ドル円は前日のNYでの上昇を受け、130円24銭近辺まで上昇したものの買いは続かずその後下落。NYでは金利低下にドル売りが勝り129円52銭まで下落。ユーロドルはECBによる利上げが意識され反発。1.0750までユーロ高が進み、対円でも139円台半ばまで続伸。株式市場は3指数が揃って大幅に反発。ADP雇用者数が予想を大きく下回り、積極的な利上げが回避できるとの観測が高まる。債券はほぼ横ばい。長期金利は2.90%台で推移。金は大幅に続伸。原油価格も続伸し116ドル台に。

新規失業保険申請件数    →  20万件
5月ADP雇用者数     →  12.8万人
4月製造業受注       →  0.3%

ドル/円    129.52 ~ 130.04
ユーロ/ドル  1.0686 ~ 1.0750
ユーロ/円   138.55 ~ 139.60
NYダウ  +435.05 → 33,248.28ドル
GOLD   +22.70 → 1,871.40ドル.
WTI     +1.61 → 116.87ドル
米10年国債 +0.002 → 2.908%

【本日の注目イベント】

独   4月貿易収支
トルコ 5月消費者物価指数
独   5月サービス業PMI(改定値)
欧   ユーロ圏5月サービス業PMI(改定値)
欧   ユーロ圏4月小売売上高
英   ロンドン市場休場(プラチナ・ジュビリー・バンクホリデー)
米   5月雇用統計
米   5月ISM非製造業景況指数
米   5月S&Pグローバルサービス業PMI(改定値)
米   5月S&PグローバルコンポジットPMI(改定値)
米   ブレイナード・副議長講演

5月のADP雇用者数は、市場予想の「30万人」を大きく下回る「12.8万人」でした。昨日も述べたように、現時点では好調な経済指標が発表されると、景気減速を意図してFRBが大幅な利上げを実施し易いといった連想が働き、「株安、債券安、金利高、ドル高」に動くことが予想されます。従って予想を下回る結果が発表されると、その反対の動きが見られる可能性が高く、昨日のADP発表後は、「教科書通り」でした。5月の結果が市場予想を下回ったばかりではなく、4月分も下方修正されました。今回の結果は、労働力が限られる中で企業が引き続き人材確保に苦戦していることを示唆していると受け止められます。ただインフレ高進と貯蓄率の低下が重なり、今後数カ月で労働者の雇用市場復帰が増える可能性もありそうです。そうなれば、米金融当局にとって朗報となります。当局は労働参加の拡大が労働力需要を冷やし、ひいては賃金の伸びの鈍化とインフレ減速につながる可能性があるとみているからです。ブルームバーグは、今回のADP雇用者数の結果を「ほくそ笑むパウエル議長、片落とす労働者」というタイトルを付し、なかなか絶妙な言い回しで報じています。

ADP雇用者数の結果を受け、株式市場は大きく反発しました。特にナスダックは2.6%を超える大幅高でした。ユーロドルでユーロが買い戻されたことからドル円も129円52銭まで「ドル安」が見られました。ドル安が進んだことで代替品の金が買われ、金価格は22ドル高です。複雑な動きを見せたのがWTI原油価格です。OPECと非加盟国の主要産油国で構成する「OPECプラス」は、昨日の閣僚級会合で、石油供給を現行ペースに比べて50%拡大することで合意しました。ここ数カ月は日量43万2000バレルだったものを、7月と8月にはそれぞれ64万8000バレルに拡大することで一致しました。原油供給量が増えることで価格は下落すると考えるのが一般的ですが、WTI原油価格は前日比1ドル61セント上昇し、116ドル台後半で取引を終えています。市場は、米エネルギー情報局の「週間在庫統計」で原油在庫が減少していたことが示され、これにより強く反応したものと思われます。

FRB副議長に就任したばかりのブレイナード氏はCNBCとのインタビューで、「現時点でのデータに基づいて市場が6月と7月の50ベーシスポイント利上げを織り込んでいることは、妥当な道筋のようだというのが今の私の見方だ」と述べ、「休止するという可能性は、現時点では非常に低いと思われる。インフレを当局目標の2%に戻すためにやるべき仕事がまだ多く残っている」と語っています。市場はすでに6、7月の0.5ポイントの利上げは織り込んでいるため、この発言は特に気にする必要はありませんが、われわれが最も知りたい9月の会合での対応についてブレイナード氏は、「9月になった時点で当局はどうすべきかを判断するのは難しくなっている」といった発言に留めていました。

激しい戦闘が続くウクライナに対して米国は高度兵器供与の第一弾として、射程80キロの高機動ロケット砲「ハイマース」を提供すると発表しましたが、ゼレンスキー大統領はウクライナでは兵士が1日で100人も亡くなっていると述べるなど混迷が続いています。そんな中、フィンランドとスウェーデンがNATOに加盟申請したことに続き、デンマークも国民投票でEUの共通安全保障・防衛政策に参加する方針を固めました。地理的にはロシアに近いものの、長い間軍事的中立を維持してきた北欧3カ国は、ロシアの脅威に対する結束で欧州の傘下に入る動きを強めています。ロシアは今回のウクライナ侵攻で「寝ていた子を3人も起こした」ことになります。

今夜の雇用統計が予想を上回るかどうかで、ドル円の値位置も大きく変わります。本日のドル円は、129円~130円60銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)