戦略の抜本的な見直しを迫られている。ネット広告配信に強みを持つサイジニア <6031> は、グループ会社のデクワスを通じて新たな検索広告連動型広告ソリューション「デクワス.LISTING」の提供を開始した。同グループにおいてEC商品検索・サイト内検索エンジンを手掛けるZETAと、ネット広告事業を手掛けるデクワスが連携することで、リテールメディア上での効果的なリスティング広告を提供するもので、「3rd Party Cookie規制」への対応が迫られるネット広告の新たな広告手段として注目される。
 
 ネット広告のメリットとして一度でも商品やサービスの内容に触れた消費者に、繰り返して広告を配信し続ける「リターゲティング広告」の高い広告効果が注目されてきたが、世界的に広がる消費者のプライバシー保護の規制によって、消費者の行動履歴を消費者自身の許諾なく広告出稿者などの第三者に提供することが禁止されるようになってきている。これが「3rd Party Cookie規制」だ。消費者のWEB閲覧履歴や入力したデータ、利用環境等の情報を記録したファイルを「Cookie」というが、欧米などでは法律で「Cookieを利用する場合、必ずユーザーに許可を取らなければならない」と規制している。日本でも今年4月に施行された改正個人情報保護法において「提供先において個人データとなることが想定される情報の第三者提供について、本人同意が得られていること等の確認が義務付けられます」と定められた。

 従来のテレビや新聞等での広告が、一般多数に広く情報発信するマス広告の性格が強かったことに対し、ネット広告は「関心の高い消費者をターゲティングして出稿できる」という大きなメリットが付加されたことによって、テレビ・新聞・雑誌・ラジオといった従来の広告媒体を超える広告手段になった。しかし、スマートフォンの普及によって、ネット利用が日常的に行われるようになったため、極めて個人的な趣味・嗜好が反映されるネットの利用情報を「プライバシー」として保護する機運も高まってきた。「3rd Party Cookie規制」は世界的な潮流となり、米Apple社は標準ブラウザである「Safari」で「3rd Party Cookie」の使用を禁止するなど、大手のネット関連企業も独自の規制を強化している。

 このようにネット広告が大きな転換点にある中、新たな広告ソリューション「デクワス.LISTING」は、Amazonや楽天市場などに代表されるネットショッピングサイトの商品検索に連動した広告手法だ。グーグルなどの検索エンジンで検索されたワードに関連する広告を表示するリスティング広告(検索連動型広告)は、すでに大きな広告市場を獲得している。また、大手のネットショッピングサイトにおける商品検索に連動したリスティング広告は、インターネット検索に比べて消費者が非常に購買に近いステップにいるため、より広告効果が期待できるとして急速に普及している。米国では、ネット通販大手のAmazonがGoogleやFacebookに代わる広告媒体として注目され、小売り大手のウォルマートも広告ビジネスの拡大が注目されている。

 「デクワス.LISTING」は、EC商品検索・サイト内検索エンジン「ZETA SEARCH」を手掛けるZETA社と、ネット広告事業を手掛けるデクワスが連携することによってネットショッピングサイトで効果的なリスティング広告ソリューションを提供する。既に「ZETA SEARCH」は、ECサイトでの検索クエリ数が年間1000億クエリを超え、この中には潜在的にリテールメディアのリスティング広告在庫と紐づくキーワードがあることから、これを利用することでデクワスが配信する広告のコンバージョン効果は通常のリターゲティング広告に比べて高くなることが期待できるという。

 「デクワス.LISTING」は「ZETA SEARCH」以外のEC商品検索エンジンとの連携も可能。また、販売代理店向けのOEM提供なども行う計画があり、幅広くソリューションを提供していく意向だ。(写真は、「デクワス.LISTING」のロゴ。提供:サイジニアグループ)