荒っぽい動きが続いているドル円はロシアとウクライナの和平交渉進展の報道に122円を割り込み、121円98銭まで下落。利益確定の円買いが優勢に。ドルが売られたことでユーロドルも大きく上昇。約2週間ぶりに1.1137まで買われた。株式市場は3指数が大幅に上昇。停戦に向けた期待からダウは338ドル高。S&P500は1月以来となる4600ポイント台を回復。債券は続伸。緊張が緩和されたことによる巻き戻しの流れから、長期金利は2.4%割れの水準まで低下。ロシアとウクライナとの緊張がやや後退し、金と原油はともに続落。

1月ケース・シラ-住宅価格指数(年率)  → 19.10%
1月FHFA住宅価格指数         → 1.6%
3月コンファレンスボード消費者信頼感指数 → 107.2

ドル/円    121.98 ~ 123.58
ユーロ/ドル  1.1072 ~ 1.1137
ユーロ/円   135.70 ~ 137.31
NYダウ  +338.30 → 35,294.19ドル
GOLD   -26.70 → 1,918.00ドル
WTI     -1.72 → 104.24ドル
米10年国債 -0.064 → 2.394%

【本日の注目イベント】

独 3月消費者物価指数(速報値)
欧 ユーロ圏3月景況感指数
欧 ユーロ圏3月消費者信頼感(確定値)
米 3月ADP雇用者数
米 10-12月GDP(確定値)
米 バーキン・リッチモンド連銀総裁、会議で開会の挨拶
米 ジョージ・カンザスシティー連銀総裁講演(オンライン)

ドル円は荒っぽく、神経質な動きが続き、今週に入ってはその動きがさらに加速しています。日銀の「連続指し値オペ」がきっかけとなり、28日の夕方5時ごろには円安が一気に進み、125円10銭までドルが買われましたが、そのおよそ30時間後には122円を割り込み、121円98銭まで巻き戻しが入るなど、シーソーの様な相場展開となっています。125円を付けたことによる「達成感」と、一旦利益を確定する動きがドル下落につながりましたが、昨日はそれに加えロシアとウクライナの交渉での進展を巡り、楽観的な見方が広がり、さらに利益確定のドル売りを誘発する格好になりました。ドル円だけではなく、金と原油も売られ、さらに債券にも買い戻しが入るなど、これまでの流れが急速に逆流しています。

ウクライナとロシアの代表団は29日、トルコのイスタンブールで4回目の対面交渉を行いました。停戦合意には至っていませんが、ロシア側は首都キエフと北部のチェルニヒウでの軍事活動を減らす決定を行い、ウクライナ側は分離主義勢力が実行支配するドンバス地方とクリミアを除く領土について安全保障の国際的な確約を求めるとし、ロシア側に歩み寄る姿勢を見せました。ただ戦闘は依然として続いており、今後の交渉日程などはまだ決まっていません。バイデン大統領はロシアの実際の行動や、今後の停戦交渉でどのような提案を行うかを見守りたいと述べ、ブリンケン国務長官もロシアの主張に懐疑的な見方を示し、「ロシアが言うことと行うことは別だ。米国は後者に注目している」とし、戦争の収拾に向けてロシアが「本気で真剣になっていることを示す兆候は見られていない」と説明しています。(ブルームバーグ)今回の対面交渉により、停戦に向けた第一歩は踏み出したとみられますが、全てはプーチン氏の考え一つであることから、停戦には「ゼレンスキー・プーチン会談」が不可欠であると思います。今回の進展がこのまま終わるようであれば、結局ロシアの「時間稼ぎ」であったとの非難をあびることになります。

フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は講演で、「大規模な財政支援策とサプライチェーンの混乱、緩和的な金融政策を背景に、インフレ率は私や同僚が懸念せずにいられる水準を大きく超えて上昇している」と指摘し、「インフレ期待が抑制できなくなるリスクを懸念している」と述べました。さらに「われわれが直面している経済の不確実性の度合いを踏まえれば、次回会合で0.5ポイントという選択肢を排除しない。ただ現時点では断言しない」と発言しています。昨日の米債券市場では10年債利回りが低下する一方で2年債利回りが上昇し、10年債と2年債が逆転する、いわゆる「逆イールド」が発生しています。通常金利は、短いものより長いものの方が「リスクプレミアム」を含むことから高いのが普通です。これを「順イールド」と言いますが、昨日は短い2年債の利回りが長い10年債のそれを上回りました。これは2019年8月以来ということになり、「景気後退の前兆」と受け止められています。この現象が実際に景気減速につながるのか、今後の経済データを注視したいと思います。

本日のADP雇用者数の発表を皮切りに、週末には雇用統計が発表されます。労働市場の改善が続いているような結果が示されれば、再び利上げペースが早まるとの観測が高まり、長期金利の上昇が見込まれ、ドルが再び上昇基調を強める可能性があります。荒っぽい動きが続くと予想し、慎重な対応が求められます。本日のドル円は122円20銭~123円50銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)