モーニングスター <4765> は4月26日、2022年3月期の通期決算を発表した。売上高は81.23億円(前期比8.5%増)、営業利益21.29億円(同20.6%増)、経常利益24.03億円(同11.5%増)、当期利益14.54億円(同10.3%増)となり、売上高および全ての利益項目で過去最高を更新した。売上高は10期連続の増収、経常利益と当期利益は13期連続の増益になった。期末配当を9円(同0.5円増)とし、中間配当と合わせて年間17円(同1円増)とし、13期連続の増配を実施する。同日に決算説明会を開催し、同社代表取締役社長の朝倉智也氏(写真)は、「13期連続増益のスタート時(2009年3月末)から2022年4月14日までの配当込み株価は約8.6倍(年率17.6%成長)になり、長期で大きなトータルリターンをお返しできた。株式を長期に保有していただき、毎期コツコツ伸びる業績や株主還元にご期待いただきたい」と語っていた。

 同社の部門別売上高は、アセットマネジメント部門が傘下の運用子会社4社の「SBIアセットマネジメント」「CARRET Asset Management」「SBIボンド・インベストメント・マネジメント」「SBI地方創生アセットマネジメント」が揃って2ケタの増収を実現。中でも、「SBI地方創生アセットマネジメント」は51.5%増収と大きく伸びた。そして、ファイナンシャル・サービス部門は前期にコロナ禍の影響で落ち込んだものの、今期はセミナー関連が56.5%増の増収、WEB広告が2.1倍増収になるなど大幅に回復した。この結果、アセットマネジメント事業の営業利益は前期比42.1%増の15.57億円、ファイナンシャル・サービス事業は昨年7月に売却したゴメス事業部の剥落などのために部門の営業利益は14.5%減益の5.72億円となったが、セミナー事業やタブレット向けデータサービスなど既存ビジネスは前期比19.8%増益と回復した。

 また、四半期(3カ月間)の連結営業利益は、4四半期全てで前年同期比2ケタの増益を達成し、中でも第4四半期(2022年1-3月期)は前年同期比28.3%増の6.16億円となり、四半期ベースで過去最高の営業利益を記録した。

 今期に大きく伸びた「SBIボンド」と「SBI地方創生」は、主に金融機関向けの私募投信の提供で残高を伸ばしている。両社を合わせた私募投信残高は、22年3月末に2兆859億円と21年3月末と比べて10.5%増となった。主に運用を受託している地域金融機関の有価証券運用は、有価証券運用として保有する89兆円(2021年度中間期)のうち58.4%に相当する52兆円が利回りの低い円債(国債・地方債・社債)であり、これを海外債券等に振り向けることで利回りを向上させることが課題になっている。21年度は海外金利が上昇傾向になったため、20年度に運用の中心だった海外の地方債や州債から国債へのシフトが進み、運用資産の構成がバランスよくなったという。今後も引き続き、地域金融機関の有価証券運用が円債から海外資産等へのシフトが進む見通しで、「SBIボンド」や「SBI地方創生」の残高増が期待されるとした。

 さらに、今後の注力分野として、米国PIMCOとのジョイントベンチャーである「SBIボンド」、また、地方銀行39行の出資を受ける「SBI地方創生」などの成功事例に並ぶようなジョイントベンチャーの設立や、米「CARRET Asset」の成長にあるような海外運用会社の買収も検討しているとした。これら新しい運用会社のグループ化は、新しい運用商品の品揃え拡充にもつながる。朝倉氏は、「20年7月に設定した『SBI-ピクテ アジア・ハイテクベンチャー・ファンド』による未公開企業への投資、あるいは、22年2月に匿名組合として設定した国内初の『暗号資産ファンド』などの新しい投資商品は、資産の分散につながる一方、新しい投資家の運用ニーズを実現し投資家層を広げるという意味でも価値がある。今後、ジョイントベンチャーの設立や買収なども検討しながら、新しい運用商品の開発を進めていきたい」と語っていた。

 そして、SBIグループが強力に推進する「デジタル・スペース」において「次世代のデジタルアセットを含む総合金融サイトを構築していきたい」という目標を掲げた。既存の株式(株式新聞)や投資信託・ETF(モーニングスター)、為替・FX(SBI FXトレード)などに加え、暗号資産やセキュリティー・トークン、NFT(ノン-ファンジャブル トークン)など次世代の運用商品の情報を提供し、メタバース上でオンラインセミナーなどを通じて情報発信や投資アドバイスを行うようなサービスを展望している。「長期・分散・積立投資による堅実な資産形成の普及と同時に、面白くてわくわくするような投資も投資家層のすそ野を広げるには大切な要素になる」(朝倉氏)として新しい運用商品の開発や紹介にも力を入れていきたいと語っていた。