深セン証券取引所の創業板への上場を目指す、上海冠龍閥門節能設備(301151/深セン)が3月28日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。4200万株を発行予定で、公募価格は30.82元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は1991年設立の民営企業で、2020年に株式会社化した。節水バルブの研究開発、設計、生産、販売を主業務とし、主力製品はバタフライバルブ、ゲートバルブ、絞り弁、逆止弁などのバルブ製品とその付帯製品。主に都市の給排水、水利、工業などの分野に利用されている。また、国内業界をリードする節水バルブサプライヤーとして、三峡ダム、南水北調プロジェクト、水立方(北京国家水泳センター)、北京首都国際空港などの大型プロジェクト向けに製品納入の実績を持つ。2021年1〜6月期の売上構成は、バタフライバルブが42.82%、ゲートバルブが19.19%、絞り弁が7.73%、逆止弁が9.69%となっている。
 
 バルブは石油・天然ガス、化学工業、水利・水力発電、冶金、製薬、都市給排水など、社会のさまざまな分野で活用されており、その需要は拡大し続けている。2017年の世界の工業用バルブ市場規模は675億米ドルで、23年には852億ドルまで増加する見込みだ。中でも中国やインドといったアジア太平洋地域では人口の増加、都市化の推進によって急速に需要が増えている。
 
 また、世界のバルブ部品の約50%は中国で生産されているほか、OEMによるバルブ生産が盛んに行われていることから、中国が世界最大のバルブ輸出国になっている。一方で、中国で生産されるバルブ製品はローエンド製品が主体であり、ミドルレンジからハイエンドのバルブ製品については毎年大量に輸入しているのが現状。2019年の輸入額は71億5700万ドルだった。現在、同社を含む中国国内のバルブ企業は研究開発力の強化に取組んでおり、これまで輸入に依存してきた分野の製品について国産品への置き換えを目指しているところだ。

 中国には一定の規模を持つバルブメーカーが2019年時点で1809社存在し、小規模な企業が乱立して小さなシェアを奪い合っている状況が続いている。今後中国国内におけるバルブ製品の品質に対する要求が高まることで業界の再編が起こり、高い開発力と競争力を持つ企業が生き残ることになりそうだ。2020年の中国バルブ市場規模は1918億7200万元で、同社の市場シェアは0.53%。一方、給排水バルブ市場のシェアは3.78%と比較的高くなっている。
 
 同社は高い技術力、品質管理、アフターサービス、節水バルブに特化していることによるブランド力といった強みを持つ一方で、生産能力の不足、ハイレベル人材の不足、ターゲットとしている分野の狭さといったボトルネックを抱えている。国内企業との競争を勝ち抜き、さらに世界の大手企業との競争で優位に立つためにはこれらの課題を克服することが不可欠だ。
 
 2021年12月期の売上高は10億4684万元(前期比3.10%増)、純利益は1億9231万元(同73.11%増)。22年1〜3月期の業績予測は、売上高が1億8000万〜2億元(前年同期比0.51〜11.68%増)、純利益が3100万〜3300万元(前年同期比1.59〜8.15%増)となっている。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)