ドル円は大きく続伸。米5月の雇用統計でNFPが市場予想を超えたことで、長期金利が上昇しドル高に。ドル円は130円98銭まで買われ、約1カ月ぶりの高値を付ける。ユーロドルは小幅に上昇し、1.07台で推移。ユーロ円は140円37銭まで上昇し、約7年ぶりの高値を記録。雇用統計の上振れに株価は3指数が揃って反落。ダウは348ドル下げ、S&P500も68ポイントの下落。債券は続落し、長期金利は2.93%台に上昇。金は反落。原油は続伸し、一時は120ドル台に乗せる。

5月失業率                    → 3.6%
5月非農業部門雇用者数              → 39.0万人
5月平均時給(前月比)              → 0.3%
5月平均時給(前年比)              → 5.2%
5月労働参加率                  → 62.3%
5月ISM非製造業景況指数            → 55.9
5月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)  → 53.4
5月S&PグローバルコンポジットPMI(改定値) → 53.6

ドル/円    130.08 ~ 130.98
ユーロ/ドル  1.0704 ~ 1.0751
ユーロ/円   139.52 ~ 140.37
NYダウ  -348.58 → 32,899.70ドル
GOLD   -21.20 → 1,850.20ドル
WTI     +2.00 → 118.87ドル
米10年国債 +0.026 → 2.933%

【本日の注目イベント】

日 黒田日銀総裁講演
中 5月財新サービス業PMI

分かりやすい相場展開でした。前日のADP雇用者の発表直後とは正反対の動きでした。ADP雇用者数が市場予想を下回ったことと反対に、雇用統計では非農業部門雇用者数(NFP)が市場予想を上回ったことで、FRBが積極的な利上げ姿勢を維持するとの見方から株価は大きく下げ、債券が売られました。金利上昇に伴いドル円は買われ、130円98銭までドル高が進み、5月9日に131円35銭という直近高値を記録した水準に迫りました。円は全面安の展開で、ユーロ円は140円37銭まで上昇。4月21日に付けた140円を抜き、2015年6月22日以来実に、7年ぶりとなるユーロ高を記録しました。また豪ドル円も94円台半ばを付けるなど「円独歩安」です。ECBが7月の会合で利上げを実施することはほぼ確実と見られ、RBAも追加利上げの可能性が高いとみられており、ドル円でドルが買われたことと同じように、「金利差」に着目した「円売り」がさらに強まっています。

5月のNFPは市場予想の「31.8万人」に対して、「39.0万人」と大幅に増加しており、4月分も速報値の「42.8万人」から、「43.6万人」に上方修正されました。賃金が幾分低下していることと併せ、企業は人手不足をやや解消しつつある状況が浮かび上がります。これでFRBにとって「雇用」というハードルを意識する必要がなくなり、インフレ阻止に全力を投入できるということになります。「良いニュースは、悪いニュース」といった言葉がNY株式市場では囁かれているようですが、良好な経済指標は、今回のように株式市場には逆風としてたちはだかります。先週は株式市場でも買い戻しが大きく進み、底値を確認した可能性もやや浮上しましたが、FRBの今後のスタンスを考えると、まだ試練は続きそうです。今回の雇用統計の結果を見て、あらためてADP雇用者数とは連動しないことが確認された格好でした。

5月の雇用統計の結果を受けてクリーブランド連銀のメスター総裁は、「雇用者数が前月より若干低いのは、良いことだと考えている。しかし、それがわれわれの見通しを変える、もしくは政策に対する私の見通しを変えるかどうか判断するのはまだ早すぎる」と述べながらも、「9月会合の時期に説得力ある証拠が確認できない場合、その会合でも50ベーシスポイント引き上げることは容易に支持し得る」と、CNBCとのインタビューで述べています。同総裁はまた「その決定を今下すべき理由はないが、50ベーシスであろうがなかろうが必要な行動を起こすというのが現時点での立場だ」と話しています。(ブルームバーグ)

メスター総裁は今年のFOMCでの投票権を持っており、6月、7月の会合での0.5ポイントの利上げを支持していますが、これで、セントルイス連銀のブラード総裁、FRBのウォラー理事についで、9月会合での大幅利上げを支持する「タカ派」が3人目となりました。現時点では、すでに「9月会合での利上げ見送り」の可能性は消えたと考えます。従ってドル円はいずれ上記直近高値を再度テストすると思われますが、ただ9月会合は20-21日に開催されます。それまで雇用統計の発表はまだ3回あります。市場は常に先読みし、過熱し、オーバーシュートする「習性」があることを考えると、今の状況を考慮してもドル円がこのまま135円を目指すかどうかは不明です。何回かの雇用統計やその他の重要な経済指標の結果を受け、再び「オーバーキル」が浮上し、ドル円が停滞することもないとは言えません。

レモンド商務長官は5日CNNとのインタビューで、40年ぶりの高いインフレを抑える方法として、一部の財に対する関税を撤廃することは「理にかなっているかもしれない」と述べています。長官は、「バイデン米大統領はこれを検討している」とし、「大統領は米国の家庭を助けると考えられる名案には、先入観を抱かず実行を検討する」と述べ、中国からの輸入品約3000億ドル(約39兆2640億円)に対する関税もその検討対象に入っている模様です。

本日のドル円は130円~131円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)