アムンディ・ジャパンが設定・運用する「アムンディ・サステナブル・インカム・ファンド『愛称:みらい定期便』」は、2021年のトータルリターンが21.57%と、類似ファンド分類平均を12.75%上回り、類似ファンド分類内で上位4%(316本中第12位)の優れた運用成績となった。ファンド オブ ザ イヤー2021「バランス型」部門で優秀ファンド賞を受賞した。同ファンドの運用の実際と今後の展望について、同ファンドの実質的な運用を行っているアムンディ・アセットマネジメント・US・インクのシニア・マネージングディレクター 株式運用ヘッド ポートフォリオマネージャー 運用責任者のマルコ・ピロンディーニ氏と、アムンディ・ジャパンのマネージング・ディレクター 運用本部インベストメント・ソリューション部長の森山猛氏に聞いた。

 ――ファンドの特徴は?

マルコ 私たちがこのファンドの運用を開始したのは、特に、退職予定の方のインカムニーズに対し、従来の商品では十分ではないと実感したからです。投資家の退職に備えたポートフォリオでは、リスクとボラティリティの低減が重要です。しかし、近年は金利が非常に低い水準にあり、これまでのインカム収入では不十分です。時にマイナス金利になるなど、インフレ率を下回ります。

 私たちは株式や債券や収益性の高い証券など多様なエクスポージャーを通じ、優れたインカムフローをグローバルに生み出すことを目指します。

森山 人生100年時代に備え、特に退職を見据えた投資家の方々の資産運用ニーズに応えるために設計されたバランス型ファンドです。「使う楽しみ」が長く続くために設計された新しい分配金の仕組み、かつ、世界中のあらゆる資産から高利回り、かつ、割安な銘柄を発掘し、分配金を毎月お支払いして、分配金控除後の資産の成長も同時に目指すファンドとなっています。

 ――不安定な相場が続く中、好調なパフォーマンスになった要因は?

マルコ 私たちのポートフォリオは、世界の様々な資産クラスに分散投資しています。近年、世界は大きな事象に見舞われています。世界金融危機、新型コロナウイルス、ロシアのウクライナへの侵攻などです。中央銀行が毅然と対応する中、「みらい定期便」は厳しい環境をうまく乗り切ることができています。その鍵は柔軟な運用アプローチです。

 例えば、当ファンドの株式ポジションは、配当利回りが高く、安定的で成長性のある優良銘柄で構成されており、金融株とエネルギー株の比重が高くなっています。利回りの上昇やコモディティ価格の上昇から、それぞれ恩恵を受ける一方、債券は中央銀行の引き締めやインフレ圧力のリスクに直面しています。しかし、私たちは信用力や絶対的金利感応度の低さから、厳選された証券へのエクスポージャーは維持しています。

 また、株式市場の中でも過度なデュレーションの分野は避けています。ここ数年の金利低下環境から恩恵を受けていた分野です。配当は注目度が低いですが、投資の要点となります。今後のインフレ率はしばらくの間、かなり高い水準にとどまるでしょう。市場はまだ新しい現実への過渡期にあります。

森山 当ファンドは2019年8月に設定され、2020年のコロナショックなどのマーケットのクライシスを乗り越え、2022年3月末時点、基準価額は13,114円、純資産総額は約161億円になっています。これまでにお支払いした設定来分配金累計額は、1万口当たり税引前915円です。

 「みらい定期便」は、世界中のあらゆる株式や債券のみならず、資産担保証券、REIT(不動産投信)などのあらゆる資産の中から、割安で高利回りが期待できる資産に分散投資を行っています。ただ、市場環境は一定ではないため、その都度、注目すべき銘柄は変わります。アムンディグループのグローバルなリサーチ体制のもと、徹底した分析により、そのときに期待できるインカム資産、あるいは、割安であり値上がりが期待できる資産に機動的に分散投資を行っています。

 加えて、ポートフォリオの変動を一定の範囲内で低減すべく、株式先物によるヘッジやキャッシュを用いることによるポートフォリオ全体のヘッジを行っています。この徹底した分析に基づく銘柄選択、機動的な資産配分、ポートフォリオ全体のリスク管理、これが好調なパフォーマンスに繋がっていると自負しています。

 たとえば、2020年2月から3月にかけ、新型コロナウイルスの感染拡大によって、世界中の株式や社債市場が下落しました。当ファンドは、この感染拡大の影響が経済に及ぼす影響が不透明だったために、あらかじめ株式を一部売却して株式比率を低く抑え、キャッシュのポジションを高めに維持することにしていました。そのため、コロナショックによって世界株式は約30%下落、米国リート市場は約40%下落しましたが、当ファンドは20%以下の下落で収まりました。これはまさに当ファンドのリスク管理体制の効果であると考えています。

 その後、マーケットが反転する中では、3月後半以降は、増やしておいた現金を使って、売られて高利回りとなった債券や、割安となった株式に投資することによって、その後の反転上昇の恩恵を受けることができました。また、2022年は、インフレや金利上昇懸念を予想して、そういった不確実性を克服して、むしろ金利上昇によって恩恵を受けると考えられる金融やエネルギーなどのバリュー株の比率を上げて、逆に、債券のポジションを下げるという運用を行っています。また、株式先物によるヘッジポジションを増やすことによって、相場の下落にも備えています。

 ――当ファンドは、どのような投資家に適していると考えますか?

