上値の重い展開が続いていたドル円は126円37銭まで急落。米長期金利の低下や株安など、外部環境の悪化に節目の127円を割り込んだことから円を買い戻す動きが加速。ユーロドルでもドル安の流れが続き、ユーロは5週間ぶりに1.0748まで続伸。株式市場ではダウが3日続伸したものの、ハイテク株が大きく売られた。ナスダックは270ポイント下げ、年初来安値を更新。債券は続伸し、長期金利は2.75%台と、約1カ月ぶりの水準まで低下。金は続伸し、原油は小幅安。

5月S&Pグローバル製造業PMI(速報値)    → 57.5
5月S&Pグローバルサービス業PMI(速報値)  → 53.5
5月S&PグローバルコンポジットPMI(速報値) → 53.8
5月リッチモンド連銀製造業景況指数        → -9
4月新築住宅販売件数               → 59.1万件

ドル/円    126.37 ~ 127.46
ユーロ/ドル  1.0696 ~ 1.0748
ユーロ/円   135.54 ~ 136.53
NYダウ   +48.38 → 31,928.62ドル
GOLD   +17.60 → 1,865.40ドル.
WTI     -0.52 → 109.77ドル
米10年国債 -0.101 → 2.751%

【本日の注目イベント】

日 3月景気先行指数(CI)(改定値)
日 黒田日銀総裁講演(オンライン)
独 6月GFK消費者信頼感
独 1-3月期GDP(改定値)
欧 ECB金融安定報告
米 4月耐久財受注
米 FOMC議事録(5月3-4日分)

やはりと言うか、ついにと言うか、上値の重かったドル円はこれまでサポートとして機能してきた127円前後を割り込むと売りが加速し、126円37銭までドル安が進みました。この水準は4月18日以来ということになりますが、外部環境の悪化がドル売りにつながった側面があろうかと思います。

先ずは株価の大幅下落です。ダウは小幅に上昇し3日続伸したものの、無残なのはハイテク銘柄の多いナスダック指数です。アップルなど、いわゆる「GAFA」が大きく売られ270ポイントの大幅安で引けています。通常、ナスダック指数は金利上昇に対しては弱い部分がありますが、この日は米長期金利は約1カ月ぶりとなる低水準を付けています。因みに、何かと話題の多いイーロン・マスク氏率いるテスラ株は、昨年11月のピークからほぼ半分になっています。もっとも、同氏は納税のためや、ツイッター買収資金確保のため、いい水準でかなりの株数を売却してはいますが・・・。さらに見逃せないのが、ユーロドルの動きです。2週間前には1.03台半ばまでユーロ安が進みましたが、そこから400ポイント程反発し、昨日は1.0748までユーロ高が進んでいます。ユーロドルでユーロ高が進んだ影響から円買いが加速したとも言えそうです。

FRBは積極的に利上げを進める可能性が高く、しかもその過程で景気減速や株価の大幅下落などの「痛み」は想定内との立場を明らかにしています。インフレ阻止を最重要課題にしているFRBは、インフレ率の上昇が止まり、低下傾向を見せるまでは今のスタンスを維持するものとみられ、株式市場にとっては逆風が続きます。ただ、それは債券市場にとっても同じことで、今後金利がさらに上昇するとすれば債券は売られ、金利が上昇することになります。これが4月の下旬から5月の初旬まで見られた現象で、5月9日に米長期金利は3.2%まで上昇しました。

株式と債券の大きな違いは、3.2%でその債券を購入すれば、「発行元が破綻しない限り償還まで3.2%のクーポンが保証される」点です。この場合、発行元は米財務省、すなわち米国政府ということになり、原則、破綻は考えられません。日本の機関投資家、とりわけ生保は契約者にコミットしている「予定利率」との兼ね合いで、十分ペイするとすれば、10年債や30年債などを購入することで、それ以降の金利変動リスクを「ロック」することができます。生保会社にとって、顧客との保険契約は「負債」であり、それを長期国債という「資産」を購入することでヘッジ出来ることから、金利上昇局面のどこかで債券を購入する機会を常に窺っており、債券への投資は非常に有効な手段の一つになります。

ブルームバーグよると、米ゴールドマンとBOAのストラテジストは、「米金融当局が金融引き締めを示唆するまで、米国株はさらに下落する可能性がある」と指摘していると報じ、一方債券については「ウォール街、米国債買いを再開・・・最悪過ぎ、安全とみるベテラン」といった見出しの記事を掲載しています。記事では、「多くの悪いニュースが織り込み済みの段階に来つつある」とし、10年債利回りが3%余りでピークとなった2013年と18年に環境が似ていると分析。「現金を減らして米国債を買っている」といった、Tロウ・プライス・インベストメントの投資戦略者のコメントを紹介しています。また世界最大の運用会社であるブラックロックの担当者なども同じスタンスだと紹介し、「インフレが依然40年ぶりの高水準にありFRBの積極的利上げサイクルもまだ初期にある今、底を打ったという人はほとんどいないが、利回りが今年に入って大幅に上昇し10年債ではほぼ2倍になっている状況は過去の買い場を連想させる」と、記事は結んでいます。

「米長期金利は3.5%まで上昇し、ドル円は135円台を目指す」と、多くの市場関係者が口を揃えた4月頃のセンチメントとは明らかに異なってきました。ただ、今のこの市場のセンチメントもこの先またどうなるのかは不透明です。相場というものはやはり簡単ではありません。

ECBは7月利上げに向って着々と準備を進めているようです。ラガルドECB総裁は24日、ユーロ圏の金融政策は「転換点」に至ったとして、7-9月末までにマイナス金利を脱するとの認識を改めて示しました。ただそれでも、緩和引き締めを急ぎはしないと強調しています。またフランス中銀のビルドワドガロー総裁も、0.5ポイント利上げのコンセンサスはないと述べています。ビルドワドガロー総裁は、「0.5ポイント利上げは現時点でECBのコンセンサスに含まれていない。これを明白にしておく」と述べ、「金融政策の正常化であって引き締めではない。利上げは漸進的なものになる」と、ダボス会議後のインタビューで語っています。ECBもいよいよ「金融正常化」に向けて一歩踏み出すようです。

本日のドル円は126円~127円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)