上海証券取引所の科創板への上場を目指す陝西斯瑞新材料(688102/上海)が3月7日、新規公開(IPO)に向けた公募を開始する。4001万株を発行予定で、公募価格は10.48元。公募終了後、速やかに上場する見込みだ。
 
 同社は1995年設立の民営企業で、2015年に株式会社化した。軌道交通、電力、電子、宇宙航空、医療画像などのハイエンド産業分野向けに、高強度・高導電性銅合金材料および製品、中高電圧接触材料および製品、高性能金属クロム粉末、DR・CT管球部品などの製品を製造する。売上構成は、高強度・高導電性銅合金材料および製品が50%前後、中高電圧接触材料および製品が30%前後、金属クロム粉末とDR・CT管球部品がそれぞれ3%前後となっている。また、高性能金属クロム粉末と銅・鉄合金材料の研究開発、市場開発に力を注いでおり、銅・鉄合金材料は既に小ロットの供給生産体制を整えてさらに生産規模の拡大を目指している。
 
 高強度・高導電性銅合金分野ではモーター材料として同社製品を使用する中国の鉄道産業が2030年までの中長期計画のもとで今後も成長を続けることが見込まれているほか、コネクタ材料として同社製品を用いる5G通信や宇宙航空、新エネルギー分野も成長が著しい。また、同社は半導体リードフレーム用材料の技術開発も進めている。

 中高電圧接触材料分野は主に発電所、輸送電ネットワーク、軌道交通の中高圧スイッチに応用され、こちらの需要も旺盛だ。さらに、医療画像分野における重要な設備であるCT設備は2020年の新型コロナの感染拡大以降、疾病診断の重要な根拠として末端医療機関への配備の必要性が高まった。中国における19年現在の人口100万人当たりのCT設備保有台数は18台と、米国の44台、日本の111台などに比べて非常に少ないため、今後中国国内では安定的な需要が見込まれ、その部品である管球を手掛ける同社にとっても良好な市場環境と言える。

 一方で、新材料の研究開発には多額の資金と長い研究サイクル、実用化に向けて数多くの検証が必要であるなど多くの困難が伴うが、同社は経営規模が小さく、資金力が相対的に弱い点がボトルネックだ。また、いずれの事業においても欧米や日本の大手企業が高い製品力、開発力を持ち、中国市場でも輸入品が高いシェアを獲得しているため、同社が激しい競争の中でシェアを拡大するのは容易ではない。さらに、製品の主原料である銅の価格が高騰傾向にあること、鉄道や電力などに関する国の政策変更、売上全体の約3割前後を占める海外輸出の環境変化といったリスクを抱えている。
 
 2021年12月期の売上高は9億6764万元(前期比42.16%増)、純利益は6244万元(同19.84%増)。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)