ESGのパイオニアとしても有名なアムンディ・ジャパンがこれまでの英知を集結した「アムンディ環境・気候変動対策ファンド『愛称:グリーン・ワールド』」は、2021年4月9日の設定から1周年を迎えた。ESGに配慮した運用を行いながら、パフォーマンスでは類似ファンド分類を上回るリターンを獲得した。アムンディ・ジャパンのマネージング・ディレクター 運用本部 インベストメント・ソリューション部長 森山猛氏にモーニングスター代表取締役社長の朝倉智也がESG投資にフォーカスしてインタビューした。

◆米中の参加で加速したカーボンニュートラル

朝倉 まず、現在ESGやSDGsがどのような状況になっているのでしょう?

森山 そもそもSDGsとは、国連が提唱した、2030年までに持続可能なより良い世界を目指すという目標です。SDGsが創出するビジネス機会・市場規模は、2030年までに12兆米ドル(日本円で1300兆円)にもなる見込みです。中でも環境市場は最も大きく、エネルギー、素材、電気自動車、省エネの建物といった分野だけでも、SDGs全体の約半分に相当する613兆円ほどといわれています。

 環境が注目されるようになったきっかけは、気温上昇の上限値を定めた2015年の「パリ協定」です。特に「脱炭素」の流れが2020年以降加速してきました。温室効果ガス排出量が最も多い中国が、2060年にはカーボンニュートラルを達成すると国連総会で宣言しました。排出量2位のアメリカも、2021年にパリ協定に復帰し、2050年までに温室効果ガス排出ネットゼロを宣言しました。日本も2050年までにカーボンニュートラルを達成すると宣言しています。

 昨今のウクライナ情勢でもこの潮流は変わらず、逆に注目されてきています。これにはエネルギー安全保障上の観点と発電コストの観点という2つの理由があります。ロシアの天然資源への高依存度が判明したヨーロッパ各国は、エネルギー調達先の見直しを迫られました。調達元の分散以外に自国での生産も必要となり、その有力な候補として再生可能エネルギーが再認識されたのです。

 また、ロシアの侵攻によってエネルギー価格が高止まりした一方、技術革新によって再生可能エネルギーによる発電コストは下がっています。発電コストの面からも、再生可能エネルギーが注目を浴びることとなりました。

◆ウクライナ危機で再生可能エネルギーに脚光

朝倉 ロシアのウクライナ侵攻によって再生可能エネルギーの取り組みがしぼむのではないかという危惧もありましたが、むしろ加速していくということですね。「グリーン・ワールド」は、アムンディ・グループのESG関連ファンドを対象としたファンド・オブ・ファンズ形式ですので、まさにESGの英知を結集された分散投資のファンドだと思いますが、1年を振り返っていかがですか?

森山 拡大過程に入った環境関連市場に投資するわれわれの投資信託「グリーン・ワールド」は、4月に1周年を迎えました。1年を振り返ると、2つ大きなポイントがあったと思います。

 一つ目は、各国の環境・気候変動に対する対策の進展と、企業の技術革新・発電コストの削減です。それによって、再生可能エネルギー企業が十分な利益を上げられる状態になり、成長過程に入ってきました。そういった企業の株価が、世界株式を上回るパフォーマンスを達成しているというのが1点目です。

 もう一つのポイントは、環境関連企業の間でも、時期によって株式のパフォーマンスにばらつきがあるということです。年間騰落率ランキングを見ますと、2016年は環境設備分野がセクターの中では1位でした。2017年は水関連、2018年は環境設備、2019年と2020年は再生可能エネルギー、去年2021年はまた環境設備が1位です。一つのセクターが1位を維持しないということは、技術革新や需要の動向に常に目を配り、最も成長するであろうセクターを厳選して投資していくことが必要になります。
 
 「グリーン・ワールド」は、アムンディ・グループの2000を超える投資戦略の中から、環境関連の成長を享受できるような優れたファンドを厳選し、時流に応じた成長分野に分散投資を行います。まさに取りこぼしのない運用が可能になっています。
 
 その結果、去年の設定当初から今年3月末までのパフォーマンスを見ると、国際株式グローバルインデックスやMSCIワールド・グロースインデックスに対して、約5%上回った結果となりました。

◆ESGテーマを網羅するファンド・オブ・ファンズの強み

朝倉 環境・気候変動対策の中でもさまざまなテーマのセクターがあり分散投資が必要ということは、ファンド・オブ・ファンズは理にかなっているわけですね。

森山 そう思います。1セクターに固執した運用よりはある程度の分散、時にはマクロのビューを用いたりして、ポートフォリオ全体を管理する運用をしております。

朝倉 最適な時期に投資をしていくということは、場合によってはユニバース全体を見直したりファンドを入れ替えたり、そういった可能性もあるのでしょうか?

森山 はい。現時点ではインフレや金利の上昇懸念が出てきています。昨年11月後半以降、株式市場は下落局面にあります。そこで、ある程度ディフェンシブなスタンスを取った結果、この期間においても先ほどの2つのインデックスに比較して下落幅をかなり抑えることができました。

朝倉 ESGにフォーカスしているので、グロースかバリューかといったことは関係なく、両方を包含しているのですね。

森山 おっしゃるとおりです。成長性と安定性の両方を、結果としてこの1年間実現できたと思っています。

朝倉 世の中はますます不透明になっています。アメリカも含めて世界が金融正常化に向かっていく中で、マーケットが揺れ動いています。2年目を迎えるに当たって、このファンドをどのように見てどのような運用をしていくのかを教えてください。

森山 環境をテーマとした投資は、今後も中長期的に優れたパフォーマンスを享受できると強い確信を持っております。ただ、昨今ではインフレや金利上昇懸念から景気減速感があり、足元ではウクライナ情勢もあって、株式市場のボラティリティが上昇している状態です。ポートフォリオのスタンスが通常モードのままでは、巻き込まれて下落傾向になってしまう危険性があります。われわれは本年1月に、ポートフォリオを従来よりもディフェンシブなスタンスに変更すると決定しました。

 具体的には組み入れているファンドの一部を変更し、環境技術関連のエクスポージャーを減らして、よりコンサバティブなインフラ・公益分野のエクスポージャーを増やすことを決めました。ウクライナのイベント発生前に、われわれは投資行動を決定したということになります。

 ウクライナ情勢は、再生可能エネルギーが再認識されるきっかけになったと申し上げましたが、われわれはまさに再生エネルギーを中核とした環境投資を行っていますので、当ファンドにとっては相対的にポジティブな影響があるのではないかと思っています。

朝倉 ある時はディフェス、ある時はオフェンスと、マーケットの状況を見ながら機動的に運用できることが特徴ですね。ESGは持続性が問われるテーマですので、投資家の方には長い期間でしっかり保有していただいて、安定したパフォーマンスをご享受いただきたいと思います。最後に、投資家の皆さまにメッセージをお願いできますか。

森山 「グリーン・ワールド」は、成長段階に入った環境関連・気候変動の課題に取り組む企業に投資することによって、地球規模で中長期的な課題に取り組むような投資を行います。タイミングを問わず、幅広い投資家の皆さまにSDGsのテーマに即した長期的な運用を提供するものです。皆さまの資産運用の一助になれば幸いです。

朝倉 今まさにホットなテーマでもあり、息の長いテーマでもありますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。(グラフは、「グリーン・ワールド」の設定来のパフォーマンス推移)