ドル円は株価の大幅安に伴うリスク回避の円買いと、CPIの上振れによる金利高が錯綜。133円52銭まで売られた後、134円台半ばまで値を戻す。ユーロドルは大幅に値を下げ、1.0506まで下落。株式市場は大幅続落。5月のCPIが予想を上回ったことから、FRBによる大幅な利上げ観測がさらに高まり、ダウは800ドル安。債券は大幅に続落。長期金利は3.17%台まで上昇。金は買われ、原油は続落。

5月消費者物価指数            →  1.0%
6月ミシガン大学消費者マインド(速報値) →  50.2
5月財政収支               →  -66.2b

ドル/円    133.52 ~ 134.48
ユーロ/ドル  1.0506 ~ 1.0586
ユーロ/円   140.80 ~ 141.86
NYダウ  ―880.00 → 31,392.79ドル
GOLD   +22.70 → 1,875.50ドル
WTI     ―0.84 → 120.67ドル
米10年国債 +0.114 → 3.156%

【本日の注目イベント】

英 4月鉱工業生産
英 4月貿易収支
米 下院特別委員会、議事堂襲撃事件公聴会

米国のインフレの高進はまだ続きそうです。5月の消費者物価指数(CPI)は市場予想の「8.2%」だけではなく、4月の「8.3%」を超える「8.6%」でした。また変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIも4月の「6.2%」を下回ったものの、市場予想の「5.9%」を上回る「6.2%」でした。(いずれも前年同月比)

今回のCPIに関して市場は、「インフレがピークに達して落ち着き始めているのでは」といった期待もあっただけに、インパクトがありました。欧州時間には133円台半ば近辺で推移していたドル円は再び134円台半ばまで押し上げられました。それ以上に動きの激しかったのがユーロドルでした。ユーロドルではドル高が進み、ユーロは2週間ぶりに1.05台前半まで売られました。株式市場ではさらに金利上昇を懸念する動きが加速し、ダウは880ドル下げ、ナスダックは3%を大きく超える下落でした。ダウの下落幅はここ2日間で1500ドルを超える大幅な下げになっています。債券は当然売られ、長期金利は1カ月ぶりに3.17%台まで上昇しましたが、ドル円の上昇は限定的でした。もっとも、本レポート執筆時の朝の早い時間には134円73銭近辺まで上昇し、直近のドルの高値を更新しています。

予想以上に高進するインフレに、市場は一段と警戒色を強めています。今週のFOMCと7月のFOMCでの0.5ポイントの利上げは既に「確定的」だと思われますが、今回の結果を受け9月会合でも0.5ポイントの利上げ幅を予想する声も高まってきました。さらに今週のFOMCでは0.5ポイントではなく、「0.75%引き上げる」との見方も浮上しています。サマーズ元財務長官はCNNの番組で、「インフレが現状ほど高く、失業率が今と同じほど低いと、必ずといっていいほど2年以内にリセッション入りする」と指摘し、インフレに関しては「FRBの予測はあまりに楽観的な傾向があり、問題の重大さを十分理解するよう期待している」と述べています。また、独アリアンツの首席顧問を務めるモハメド・エラリアン氏は「インフレ率はまだこれから悪化するだろうと私は懸念している。今のペースでいけば、9%になる可能性もある」と語っています。(ブルームバーグ)

CPIに加え、この日は6月のミシガン大学消費者マインドも発表されましたが、こちらもややサプライズでした。前月の「58.4」から急低下し「50.2」と、過去最低水準に落ち込んでいました。速報値であるため今後上方修正される可能性はありますが、インフレの高進が家計への打撃となっていることがうかがえます。実際、米国でのガソリンの平均小売価格は初めて「1ガロンあたり5ドル」を突破しています。車が日常生活の「足」となっている米国では、すでに夏のドライブシーズンに入っており、ガソリン価格の上昇は直接家計に大きな影響を与えていると報告されています。中間選挙まで半年余りを残すのみとなっており、インフレ阻止を「最優先課題」として掲げているバイデン大統領とパウエル議長への圧力はますます高まるとみられます。

本日は日本株も大きく売られそうです。リスク回避の円買いも若干見られるかもしれませんが、FRBによる大幅な利上げ観測がより材料視される可能性が高いと予想します。

本日の予想レンジは134円~135円50銭程度とみます。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)