米長期金利が上昇し、ドル円は再び128円台を回復。128円88銭まで買われ、クロス円でも円全面安の展開。ドル高の流れが強まる中、ユーロドルは小幅下落。5月のCPIが過去最高を記録したことで、大幅な利上げ観測も。株式市場は反落。ダウは7日ぶりに下落。インフレ懸念が再び強まり、3指数とも軟調な動きに。債券は大幅に下落。長期金利は2.84%台まで上昇。金は反落。原油は大幅に買われ、119ドル台を付けたがその後急落。「OPECプラス」が原油生産計画を従来通りで維持する可能性が高まったことで、取り引き終盤に売られた。

3月FHFA住宅価格指数         → 1.5%
3月ケース・シラ-住宅価格指数      → 21.17%
5月シカゴ購買部協会景気指数       → 60.3
5月コンファレンスボード消費者信頼感指数 → 106.4

ドル/円    128.20 ~ 128.88
ユーロ/ドル  1.0679 ~ 1.0746
ユーロ/円   137.27 ~ 138.23
NYダウ  -222.84 → 32,990.12ドル
GOLD    -8.90 → 1,848.40ドル
WTI     -0.40 → 114.67ドル
米10年国債 +0.106 → 2.844%

【本日の注目イベント】

豪 1-3月期GDP
中 5月財新製造業PMI
独 8月サービス業PMI(改定値)
欧 ユーロ圏5月製造業PMI(改定値)
欧 ユーロ圏4月失業率
米 5月S&Pグローバル製造業PMI(改定値)
米 5月ISM製造業景況指数
米 5月自動車販売台数
米 ベージュブック(地区連銀経済報告)
加 中銀政策金利発表
米 FRBはバランスシート縮小開始
米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、イベントで挨拶
米 ブラード・セントルイス連銀総裁講演

昨日のコメントで「相場のセンチメントが一夜にして変わったとは言いませんが、再びインフレ懸念が台頭してきた」と書きましたが、連休明けのNY市場ではまさにその流れが加速し、為替も株も、そして債券もほぼ予想通りの展開でした。高インフレは続くとの見方から、株価は3指数が揃って売られ、債券も大幅安。長期金利は前日の営業日から10ベーシスポイント以上も上昇し、ドル円は月曜日の朝方の水準からちょうど2円も円安が進みました。昨日は、ユーロ圏で5月のCPIが発表になり、こちらも前年同月比で「8.1%」の上昇。過去最高を記録したことで、政策金利の大幅引き上げ観測も台頭し、ドル高の流れの中ユーロドルは比較的堅調に推移しました。その結果ユーロ円は約5週間ぶりに138円台前半までユーロ高が進んでいます。

結局、主要通貨の中で円の金利だけが上昇しないことから、円全面安の展開となり、市場のセンチメントは4月中旬から下旬にかけて円が大きく売られた状況に戻って来たような雰囲気に変わってきました。前日FRBのウォラー理事が、「数回の会合でさらに50ベーシスポイントの引き締めを支持する」と述べ、「具体的にはインフレ率が当局の目標である2%に近づくまで沈静化しない限り、50bpの利上げを選択肢から排除しない」との考えを示したことに加え、WTI原油価格も110ドル台を大きく超えて上昇し、米国のインフレはそう簡単には収まらないといった見方が台頭してきたことが背景です。ただ現時点で、このままドル円が再び130円台を回復し、131円台を目指すのかどうかは不透明です。焦点は今後の米インフレ指標の動向と、それに対するFRBの利上げペースです。その意味では、昨日のバイデン大統領とパウエル議長、さらにはイエレン財務長官も参加しての3者会談は興味深いものでした。

バイデン大統領は昨日、ホワイトハウスにパウエル議長を迎えて異例の会談に臨みました。バイデン氏はFRBの独立性を尊重すると宣言すると同時に、11月の中間選挙を控えて問題化している数十年ぶりの高インフレについて、その責任をFRBに転嫁したと、ブルームバーグは報じています。バイデン氏は、「インフレに対応するのが私の計画だ。そのためにはまず単純な提案をしたい。FRBを尊重し、FRBの独立を尊重するということだ。私これまでそうしてきたし、これからもそう続ける」と述べました。今回の会談では、FRBの独立性を強調することにポイントが置かれた印象で、「インフレを阻止するため、最大限の努力を行って欲しい」といった、具体的な要請はなかった模様です。それでもブルームバーグは「その責任をFRBに転嫁した」と論じているのは、会談に先立ち、バイデン氏は30日のウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙に寄稿しており、その中で「FRBはインフレを抑制するという第一の責務がある」と指摘していることが挙げられます。また同時に、「前大統領はFRBの品位を傷つけた。高インフレの時期におけるFRBの決定に影響力を行使しようと、不適切な干渉を試みた大統領も過去にいた。私はそのようなことはしない」と述べ、トランプ氏との違いを強調しています。いずれにしても、バイデン氏が大統領に就任して3度目となった今回の会談は、パウエル議長にプレッシャーを与えたことは事実のようです。FRBとしては出来るだけ早い時期にインフレがピークを打った兆候を引き出す必要があり、今後のパウエル議長の発言にも注目したいところです。

ユーロ圏の5月のCPIは過去最高の「8.1%」でした。この発表を受け、ECBメンバーの中でも「タカ派」のドイツやオランダ中銀総裁などは0.5ポイントの利上げを主張するとみられていますが、ラガルドECB総裁は先週、7月と9月の会合でいずれも0.25ポイントの利上げを決定する可能性が高いことを示唆していました。ECB内部でも、今後のインフレに対する見方が分かれているようです。

再び円が売られ易い状況になってきましたが、ここからドルがジリジリと上昇できるのかどうか。それには9月の会合で少なくとも「利上げ見送り」と言った観測が消えることが必要です。

本日のドル円は128円~129円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)