深セン証券取引所の創業板への上場を目指している、重慶市紫建電子(301121/深セン)が7月28日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。1770万株を発行予定で、公募価格は27日に発表する。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2011年設立の民営企業で、19年に株式会社化した。コンシューマーエレクトロニクス製品向けのリチウムイオン電池製品の開発、設計、生産、販売を主業務としている。主に1000ミリアンペア時以下の製品を扱っており、ワイヤレスイヤホン、スマートウォッチやVR/ARゴーグルなどウェアラブルデバイス、スマートスピーカー、携帯式医療機器、ドライブレコーダーなどに利用されている。長年の技術、経験の蓄積により、華為科技、小米、OPPO、ハーマン、B&O、ゼンハイザー、Jabra、ソニー、LG、パナソニック、パイオニア、オーディオテクニカなど国内外の通信、オーディオ、IT関連企業が同社の製品を採用している。また日本のPSEをはじめ、中国、米国、WU、韓国、台湾、タイなど多くの国・地域の製品安全認証を取得済みだ。
 
 2021年における同社のTWS(完全ワイヤレス)イヤホン用電池の世界シェアは約11.18%となっており、19年の約8%から着実にシェアを伸ばしている。また、21年におけるウェアラブルデバイス用電池の世界シェアは約3.3%だ。
 
 世界のリチウムイオン電池市場規模はハイペースで拡大しており、出荷量は2013年の58ギガワット時から20年には295ギガワット時にまで増えた。そして25年には1196ギガワット時に達すると予測されている。また、リチウムイオン電池の3大供給国は日本、韓国、中国で、世界の約99%を生産しており、中でも中国が54.77%(2018年)と過半数を占めている。中国国内の生産量は15年の56ギガワット時から20年には188ギガワット時に増えた。
 
 同社が特化しているコンシューマーエレクトロニクス製品向けのリチウムイオン電池市場も、ワイヤレスイヤホンやウェアラブル端末など新たな製品分野が出現、成長したことで安定的に拡大しており、世界の出荷量は2018年の68ギガワット時から21年には84ギガワット時に増え、23年には95ギガワット時に達する見込みだ。また、中国の出荷量も31ギガワット時から42ギガワット時に増え、51ギガワット時に達するものとみられている。この分野のリチウムイオン電池は今後、軽薄化、小型化、安全性向上、急速充電といった方向性のもとで発展していくことになりそうだ。
 
 同社は2021年末時点で119件の特許を取得するなど高い技術力を持っていること、リチウムイオン電池技術の基礎研究を行う子会社を設立したほか、教育・研究機関との提携を積極的に進めるなど研究開発に力を入れていること、1000ミリアンペア時以下の小型コンシューマー製品向け電池に特化して他者との差別化を図っていること、幅広い分野で大手メーカーの顧客を数多く持っていること、開発から生産までを手掛けており高いカスタマイズ力を持っていることなどを強みとする。一方で、生産設備の自動化が途上であり生産効率に改善の余地があること、資金調達の手段が限られていることがボトルネックとなってきた。
 
 また、市場競争の激化、原料価格や人的コストの上昇とこれに伴う利益率の低下、期末の在庫評価額が流動資産の3割前後を占めていること、新型コロナの感染再拡大によるサプライチェーンの寸断や川下業界の需要減、業績悪化といった経営上のリスクが存在する。
  
 2021年12月期の売上高は7億9903万元(前期比25.12%増)、純利益は1億71万元(同14.48%減)。22年1〜3月期の売上高は1億5750万元(前年同期比3.17%減)、純利益は2342万元(同22.87%減)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)