ドル円は大幅に続落。スイスと英国が利上げを行い、両通貨が対ドルで上昇したことから円も買われた。長期金利の低下も円買いにつながり、ドル円は131円49銭まで下落。ユーロドルも大きく動く。欧州では1.03台で推移していたが、ドル安の流れから1.06前後まで急反発。株式市場は大幅に反落。スイスと英国が利上げを実施したこともあり、リスク資産を手放す動きに。ダウは741ドル下げ3万ドルの大台を割り込む。ナスダックは4%を超える下落。債券は続伸し、長期金利は3.2%を割り込む。ドルが売られたことで、金と原油は大幅高。

5月住宅着工件数         → 154.9万件
5月建設許可件数         → 169.5万件
6月フィラデルフィア連銀景況指数 → -3.3
新規失業保険申請件数       → 22.9万件

ドル/円    131.49 ~ 133.00
ユーロ/ドル  1.0385 ~ 1.0601
ユーロ/円   137.93 ~ 139.96
NYダウ  -741.46 → 29,927.07ドル
GOLD   +30.30 → 1,849.90ドル
WTI     +2.27 → 117.58ドル
米10年国債 -0.089 → 3.195%

【本日の注目イベント】

日 日銀金融政策決定会合
日 黒田日銀総裁記者会見
欧 ユーロ圏5月消費者物価指数(改定値)
英 5月小売売上高
米 5月鉱工業生産
米 5月設備稼働率
米 5月景気先行総合指数

FOMCで0.75ポイントという大幅な利上げが行われましたが、その後のパウエル議長の柔軟な発言でひとまず落ち着きを取り戻したかに見えた金融市場でしたが、前日と一転して投資家心理が再び大きく悪化し、為替、株、債券などが大きな値動きを伴って動揺しています。スイス中銀が予想外の利上げを行い、イングランド銀行(BOE)も利上げを発表。BOEはこれで5会合連続の利上げとなり、ややサプライズの利上げを行ったスイス中銀はさらなる利上げも否定できないとのメッセージを残しています。

この影響もあり、前日の朝方には135円59銭まで上昇したドル円は、NYでは131円49銭まで急落しました。スイスフランやポンドが対ドルで上昇したことが、ドル円でも円を買う動きに波及し、さらに米長期金利の低下も円買いを後押しした模様です。また、本日行われる日銀の金融政策決定会合で、「何らかの動きがあるのではないか」といった観測が高まっていることもドル売り円買いにつながっています。ドル円はまる一日で4円11銭(3%)の下げを記録し、130円台に乗せてからは調整らしい調整が見られませんでしたが、ようやく今回の下げで適度な調整局面が見られたことになります。130円台を維持しているのであれば、まだドル高トレンドは変わっていないと考えますが、130円を大きく割り込むような事態になると、市場参加の相場観にも変化が出ると思われます。FRBは今後も、インフレのピークアウトが確認されるまでは粛々と利上げを実施していくと思われます。現時点では、政策金利が年末には3.5%近辺まで上昇すると予想されていることから、少なくとも年内残りの4回のFOMCで1.75%ほど利上げを行う必要があります。市場がこの辺りをどのように織り込むのか、今後のインフレ指標がますます重要になってきます。

昨日のNYではドル円だけではなく、多くの通貨が荒っぽい動きを見せました。1.03台半ばまで売られたユーロドルは1.06辺りまで反発し、スイスフランとポンドは利上げを好感して大きく上昇しています。金も大きく買われ、原油も2ドルを超える上昇でした。本日も日経平均株価は大幅な下げが予想されます。これまでのドル高局面ではほとんど見られなかった「リスク回避の円買い」も、ひょっとしたら「復活」するかもしれません。注目は日銀会合です。今週、10年債の利回りが上限の0.25%を超える場面があり、イールドカーブコントロール(YCC)の修正があるのではとの観測も台頭しています。黒田日銀総裁もこれまで「円安は日本経済全体でみればプラス」と述べており、「今後も粘り強く大規模な金融緩和策を続けていく」と、何度も繰り返していましたが、今週、「急激な円安は好ましくない」と、口調を変えています。「家計の値上げ許容度は高まっている」との発言で厳しい批判を浴びたことから、微妙に変化しているのでしょうか。

今年3月に金融緩和策から引き締めに舵を切り直したFRBは、3月の会合で25bpの利上げを行い、5月には50bp、そして今週は75bpの利上げを決め、引き締めの速度を強めています。パウエル議長は7月の会合でも「50bpか75bpの選択肢になる」とのメッセージを残しています。現時点ではFRBの積極的な引き締めスタンスは続くとみていますが、焦点は日銀の動きです。今朝のブルームバーグの報道では、仮に日銀が市場の圧力に屈して、政策転換によってYCC全体が100bp上振れした場合、日銀は29兆円の「含み損」を抱えることになると試算を伝えています。個人的には対象にしている10年債のオペの年限を7年など、短縮する方向で検討しているのではないかと予想しています。

本日のドル円は131円30銭~133円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)