上海証券取引所の科創板への上場を目指す、拓荊科技(688072/上海)が4月8日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。3162万株を発行予定で、公募価格は71.88元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2010年設立で、21年に株式会社化した。ハイエンドの半導体専用設備の研究開発、生産、販売、技術サービスを主業務としており、プラズマ励起化学気相成膜(PECVD)装置、原子層堆積(ALD)装置、準大気圧CVD(SACVD)装置の3シリーズからなる薄膜形成設備が主力製品。製品は14ナノメートル以上の集積回路(IC)製造に広く用いられており、10ナノメートル以下の製造工程についても実用化に向けた検証が進んでいる。21年1〜9月期の売上構成は、PECVD設備が88.69%となっている。
 
 世界の半導体市場は安定的な成長を続けており、2020年の売上は4498億米ドルで前年比7.3%増となった。また、21年1〜3月期の売上は1231億ドルで、四半期での過去最高を記録した。また、中国は世界最大の半導体消費市場となっており、19年には世界全体の35%を占めた。中国における20年のIC産業の売上高は8848億元で、前年に比べて17%成長した。一方、世界の半導体産業は米国がサプライチェーン、企業の競争力で飛び抜けており、これに日本、韓国、台湾が続く状況となっている。中国も近年急速に技術を高めつつあるものの、依然として世界のトップレベルとは一定の差がある。

 さらに、半導体設備分野でも中国企業の世界シェアは1〜2%に留まっており、中国の半導体メーカーもハイエンド設備の多くを輸入に頼らざるを得ない状況が続いている。2020年の世界の半導体設備市場規模は712億ドルで、前年比19%増だった。中でも中国市場は187億2000万ドルで、同39%増と大きな伸びを見せた。中国政府が重要製品の国産化を推奨する中で半導体製造設備の国産化も進むものとみられ、同社にとっては大きなチャンスと言える。
 
 同社は優れた研究開発、技術チームを揃え、2022年3月8日現在で国内外において174件の特許を取得するなど研究開発や技術の面で強みを持つほか、米国や日本に拠点を持つ外国の大手企業に比べて中国本土での事業コストが低いという優位性がある一方で、研究開発費用の不足、国際的な知名度の不足といったボトルネックを抱えている。上場で到達する資金により研究開発を強化して競争力の高い製品を生み出し、売上とともに知名度を高めていくことが会社のさらなる成長に不可欠だ。
 
 2021年12月期の売上高は7億5796万元(前期比73.99%増)、純利益は6848万元(前期は1148万元の純損失)。22年1〜3月期の業績予告は売上高が1億〜1億2000万元(前年同期比73.19〜107.82%増)、純損失が700万〜2000万元(同93.67%損失増〜67.78%損失減)となっている。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)