ドル円は朝方の130円台から急落。東京時間夕方には129円台を割りこみ、NYでは長期金利の低下もあり一気に127円54銭までドル安に。ユーロドルではドル高ユーロ安が進み、一時はおよそ4年半ぶりとなる1.0354まで売られる。ユーロは対円でも132円台半ばまで続落。株式市場はまちまちながら反転の兆しが見えない展開。ナスダックはかろうじてプラスを維持したものの、ダウは6日続落。債券は続伸。長期金利は2.84%台まで低下。金は反落し、原油は続伸。

新規失業保険申請件数 → 20.3万件
4月生産者物価指数  → 0.5%

ドル/円    127.54 ~ 128.74
ユーロ/ドル  1.0354 ~ 1.0438
ユーロ/円   132.68 ~ 134.13
NYダウ  -103.81 → 31,730.30ドル
GOLD   -29.10 → 1,824.60ドル
WTI     +0.42 → 106.13ドル
米10年国債 -0.067 → 2.848%

【本日の注目イベント】

欧 ユーロ圏3月鉱工業生産
米 4月輸入物価指数
米 5月ミシガン大学消費者マインド(速報値)
米 カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁、討論会に参加
米 メスター・クリーブランド連銀総裁講演

「安全通貨の円復活?」

ドル円は130円台から急落し、NYでは127円54銭まで売られ、昨日1日の値幅は2円50銭以上と、大幅にドル安円高が進みました。昨日のこの欄でも、「4時間足」の雲の下限を割り込むと「市場のセンチメントも変わる可能性がある」と記述しましたが、ドル円には久しぶりの「大幅な調整」が見られた格好です。今週月曜日には131円35銭までドルが買われましたので、高値からは「およそ4円の調整」ということになります。円が買われた最大の要因はもちろん米長期金利の低下にありますが、加えて株価の下げが止まらず、資金が株から債券にシフトしつつあることも指摘されています。ウクライナでの戦争が長期化するとの観測から、多くの資源でロシアへの依存度の大きいユーロ圏の景気悪化が、ユーロから円に資金が向かっているとの声もあります。ユーロ円は3月24日以来となる132円台半ばまで、こちらも急落しています。もっとも、ドル円が2円以上売られれば、全てのクロス円が下がることはいつもの事ですがさらに、厳しい行動制限を敷いている中国の成長鈍化も懸念材料です。

毎朝チェックしているブルームバーグの「DAYBREAK」では、「約2カ月におよんだ円安基調は終わりを迎えたのかもしれない。中国の成長鈍化と米利上げに伴う米景気減速の見通しで、避難先通貨としての需要が増している」とのコメントが目を引きました。個人的にはまだその局面とは思っていません。相場の基本である「日足」チャートでは、ローソク足が短期の「転換線」を下抜けしていますが、昨日の大幅な下げでも「基準線」でしっかりと下げ止まっています。その他にも、「順目」に並んでいる移動平均線に変化はありません。また「MACD」ではデッドクロスを見せてはいますが、依然として「プラス圏」の高い位置にいます。もちろん今後の展開次第では上記シグナルがドル売りに変化する可能性もあるため、慎重な対応が必要であることは言うまでもありませんが、今回の「調整」がこれまでのドル高基調の中でも何度か見られたような「単なる調整」に過ぎないのか、あるいはブルームバーグの記事にもあったように「円安基調が終わりを迎えたのか」を、しっかりと見極めて行かなければなりません。

米上院は12日、パウエル議長の再任を、賛成80、反対19という圧倒的多数で承認しました。パウエル議長は米公共ラジオNPRの番組で、0.75ポイントの利上げは既に検討から外したのか問われ、当局はそうした動きを「積極的に検討していない」と、先週のFOMC後の会見で述べた言葉を繰り返していましたが、同時に、「経済がほぼ予想通りに推移した場合、今後2回の会合では0.5ポイントの追加利上げが適切だろう」と答えています。またサンフランシスコ連銀のデーリー総裁もブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、「50ベーシスポイントずつの利上げは私にとってかなり理にかなうもので、現時点の経済には向こう数回の会合でそれを休止する理由は見当たらない」と語っています。ただ、0.75ポイントの利上げについては、「第一に考えられているものではない」と、否定的な考えを示しています。

そうした中、4月の生産者物価(PPI)が発表されました。総合PPIは前年同月比「11.0%」と、市場予想を上回り、3月分も「11.5%」(速報値は11.2%)に上方修正されました。またコアPPIも前年同月比で「8.8%」上昇しており、生産者は引き続きコスト上昇に見舞われる可能性が高く、今後消費者への価格転嫁が進む可能性が高いとみられます。4月の消費者物価指数(CPI)の上昇率はやや鈍化していましたが、今後しばらくは高止まりする公算が高いと予想されます。

上述のように、ドル円は大きな値動きが続いています。今朝は既にNYの底値からは1円以上も反発していますが、昨日の今日ということもあり上値は重いと思われます。ただ連日大きく下げている株価が急反発すれば、ややドル高に振れるかもしれません。

本日のドル円は127円70銭~129円20銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)