ドル円は東京タイム午後には直近高値であった125円10銭を抜き125円台半ばまで上昇。NYでは長期金利が一段と上昇したことを受け125円77銭まで続伸。ユーロドルはドル高傾向が続くことから上値が重いなか、先週末とほぼ同水準で推移。株式市場は3指数とも大幅に下落。金利高とインフレの高進を背景に、ダウは413ドル、ナスダックは2%を超える下げに。債券は7営業日続落。長期金利は一時2.79%近辺まで上昇し、2019年1月以来となる高水準を記録。金は3日続伸。原油は4ドルに迫る下げで1カ月半ぶりの安値に。

ドル/円    125.35 ~ 125.77
ユーロ/ドル  1.0873 ~ 1.0906
ユーロ/円   136.38 ~ 137.12
NYダウ ―413.04  → 34,308.08ドル
GOLD    +2.60 → 1,948.20ドル
WTI     ―3.97 → 94.29ドル
米10年国債 +0.080 → 2.780%

【本日の注目イベント】

豪  3月NAB企業景況感指数
独  3月消費者物価指数(改定値)
独  4月ZEW景気期待指数
英  3月失業率
米  3月消費者物価指数
米  3月財政収支
米  バーキン・リッチモンド連銀総裁講演
米  ブレイナード・FRB理事講演

ドル円は先月28日に記録した125円10銭の高値を抜いてきました。前回はここを頂点にその後ドルが急落し、121円台前半まで「調整」が進みましたが、その後時間をかけながらジワリと値を戻し、上記水準を上回ってきました。NYでは125円77銭までドルが買われましたが、2015年6月1日に記録した「125円86銭」が意識されたのか、126円台テストには至っていません。この水準は黒田日銀総裁が国会で「円がこれ以上弱くなることはない」と発言し、実際それから円高に推移したことから「黒田シーリング」、あるいは「黒田ライン」と呼ばれる水準で、その後6年以上も届いていなかった水準です。

ドル高の背景は言うまでもなく、米長期金利の上昇です。昨日のNY債券市場では10年債がさらに売られ、長期金利は一時2.79%近辺まで上昇しました。債券価格はこれで7営業日続落となっています。ハト派として知られるシカゴ連銀のエバンス総裁が11日、インフレ抑制のため利上げペース加速を議論する価値があるとの見解を示したことが材料視されました。エバンス氏は、「5月3、4日両日に開かれる次回FOMC会合で0.5ポイントの利上げを検討する価値があるのは明らかだ」とした上で、「その可能性はおそらく極めて高いとさえ言える」と述べています。またFRBが政策金利を中立水準まで引き上げる必要があると述べ、それには「今年9回分程度の利上げが必要になるが、毎会合0.25ポイントずつ利上げするだけでは到達できない」とも述べ、0.5ポイントの利上げ幅が必要との認識も示しました。ただ、同総裁はハト派の代表格の一人ですが、すでにこれまでも「脱ハト派」とも言える認識を示しており、市場の反応は「ドル高材料には非常に敏感だ」といった印象があります。因みに同総裁は今年のFOMC会合での投票権は持っていません。昨日はウォーラーFRB理事も発言しており、同理事は、「利上げは経済をたたくハンマーとなり得る『力ずくの手段』であり、米金融当局はその『付随的損害』を回避できるよう全力を尽くしている」と語っています。(ブルームバーグ)

ウクライナ情勢を巡り、オーストリアのネハンマー首相はロシアがウクライナへの侵攻を開始して以来EU首脳としては初めてとなるロシアを訪問し、プーチン氏と会談を行いました。ネハンマー首相はプーチン氏に対して停戦を呼びかけたようですが、会談後同首相は「和平実現に関して悲観的だ」と述べ、会談の成果がなかったことを示しました。オーストリアは永世中立国であり、ロシアと西側諸国の架け橋的な存在として期待されていた部分もありましたが、結局プーチン氏は「聞く耳を持たなかった」ということなのでしょう。

こうしたなか、ロシアとの交渉が何らかの結果を生み出す兆候も見られないことから、欧州諸国はロシアへの対応で、外交や制裁に重点を置く通常のやり方を超える方向に動いていると伝えられています。ドイツのベーアボック外相は、軍需品、とりわけ重火器をさらに送るべきだと主張し、ルクセンブルクのアッセルボルン外相も、「今は基本的に、制裁か武器か、どちらがより重要かを判断する問題に直面している」と述べ、「私の結論は、今では武器だ。2カ月前であれば、こんな結論を出すなど狂気の沙汰だと一笑に付しただろう」と記者団に話しています。またバイデン大統領はインドのモディ首相とオンライン形式で会談を行い、「ロシア産エネルギーやその他一時産品の輸入を加速、増加させることはインドの利益にならない」と圧力を加えたようです。インドはロシアから大量の武器を購入してはいますが、対米ロ関係では中立の立場に立っており、今回のウクライナへの侵攻にあたっても、ロシアを非難していません。ホワイトハウスは5月24日頃、日本で「クアッド」の会合を開き、日米豪印首脳が一堂に会する機会があることを発表しています。

本日は米3月のCPIが発表されます。すでに予想は前月の「7.9%」を大きく上回る「8.4%」と見込まれています。この結果を受け、金利、為替を含め金融市場は乱高下する可能性もありそうです。

本日のドル円は124円70銭~126円程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)