「アライアンス・バーンスタイン・米国成長株投信Dコース毎月決算型(為替ヘッジなし)予想分配金提示型」は、純資産総額が1兆8500億円を超え、国内公募投信(ETF除く)で最大のファンドになり、なお、業界で最大クラスの資金流入が続いている。しかし、アライアンス・バーンスタインには、同じように旗艦といえる成長株ファンドがある。国内での歴史は「米国成長株投信」よりも長い「アライアンス・バーンスタイン・グローバル・グロース・オポチュニティーズ」(愛称:GGO)だ。2021年11月に「予想分配金提示型」の新コースが設定されたが、オリジナルの「年2回決算型」は1998年7月に設定されている。アライアンス・バーンスタインの執行役員運用戦略部長の岡田章昌氏(写真)に両ファンドの違いと、2つのファンドを提供している意味、また、活用方法について聞いた。

 「米国成長株投信」と「GGO」について、ともに「成長株(グロース)」に投資するファンドでありながら「明確な違いがある」と岡田氏は語る。「ともに持続的な成長が期待できる成長株に厳選投資するファンドでありながら、2つのファンドで銘柄選定プロセスは大きく異なるため、それぞれのファンドの特性に応じて使い分けていただきたい」とする。

 まず、アライアンス・バーンスタインが運用する成長株投資ファンドとして両ファンドの共通点は、「しっかり利益が出ていて、持続的に成長が期待できる企業に厳選投資する」という点だ。3年先、5年先までの業績見通しを予測した上で、そこで実現が見込まれる利益に対して現在の株価に割高感がないかということを吟味した上で投資している。成長期待が強くあっても株価が先取りして上昇してしまっている銘柄には投資しない。これによって、成長株投資にとって逆風になりやすい金利上昇局面でも株価の調整安でポートフォリオが大きな含み損を抱えるような投資リスクを回避している。

 一方、投資対象(ユニバース)や銘柄選定プロセスは大きく異なる。「グローバルな分散投資として両ファンドを同時に保有することも合理的といえるほど、両ファンドの組入銘柄はほとんど重なりません」(岡田氏)という。

 銘柄選定のプロセスは、「米国成長株投信」の場合、独自の優れたビジネスモデルを持ち、既存ビジネスで得た収益を再投資することによって、持続的な成長が可能な企業をピックアップしている。優れたビジネスモデルのある企業は、生み出したキャッシュフローを再投資することで成長を持続することができるため、景気の動向など外部環境に左右されることなく継続的な成長が可能だ。投資対象を米国株式に限定していることもあり、優れたビジネスモデルを確立している限られた企業群を個別に調査し、成長性を見極めている。

 「GGO」は、新興国を含む世界の株式を投資対象とし、今後10年から20年という長期にわたる産業や技術の変化を見通して成長の投資機会(グロース・オポチュニティーズ)をトップダウンで探す。そして、高い成長機会のある銘柄群の中から、ボトムアップによってより確かな成長が期待できる銘柄を特定するという方法を取る。トップダウンとボトムアップの融合によって投資銘柄を厳選している。そして、2015年9月に国連が2030年までの世界共通の目標として「SDGs」(持続可能な開発目標)を打ち出したことをきっかけに「世界共通の目標であるSDGsが2020年代の最大の成長機会」と捉え、2017年4月からSDGsに関連する「気候」「健康」「エンパワーメント」という3つの大きな社会課題の解決に取り組む企業群にフォーカスしている。

 このように2つのファンドの銘柄選定のプロセスが異なるため、運用しているポートフォリオの構成も大きく異なる。「米国成長株投信」は、結果的に大型株が中心となり、組入上位銘柄への投資比率は1銘柄あたり最大で8~9%にもなり、上位10銘柄で全体の40%以上を占めるほど集中の度合いが強い。「GGO」は組入のトップでも投資比率は3%前後で、上位10銘柄を合わせても全体の25%程度に過ぎない。しかも、新興国市場も対象にし、大きな成長が期待できる中小型銘柄も組み入れている。

