深セン証券取引所の創業板への上場を目指す、贛州騰遠鈷業新材料(301219/深セン)が3月8日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。3149万株を発行予定で、公募価格は7日に発表する。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は2004年設立の民営企業で、16年に株式会社化した。コバルト、銅製品の研究開発、生産、販売を主業務としており、国内業界をリードするコバルト塩生産企業の一つである。主要製品は塩化コバルト、硫酸コバルトなどのコバルト塩と電着銅で、コバルト製品は主にリチウム電池の正極材料、合金、磁性材料などの分野に、銅製品は電子、電気、機械製造、国防、建築材料などの分野に広く利用されている。2021年1〜6月期の売上構成は、コバルト製品が66.55%、電着銅が33.45%となっている。
 
 中国では新エネルギー自動車業界の急速な発展に伴うリチウム電池需要の高まり、合金市場の発展といった要素の他に、製錬、二次加工生産能力が中国国内に集中していることで、コバルト製品の消費量は安定的に成長しており、2015年の4万5300トンから20年には7万8000トンと、年平均11.46%のペースで消費量が増加した。これは世界の同時期における年平均増加率の7.14%を上回っている。19年における同社の硫酸コバルト生産量は中国全体の7%で第3位、塩化コバルトは13%で国内第4位。
 
 また、利用範囲が非常に広い銅の需要は世界的に増え続けており、世界の精煉銅の生産量は2011年の1959万トンから19年には2361万トンまで増加した。その中で中国が世界最大の精煉銅生産国、販売国となっている。また消費量も世界の半数以上を占めており、20年の消費量は世界の2497万トンに対して中国が1422万トンと56.98%に上った。この比率は年々増加傾向にあり、中国国内における精煉銅製品の需要の高さがうかがえる。
 
 同社は早い時期からコバルト精煉技術の研究に取組んでおり、国内業界において技術開発の面で強みを持つ。また、塩化コバルトや硫酸コバルト製品は国家標準や業界標準を上回る品質により、著名企業の顧客から信頼を得ている。さらに、コバルトおよび銅材料の安定供給のために一大産地であるコンゴ民主共和国に現地法人を設立しており、コスト面でも業界内で優位に立っている。一方で、大手コバルト生産企業に比べて経営規模、生産規模が小さく、激しい競争を勝ち抜くための体力が不足している点が課題だ。また、主要製品が塩化コバルト、硫酸コバルト、電着銅の3種類に集中しており、市場の変化による影響を受けやすいというリスクを抱えている。

 2021年12月期の売上高は41億5769万元(前期比132.66%増)、純利益は11億4394万元(同122.91%増)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)