上海証券取引所の科創板への上場を目指している、龍芯中科技(688047/上海)が6月15日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。4100万元を公募予定で、公募価格は60.06元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2008年設立の民営企業で、20年に株式会社化した。CPUおよび付帯半導体チップの研究開発、販売、サービスを主業務としている。主にファブレス方式を採用しており、製品の生産は外部企業に委託している。製品は主に情報化分野、工業用制御分野をターゲットとし、電子行政、エネルギー、交通、金融、電気通信、教育などの業界で広く利用されている。工業用制御分野では工業用PC、工業サーバー、工業用ストレージ設備、DCS(分散制御システム)、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)、スイッチングハブ、ルーター、ファイヤーウォール、エアギャップ、ネットワークモニタリング設備、データ暗号化通信設備などの製品に同社の半導体が使われている。
 
 2021年12月期の売上比率は、工業用制御系半導体チップが24.61%、情報化系半導体チップが54.71%、ソリューションプラン提供が20.68%。

 世界のIC(集積回路)設計業界は2019年時点で米国企業が55%のシェアを獲得して主導権を握っている。続いて韓国企業が21%、欧州企業が7%、台湾企業と日本企業が6%となっており、中国本土企業のシェアは5%にとどまっている。一方で、中国国内のIC設計市場規模は急速に拡大しており、15年の1325億元から20年には3倍近い3778億4000万元にまで増加した。市場規模の拡大に伴い、IC設計企業数も16年から急速に増え、15年の736社から20年には3倍以上の2218社にまで増えている。
 
 中国のCPU技術は米国をはじめとする海外の先進技術に比べるとなおも一定の差が存在するものの、知識や経験の蓄積、人材の充実、そして中国国内の半導体設計市場の拡大に伴ってその差を急速に縮めている。重要製品の国産製品置き換えの流れに乗って、同社を含む中国の半導体企業はさらなる市場拡大、成長に向けた大きなチャンスを迎えていると言えるだろう。
 
 同社は自主研究開発の蓄積による優れた技術力、中国の半導体企業としては非常に数少ない自主開発の命令セットアーキテクチャ(ISA)「LoongArch」を持ち、ライセンス供与ビジネスが可能であること、中国で最も早い時期に開発された汎用CPUの「龍芯」シリーズを有し、国内業界をリードする地位にあることなどを強みとしている。
 
 一方で、世界のハイエンド製品に比べるとCPUの性能でなおも一定の差があること、GPUやネットワーキングプロセッサなどの付帯ハードウェアの開発が不十分であること、提携しているソフトウェア企業の数が少ないこと、ファブレス生産方式を採用しているために生産セクションが製品の世代交代に追いつかない可能性があることなどがボトルネックだ。また、顧客が国有企業グループや大手民営ハイテク企業グループに集中していること、市場競争の激化といった業績リスクを抱えている。

 2021年12月期の売上高は12億125万元(前期比10.99%増)、純利益は2億3680万元(同229.82%増)。22年1〜3月期の売上高は1億8147万元(前年同期比37.08%減)、純利益は3642万元(同41.74%減)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)