上海証券取引所の科創板への上場を目指す、蘇州納芯電子(688052/上海)が4月12日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。2527万株を発行予定で、公募価格は230元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。

 同社は2013年設立の民営企業で、16年に株式会社化した。高性能で信頼性の高いアナログ集積回路(IC)の研究開発、販売を主業務としており、800種類を超えるアナログおよびデジタル・アナログ混合信号半導体チップを生産している。製品は情報通信、工業制御、自動車電子、コンシューマーエレクトロニクスなどの分野に利用されている。特に、車載用チップ開発能力の高さ、豊富な量産、品質コントロール経験を生かして、自動車電子分野の製品ラインナップの強化に乗り出しており、中国国内の主要自動車サプライチェーンへの参入を実現した。
 
 2021年1〜6月期の売上構成は、信号センサ用チップが28.44%、アイソレータ・インターフェース用チップが48.51%、駆動・サンプリング用チップが22.73%となっている。混合信号処理、高耐圧デジタルアイソレータ、統合センサ設計などの分野で業界をリードする技術を持つ。2020年における同社のセンサ・シグナルコンディショナASICチップ中国市場シェアは18.74%、デジタルアイソレータ用チップの世界シェは5.12%となっている。

 中国のIC市場規模は世界市場の50%以上を占めるものの、中国国内産業の立ち上がりが遅かったため自給率が低く、TI(テキサス・インスツルメンツ)などの世界大手製品に依存している状況だ。近年、米中の対立に代表される国際的な経済摩擦が起こる中、中国政府は2020年に中国のIC産業振興を促進し、国産化の加速を促す一連の政策を打ち出した。日々高まる高性能半導体製品の中でも、自動車電子やスマートフォンに用いられる、微小な電子回路と機械要素部品を一つの基板上に組み込んだMEMS技術による加速度、圧力などのセンサの需要が急速に高まっている。同社は高性能で信頼性の高いMEMS圧力センサ技術を、柱となる技術の一つと位置づけている。
 
 同社はMEMS圧力センサをはじめとする、世界トップクラスの技術を多く持っている点、カスタマイズ製品の高い設計能力、厳しい品質管理体制による信頼度の高さ、工業用や車載用など幅広いクラスの半導体製品の設計が可能であることなどを強みとする一方、世界の大手企業に比べると製品の応用範囲が狭いこと、市場シェアが低いこと、先進技術の蓄積が少ないこと、ハイレベルな人材が不足していることなどがボトルネックとなっている。
 
 2021年12月期の売上高は8億6209万元(前期比256.26%増)、純利益は2億2060万元(同334.13%増)。22年1〜3月期の業績予測は、売上高が2億5000万〜3億5000万元(前年同期比84.23〜157.92%増)、純利益が7000万〜1億元(同116.29〜208.98%増)となっている。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)