 2ファンドの具体的な組入銘柄を調べると、「米国成長株投信」が組み入れている銘柄は、全世界株式インデックスである「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」の組入上位銘柄と多くが重なる。世界的な時価総額上位銘柄は米国企業が多いためだ。「米国成長株投信」の組入れ上位10銘柄(22年3月末)である『アルファベット』『マイクロソフト』『アマゾン』『ユナイテッドヘルス』『エヌビディア』などは、「MSCI ACWI」の組入上位10銘柄に重なる。一方、「GGO」と「MSCI ACWI」を比較すると、上位10銘柄で重なっているのは、「MSCI ACWI」で組入筆頭の『アップル』が「GGO」では第8位にあるくらいだ。「GGO」が組入筆頭にしている廃棄物管理環境サービスの『ウエイスト・マネジメント』や第2位の風力発電機メーカー『ベスタス・ウィンド・システムズ』など気候変動対策に貢献する企業に注目するという発想は「MSCI ACWI」にはない。

 岡田氏は、「GGO」らしい銘柄選定で成功した事例として、インドで病院経営を行っている『アポロ・ホスピタルズ』を紹介した。同社に注目したのは2015年頃にインドで病院が不足しているという情報があったためだ。現地調査し、企業取材や現地ユーザーへのインタビュー等によって成長への確信度を高めた。そして、2017年頃から投資視点の中心に置いたSDGsの「健康」の観点にも合致することから組入れを開始した。当時の株価は1000ルピー程度で株価に動きもなかった。ところが、2020年に「コロナ・パンデミック」が発生すると『アポロ・ホスピタルズ』の株価は急騰し、5600ルピーを超えた。『アポロ・ホスピタルズ』は「MSCI ACWI」の構成銘柄ではない。トップダウンで「SDGsに貢献する企業に投資する」という視点がなければ、調査もしない会社だった。このように数年で何倍にも株価が上昇する銘柄を捉えられるという魅力が「GGO」にはある。

 最後に「米国成長株投信」と「GGO」の活用方法について、岡田氏は、「どの範囲に投資をするのか、そして、投資の時間軸がどうかという視点で考えると選びやすい」と語った。たとえば、「自分が知らない投資先には投資しない」という方針であれば、「米国成長株投信」は、『マイクロソフト』や『アマゾン』など米国を代表するような企業で構成されたポートフォリオであるため、その価値が理解しやすいと考えられる。また、世界共通の課題である「SDGs」に役立つ投資をしたいと考える場合は、「GGO」がぴったりな投資対象になる。せっかくプロに投資を任せるのであれば自分では調べることが困難な新興国の企業などにも幅広く投資してほしいというニーズにも「GGO」は合致する。

 そして、より長期に投資を考えるのであれば、「SDGs」の2030年のゴール、カーボンニュートラルの2050年のゴールなどを見据えて運用している「GGO」と目線が合う。長期の変化を見ているために、株価が何倍にも値上がりする『アポロ・ホスピタルズ』のような銘柄にも投資することも可能になる。それに比べると「米国成長株投信」は、ビジネスが確立され、既に豊かなキャッシュフローを得ている大手企業が投資対象になる。数年で株価が何倍にも値上がりするというような劇的な変化は期待できないものの、現在のビジネスで得た資金を次の成長分野に投資して持続的な成長につなげることができる企業は、安定的な成長が期待され、常に投資可能な「コア」の投資資産といえる。

 岡田氏は、「初めて海外資産に投資する時に、新興国も含めて幅広く分散するという考えで『GGO』を選ぶ方法もあれば、知っている企業で構成された『米国成長株投信』を選ぶという方法もある。どちらを選ぶかは投資家の方の考え方ひとつ。また、両ファンドでは、投資している銘柄にほとんど重複がないことから、2つのファンドに同時に投資をして世界の成長株に広く投資するというのも有効な手段」という。そして、様々な投資ニーズに応えるという観点で投資信託を取り扱う金融機関には「投資範囲が異なる『米国成長株投信』と『GGO』を必要に応じて活用できる環境をご提供いただけるようご検討いただきたい」と語っていた。(情報提供:モーニングスター社)