マルコ 当ファンドは好水準のインカムを求める投資家に適していると考えます。例えば、退職者や退職予定の方などです。投資家が直面する課題の1つは資産を使い果たさずに満足できる生活水準を退職後も維持することでしょう。ライフスタイルが改善され、退職後の人生が延びた現在、資金面の課題解決への需要は大きいとみています。

森山 老後の資産形成、また、資産運用しながらも原則として分配金を元本の取り崩さない程度の範囲内に抑えることで、受け取りながら使って楽しみたい方に選択していただけるファンだと思っています。まさに、人生100年時代を見据えた分配金の新しい仕組みを用い、使う楽しみが未来に長く続くように設計されたファンドとなっています。

 分配金の仕組みは、分配金を原則として投資対象の資産から期間中に受け取れる株式の配当や、債券の利息等の範囲内に抑えてお支払いするというスキームになっています。そのため、分配金の支払いによる元本の取り崩しや、投資資産の毀損を回避し、かつ分配金支払い後の投資資産の成長も同時に狙っていくような新しい発想を持つファンドとなっています。

 また、「みらい定期便」では、計画的に分配金を受け取りたいというお客様のニーズに応えるために、向こう6カ月間の目標とする分配金額を毎年1月と7月に公表しています。そして、その6カ月間の目標分配金額は変わることがありません。現在は、分配金額が35円です。最終的にお支払いする分配金は決算期に決まるものの、分配金支払い開始した当初から過去全ての期間において、目標分配金通りの分配金をお支払いしています。

 「みらい定期便」の主要投資対象となるファンドのポートフォリオ利回りは、2022年3月末時点で6.48%です。これは高配当株式や米国ハイ・イールド債の利回りと比較しても高い利回りとなっており、魅力的な水準になっています。これが、当ファンドが継続的に安定した利回りを提供できる源泉となっています。

 ――この先も継続して良い運用成果を上げていくための工夫は?

マルコ 多くの要因が株式や債券の価格に影響します。金融財政政策やインフレの他、地政学リスクやパンデミックが起こる中、私たちは常に規律あるバリュエーション・アプローチを行います。当商品は株式ファンドでも債券ファンドでもありません。ベンチマークにとらわれることなく魅力的なバリュエーションで取引されインカムを生む資産クラスを選定します。割高と思われる商品、市場、セクター(業種)、個別の株式や債券は、選択肢に含まれません。ベンチマーク志向のファンドならインカムの可能性、リスク、競争力、特性などに対する独自の評価は難しいでしょう。最終的には「リスクレベルに見合う対価を得られるか」が、重要になってきます。

森山 市場環境は一定ではありません。その都度、環境に応じた機動的な資産配分が最も重要だと我々は考えています。2022年に入り、市場はインフレや金利上昇の懸念から調整しています。当ファンドは早い段階から、市場よりも高いインフレを予想しておりましたので、それに備えて、インフレや金利上昇から恩恵を受けると考えられる金融やエネルギーなどのバリュー株、また、魅力的なバリエーション、利回りが期待できるような資産や、セクター、地域への分散投資によるポートフォリオ構築を行っています。

 ――最後に、投資家の皆様へのメッセージをお願いします。

マルコ 今、世界市場は劇的な変化の中にあります。各国で財政・金融政策が大きく転換しており、地政学リスクも現れているのです。従来は、株式60対債券40のバランス型ポートフォリオが解決策とされてきました。しかし、緩やかで世界的な“再開”に地政学的な緊張による影響が加わり、マクロ経済情勢の大きな変化が起こっています。財政と金融の両政策による大規模な刺激策が取られた結果でしょう。

 こうした全ての影響から、インフレ率が長期的により高い水準になることが予想されます。世界の金利は反応し始めており、ボラティリティが高まる可能性があります。伝統的な60対40のアプローチが理想的ではないことが判明するかもしれません。より柔軟な商品への新たな考え方が求められます。「みらい定期便」は自由度が高く特定のベンチマークにとらわれず、広い分散を目指せるという点で他と異なるポートフォリオなのです。私たちは高いインカム、リスクの抑制、堅調なリターンへの可能性という最適な組み合わせを持つ資産クラスで最大限の分散を効かせたポートフォリオを構築します。

森山 人生100年時代においては、資産運用を活用して、お金にも一緒に長生きしてもらいつつ定期的に運用の果実を受け取ることで、より豊かで彩りある人生を楽しむことができるかもしれません。私共は、バランスよく資産を運用し、サステナブルかつ安定的に受け取る楽しみをお届けするべく、これからもみらい定期便の運用に尽力して参ります。
「みらい定期便」が、みなさまの資産形成の一助となれば幸いです。
※「みらい定期便」はアムンディ・ジャパンの登録商標です。(グラフは、「みらい定期便」設定来のパフォーマンス推移)(情報提供:モーニングスター社)