上海証券取引所の科創板への上場を目指している、中航(成都)無人機系統(688297/上海)が6月15日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。1億3500万株を発行予定で、公募価格は32.35元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2007年に成都空天高技術産業基地として設立した国有企業で、11年に株式会社化、20年に現社名に変更した。軍事用ドローンシステムの設計、研究開発、生産、販売、サービスを主業務としている。翼幅10メートル以上の長時間飛行型大型固定翼ドローンに特化し、この分野におけるリーディングカンパニーである。翼竜−1、翼竜−1D、翼竜−2といった翼竜シリーズのドローンが主力製品であり、長い飛行時間、さまざまな制御モード、多様な偵察手段、さまざまな武器の搭載システムなどを備えている。
 
 製品は中国国内だけでなく「一帯一路」沿線国に輸出されており、2021年5月の米航空誌アビエーション・ウィークによれば、翼竜シリーズが世界の偵察・攻撃一体型ドローン市場シェア2位となっている。21年1月には国家国防科技工業局から「2019〜20年国防科技工業軍用品輸出先進機関」の称号を授与された。
 
 また、中国国内では軍事用以外に、国内初の大型ドローンによる人工降雨・降雪を実現したほか、国内初の大型ドローンによる緊急通信実践訓練に参加し、2021年7月に河南省で発生した豪雨災害では実際に緊急通信作業を担い、ライフラインの確保に貢献した。
 
 世界の軍事用ドローン市場規模は2019年に92億5300万ドル、20年に104億6700万ドルに達した。戦闘の情報化、昨今世界的に緊迫化している安全保障問題や領土紛争により、ドローンは低コストで国防力を高められる有効な手段として市場がますます拡大しており、28年には市場規模が147億9800万ドルにのぼり、19〜28年の年平均成長率が5.36%程度になるとみられている。中国はイスラエル、米国に次ぐ第3の軍事用ドローン輸出大国であり、世界市場の17%を占めている。
 
 さらに、中国の国防予算も年6.5〜10%とGDPを上回るペースで増加しており、22年の予算総額は1兆4500億元で前年比7.02%増となっている。国内外いずれにおいても、同社が手掛ける軍事用大型ドローンのニーズは今後ますます旺盛になりそうだ。
 
 同社はプラットフォームやシステムの設計技術、制御技術、テスト技術、保障技術など18項目の先進的な重要技術を掌握しているほか、ドローンAI実験室を設立して研究開発に取り組んでいること、数学、力学、機械工学、材料科学、情報通信工学、コンピューター科学など各分野に長けた優秀な人材チームを所有していること、「一帯一路」を中心とした広範な海外市場を開拓していることなどを強みとしている。

 一方で、製品が軍事用分野に大きく偏っており、民間用ドローン分野で一定規模の市場を確保できていないことがボトルネックだ。また、国際情勢の変化、中国政府の規制により輸出用製品は中国唯一の軍事用航空技術・製品輸出企業である中航技術進出口有限公司およびその子会社に卸さなければならないことなどが経営リスクとして存在しており、これらのリスクを低減するためにも民間用市場の開拓が不可欠だ。
 
 2021年12月期の売上高は24億7573万元(前期比103.41%増)、純利益は2億9573万元(同79.29%増)。22年1〜3月期の売上高は8億5635万元(前年同期比6.44%増)、純利益は1億3451万元(同23.35%減)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)