深セン証券取引所のメインボードへの上場を目指している、深セン市徳明利技術(001309/深セン)が6月22日、新規上場(IPO)に向けた公募を開始する。2000万株を発行予定で、公募価格は26.54元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2008年に深セン市源微洪科技有限公司として設立した民営企業で、20年に株式会社化して現社名となった。IC(集積回路)の設計、研究開発、産業化を主業務とする国家ハイテク企業で、フラッシュメモリー主制御チップの設計、研究開発、メモリーモジュール製品応用プランの開発、最適化、メモリーモジュール製品の販売を主に手掛けている。主にファブレス方式を採用しており、製造は外部企業に委託している。メモリーカード、USBメモリー、SSD・HDDなどのメモリーモジュールを含み、コンシューマー電子、工業制御設備、家電、自動車電子、スマート家具、IoTなど、製品の応用分野は広範だ。
 
 また、マン・マシンインターフェース制御分野の開拓も進めており、現在までにタッチ制御チップの自主開発に成功し、6.5インチから21.5インチのディスプレイ用タッチ制御チップ製品を提供している。2021年の売上構成はメモリーカードモジュールが28.87%、SSD・HDDモジュールが22.13%、メモリー用ウエハ販売が18.49%などとなっている。19年までは香港を主とする中国本土外向けの販売が主体だったが、新型コロナの影響などにより20年以降は本土内外向けの販売がほぼ半々となった。
 
 メモリーカードやUSBメモリーといったモバイルメモリー製品の世界市場シェアは、2020年時点で3.09%(メモリー容量ベース)、6.07%(販売数量ベース)となっており、この分野では高い競争力を持っている。
 
 IC産業はコンピューター、インターネット、スマートフォン、デジタル画像、クラウドコンピューティング、ビッグデータ、AI(人工知能)などに広く応用されており、現代の日常生活において不可欠な存在である。世界の半導体市場規模は国際貿易摩擦の影響により2019年に一度縮小したものの、02年から21年までほぼ右肩上がりの成長を遂げており、1218億米ドルから4608億ドルと年平均6.88%のペースで拡大した。
 
 中でも中国市場の成長は著しく、20年には8848億元と02年の34倍にまで規模が拡大し、年平均成長率は世界平均を大きく上回る21.43%を記録。そのうち、04年には全体の14.95%にとどまっていたIC設計企業の割合は、20年には42.70%まで高まっており、半導体の製造主体からより高い技術、開発力が求められる半導体設計主体へと産業構造が変化しつつある。しかし、世界の先進国ではIC設計産業の割合がIC産業全体の60%近くを占めていることから、中国国内業界ではさらに「製造から設計へのシフト」が求められている。
 
 同社は高い技術力、充実した研究開発体制、産業チェーンを構成する企業と良好な関係を築いていること、中国におけるICの主要消費地である珠江デルタ地域に会社があることなどを強みとする一方、さらなる発展に向けた資金やハイエンド人材が不足し、資金調達手段が限られていることがボトルネックとなっている。また、技術の世代交代が頻繁に起こるため常に研究開発を進める必要があり、研究開発に失敗すれば業績に大きく影響する可能性があること、原材料であるNANDフラッシュメモリ用ウエハーの価格や供給量が不安定であることなどがリスクとして存在する。
 
 2021年12月期の売上高は10億7978万元(前期比29.36%増)、純利益は9816万元(同27.29%増)。22年1〜3月期の売上高は2億4799万元(前年同期比15.49%増)、純利益は1897万元(同11.38%増)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)