ドル円は115円台半ばから下落。ロシアへの制裁が強化されたことで米長期金利が急低下。米金利との相関が強いドル円は114円87銭まで下落。ユーロドルは1.11台半ばから反発。1.1247まで上昇するもウクライナ情勢から上値は重い印象。株式市場はウクライナとロシアの停戦交渉が軟調なことから大きく下げたが、その後下げ渋る。ダウとS&P500はマイナスだったが、ナスダックは56ポイント高。債券は急騰。リスク回避の流れから債券が買われ、長期金利は一気に1.82%台へと低下。金と原油は大きく反発。

ドル/円  114.87 ~ 115.51

ユーロ/ドル 1.1179 ~ 1.1247

ユーロ/円  128.76 ~ 129.65

NYダウ  -166.15  → 33,892.60ドル

GOLD    +13.10 → 1,900.70ドル

WTI    +4.13 →  95.72ドル
 
米10年国債  -0.137 → 1.825%

本日の注目イベント

豪   豪10-12月期経常収支
豪   RBA、キャッシュターゲット
中   2月中国製造業PMI
中   2月中国サービス業PMI
中   2月財新製造業PMI
独   独2月消費者物価指数(速報値)
英   英1月消費者信用残高
欧   マークイットユーロ圏2月製造業PMI(改定値)
米   2月ISM製造業景況指数
米   2月自動車販売台数
米   2月マークイット製造業PMI(改定値)
米   バイデン大統領、一般教書演説
米   ボスティック・アトランタ連銀総裁、オンライン討論会に参加
加   カナダ10-12月期GDP


 日本時間昨日の夕方から行われたウクライナとロシアの停戦交渉は双方の主張に隔たりがあり、合意には至りませんでしたが、ウクライナ側は双方が再協議の可能性を検討することで合意したとしています。一方ロシア側は、ロシアとウクライナは協議を継続し、数日中に次回の交渉ラウンドを行うことで合意した。次回の交渉はポーランドとウクライナの国境で行うと、インタファクス通信が伝えています。

 ただ、こうした中でもロシアは攻撃を続けており、ウクライナ第2の都市ハリコフでロシア軍による住宅地への攻撃から複数の民間人が死傷したと伝えられています。昨日夜のNHKの番組では、ロシア軍の攻撃を受けた女の子が、病院に運ばれ懸命の措置を受けましたが、結局亡くなった映像が流れていました。この女の子はまだ6歳でした。人が人を一人殺せば「殺人罪」で、死刑の可能性もありますが、戦争という名の下では、何千人を殺しても「罪」に問われません。これが戦争です・・・。

 ロシアへの制裁が世界的に強まってきました。今朝の報道では独ダイムラーや英BPなどがロシア事業から撤退するほか、スウェーデンのボルボはロシアへの車の出荷を停止することを発表しました。またクレジットカード大手の「ビザ」に対して、カード決済網からロシアを排除するようウクライナ中銀総裁が求めていることも判明しています。さらにバイデン政権は、米国民および米企業がロシア銀行(中央銀行)やロシア財務省、同国政府系ファンドである国民福祉基金との取引を行うことを禁止することを発表し、ロシア中銀への制裁も強めています。すでにロシアを国際決済機関である「SWIFT」からの排除を決め、ロシアは金融孤立化に追い込まれています。日銀にある4~5兆円規模の円資金の凍結も発表され、昨日岸田首相は、ロシアのウクライナ侵攻を支援しているとしてベラルーシへの制裁も発表しました。

 このような相次ぐ制裁発令に対してプーチン大統領も報復措置を発表しています。全ての国内居住者を対象に、国外への外貨送金を禁止し、「融資契約に関連した」外国人への外貨支払を3月1日以降、禁じる。同国中銀によると、既存債務の履行には適用されず、新規借り入れが対象になる。ロシアはこのほか、36カ国を対象に航空会社によるロシア領空への飛行を禁止する。日本や米国は含まれない、などの規制を発表しています。(ブルームバーグ)金融市場ではルーブルが30%程下落し、通貨防衛のためロシア中銀は政策金利を9.5%から20%に引き上げましたが、今のところ効果は限定的です。ロシアへの制裁が一段と強まったことで事態の収束にはほど遠く、プーチン大統領はさらに反発姿勢を強めていることからリスク回避の流れがメインとなり、金は反発し、WTI原油価格4ドルを超える上昇を見せています。安全資産の米国債が急騰し、長期金利は一気に13ベーシスポイント以上も低下しました。ドル円は米金利低下を手掛かりに115円を割り込みましたが、大きな動きにはつながっていません。

 アトランタ連銀のポスティック総裁は28日バーチャル討論会で、3月のFOMC会合では25ベーシスポイントの利上げを支持する考えを示しましたが、月間のインフレ統計で高水準からの低下が見られなければ、さらに大幅な50bpの利上げを検討する可能性もあると語っています。ポスティック総裁は、「特に注視しているデータポイントの一つがインフレの月間の変化だ。それが低下トレンドに入り始める限り、25bpの動きにかなり満足するだろう。インフレが根強く高止まりしている場合、あるいはさらに上振れるような場合、3月の会合では50bpの利上げを真剣に考える必要があるだろう」と述べています。(ブルームバーグ)2月のCPIは来週10日(木)に発表されることになっていますが、FOMC会合はその後の15-16日に開催されることから、この数値が極めて重要になってきます。CPIだけではなく、PPIやPCEデータの全てで上振れしており、さらに原油価格など資源価格の上昇も止まっていません。これらを考慮すると再び50bpの利上げ幅が浮上してきますが、ウクライナ情勢の影響をどこまで織り込むのか、明日のパウエル議長の議会証言がますます注目されます。

 ドル円はウクライナ情勢と米利上げ観測に振られる展開が続いています。116円が近い割には、115円台後半では押し戻される動きになっています。昨日は米長期金利が急低下したものの、その割にはドル円の下値は限定的でした。注意は必要ですが、依然としてレンジ内での動きと考えれば、利益も取りやすい展開です。すでに荒っぽい値動きは見られますが、今週はさらに神経質で大きな値動きの可能性もあります。

本日のドル円は114円60銭~115円40銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)