ドル円は東京時間昼過ぎ、日銀総裁と岸田首相が会談すると報じられ121円31銭近辺まで急落。その後の海外市場ではドルがやや持ち直したものの122円台前半で上値が抑えられる。ユーロドルは続伸。ドイツの3月のCPIが予想を大きく上回ったことで1.1171までユーロ高が進行。株式市場は反落。停戦期待が後退したことから3指数が揃って下落。債券は小幅ながら続伸。長期金利は2.34%へと低下。金と原油は反発。

3月ADP雇用者数        →  45.5万人

10-12月GDP(確定値)   →  6.9%

ドル/円  121.65 ~ 122.24

ユーロ/ドル 1.1112 ~ 1.1171

ユーロ/円  135.37 ~ 136.04

NYダウ ―65.38  → 35,228.81ドル

GOLD   +21.00 → 1,939.00ドル

WTI    +3.58 →  107.82ドル
 
米10年国債  ―0.046 → 2.349%

本日の注目イベント

日 2月鉱工業生産
豪 2月住宅建設許可件数
日 3月東京都区部消費者物価指数
中 3月中国製造業PMI
中 3月中国サービス業PMI
欧 「OPECプラス」閣僚級会合
独 3月雇用統計
欧 ユーロ圏2月失業率
英 10-12月期GDP(改定値)
英 10-12月期経常収支
米 新規失業保険申請件数
米 2月個人所得
米 2月個人支出
米 2月PCEデフレータ   
米 2月PCEコアデフレータ
米 3月シカゴ購買部協会景気指数
米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、会議で開会の挨拶

 ドル円の「本確的な調整」が始まっています。昨日の東京時間昼過ぎ、ドル円は121円90銭近辺を割り込むと一気に121円台前半まで売られ、121円31銭前後まで急落しました。黒田日銀総裁と岸田首相が会談するとの報道に、「足元の円安を巡る協議か?」との観測が広がり、ドル売りが強まったのが背景でした。その後の日銀総裁の話では、「為替は経済情勢を反映して安定することが望ましいと申し上げた」と述べるに留まり、為替の水準についての話はなかったようです。

 ドル円は今週28日に125円10銭まで急騰した後、急速な下げに転じ、利益確定の売りや、達成感がドルを押し下げてきました。121円台前半まで下げたことで、短期的な動きを示す「1時間足」などのチャートはドル売りサインを点灯させ、やや上値の重い展開が続きそうです。今回の上昇を、3月7日の114円77銭を起点に始まったと考えれば、この間の上昇幅は「10円33銭」となり、これにフィボナッチ・リトレースメントを当てはめると、「38.2%」戻しは「121円16銭」という数値が導き出され、昨日のドルの底値に近い値になります。また「4時間足」の雲の上限も121円14銭近辺にあり、ほぼ合致します。さらにこの先ドルが下げた場合、フィボナッチの「半値戻し」は「119円94銭」と計算されますので、ドル売りがさらに進んだ場合、120円前後が相当重要な水準ということになります。「半値戻しは、全値戻し」という言葉がありますが、ここまでドルが下げると、今回のドル上昇局面も一旦終了したと考えることも出来そうです。

 ただ、ドル円を取り巻く環境は全く変わっていません。FRBは今後も粛々と利上げを実施していくとみられ、日銀は大規模な金融緩和策の継続を維持しており、「連続指し値オペ」でも確認されたように、長期金利の0.25%超えは許容しない姿勢を見せています。ただ、これまで国内から発せられる情報や政策についてはほぼ「無風」だったことから、市場はほとんど関心を示してこなかったものの、昨日の様にちょっとした報道から円が買い戻される事態になっています。円が短期間で急速に売られたことで、市場参加者が水準を含め警戒感を持ち始めたという証左であると思われます。引き続きドル上昇トレンドに戻るとしても、今度はこれまでのような「スピード違反」は見られないかもしれません。

 ロシアがキエフなどでの軍事活動を縮小すると表明したことで、一旦緊張が緩和されましたが、米国を始めウクライナもその行動には懐疑的な姿勢を崩していません。バイデン大統領は、「ロシアの実際の行動や、今後の停戦交渉でどのような提案を行うかを見守りたい」と述べ、NATO加盟国も同様に懐疑的です。実際キエフ周辺では戦闘が続いていると伝えられています。チェルニヒウの市長は「むしろ攻撃は激しさを増しており、市中心部に甚大な被害が出た」とCNNテレビのインタビューで答えています。一方バイデン大統領はウクライナのゼレンスキー大統領との電話会談で5億ドルの支援を申し出ています。ロシアのラブロフ外相は中国を訪れ、中国の王毅外相と会談して、両国の緊密な関係を再確認しています。ロシアがウクライナ侵攻を始めて以来、両国の高官が直接会談するのはこれが初めてのこととなります。

 3月のADP雇用者数は「45.5万人」と市場予想とほぼ一致し、広範囲で労働市場の拡大が続いており、人材獲得競争は激しい状況が続いているという米金融当局の見解と整合的です。今回の数字では特に、専門職、ビジネスサービス、ヘルスケアなどで大きく伸びており、2月の同指標も上方修正されています。明日の雇用統計本番でも良好な内容が期待されており、FRBの利上げに向けた姿勢を妨げる要因にはなりそうもありません。

 FOMCメンバーからは引き続きタカ派寄りの発言が発せられています。リッチモンド連銀のバーキン総裁は5月の会合での0.5ポイント利上げにオープンな姿勢を示し、「5月の会合でわれわれは決定を下すわけだが、問題となるのは、利上げへの対応能力と高インフレの根強さという面で、米経済がどの程度の力強さを備えているかということだろう。私はそれらの両方の面に注目しており、5月に判断が下される」と述べています。またカンザスシティー連銀のジョージ総裁はNYでの講演で、「緩和解除が必須なのは明白だ。ただ解除の度合いや、どの程度積極的にすべきかについては不透明な部分がずっと大きい」と語っており、中立的な姿勢を示しました。5月の会合までまだ1カ月もありますが、すでにここで0.5ポイント利上げすることは織り込まれています。焦点は、その後の利上げペースと利上げ幅をどの程度の間隔で進めていくのかといった点です。

本日のドル円は121円60銭~122円80銭程度とします。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)