ドル円は東京時間に118円45銭まで買われた。欧州市場の朝方には117円70銭まで下押しされたが、NYでは118円39銭まで上昇。直近高値に接近したことで神経質な展開に。ユーロドルは前日と同じ展開で、1.09台前半から1.10前後で推移。株式市場は3指数が揃って大幅に上昇。経済指標の下振れにFRBは積極的な利上げを正当化できないとの観測が支えに。ダウは600ドルに迫る上昇で引ける。債券は続落し、長期金利は一時2.16%台まで上昇。金は大きく続落。原油も続落し、一時は93ドル台まで売られる。

3月NY連銀製造景況業指数  → -11.8
2月生産者物価指数      →  0.8%

ドル/円    117.80 ~ 118.39
ユーロ/ドル  1.0927 ~ 1.1004
ユーロ/円   129.31 ~ 129.83
NYダウ +599.10  → 33,544.34ドル
GOLD   -31.10 → 1,929.70ドル
WTI     -6.57 →  96.44ドル
米10年国債 +0.011 → 2.144%

【本日の注目イベント】

日  2月貿易統計
日  1月鉱工業生産
欧  ウクライナ大統領、米議会でオンライン演説
欧  NATO、臨時国防相会合
米  2月小売売上高
米  2月輸入物価指数
米  3月NAHB住宅市場指数
米  FOMC 政策金利発表
米  パウエル議長記者会見

上昇基調を強めているドル円は昨日の東京時間朝方に118円45銭近辺まで買われ、2016年12月に記録した118円66銭の、直近ドル高値を窺う気配を見せました。先週末から上昇の勢いを増し、それ以降「押し目」らしい「押し目」もないまま上昇しています。短期的な動きを示す「30分足」を見ると、先週末から右肩上がりの軌道を描き、「転換線」がサポートしながら下値を切り上げているのが確認できます。上昇基調を続けている「転換線」の下方を、「基準線」、「先行スパン」、さらには「遅行スパン」が揃って見事に上昇しています。ただ昨日の夕方、欧州市場が参入した頃、ドル円は118円を割り込み、117円70銭まで下落する場面があり、このところとしては目立った調整局面になりましたが、それでも「30分足」では、雲の下限でしっかりサポートされ、結局NYでは再び118円台を回復して、118円39銭までドル高が進みました。

NYではリスクオンに近い動きでした。株価は3指数が大きく買われ、債券が売られています。商品市場では荒っぽい動きが続き、WTI原油価格は前日に続き大きく売られ、100ドルの大台を割りこみ一時は93ドル台まで下げる場面もありました。利益確定の売りに加え、中国では新型コロナウイルスの感染拡大が続き、ロックダウン措置が導入されていることから、原油需要が減少するといった見方も売りに拍車をかけたようです。これで130ドル台の高値から1週間たらずで28%以上下落したことになります。金価格も同じような状況です。直近高値は2078ドル台まで買われましたが、こちらも高値から150ドル程下げています。足の速い資金が市場に徘徊していることが窺えます。

ロシアによるウクライナ侵攻は3週目に入りました。ロシア軍はキエフ近郊まで迫り、攻撃を継続していますが、ウクライナの徹底抗戦に手を焼いているようで、ロシア軍幹部も軍事進行の遅れを認めています。首都キエフではロシア軍の市街地への攻撃が激しくなるとの予想から、「15日夜からの35時間の外出禁止令」を敷くことを決められています。そんな中、ウクライナが西側諸国から供与された大量の最新式対戦車ミサイルがロシア軍の市街地進行を阻む一因となり、ロシアに戦術の変更を迫る可能性があると、ブルームバーグが軍事アナリストの分析結果を伝えています。

記事によると、過去数週間でウクライナに送り込まれた最新式対戦車ミサイルの量は驚異的であり、英国は次世代軽対戦車(NLAW)ミサイル3615基をウクライナに送ったと発表。ドイツは1000基、ノルウェーは2000基、スウェーデンは5000基の対戦車兵器をそれぞれ供与するとのことです。米国も数量こそ発表していないものの、携行式対戦車ミサイル「ジャベリン」をウクライナに提供します。他の国も同様の兵器を送っており、その多くは最新技術ではないものの、ロシア軍にとっては相当な脅威となり、プーチン氏が始めたウクライナ侵攻が当初の想定通り進んでいない要因の一つになっているとのことです。プーチン氏は昨日、EUのミシェル大統領と電話で会談し、ウクライナ停戦交渉で「相互に受け入れ可能な解決策を見いだそうという真剣な姿勢を見せていない」と批判したことをロシア大統領府が発表しています。また昨日の本欄でも触れたように、バイデン大統領は来週ベルギーのブリュッセルを訪問し、NATO緊急首脳会議に出席するとホワイトハウスが正式に発表しました。

米2月のPPIは年率で「10.0%」でした。CPIに続きインフレ圧力が続いているということで、明日朝のFOMCの結果にも影響を与えそうですが、「0.25%の利上げ」は動かないところでしょう。焦点はパウエル議長の発言内容です。ウクライナ情勢の不確実性をどのように政策に落とし込んでいくのか。ロシアの攻撃がさらに激化し残酷化するようなら、一旦鎮静化してきた資源価格が再度高騰するリスクもあり、パウエル議長も今後の大幅利上げを正当化できない可能性があります。ポイントは、今後の会合で「0.5%」といった大幅な利上げを採用する可能性があるのかどうかについての言及です。インフレは収まる兆しが見られず、さらにインフレが高進するようだと、パウエル議長、あるいはFRBそのものの信用失墜につながり、ひいてはバイデン政権の支持率低下にも影響します。その結果、11月の中間選挙で与党民主党が敗北し、再び「ねじれ議会」の様相を呈すことになりかねません。パウエル議長にとっても非常に厳しい判断を迫られていると言えます。

本日のドル円は117円80銭~118円70銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)