モーニングスター <4765> は1月27日、2022年3月期第3四半期決算を発表した。売上高59.94億円(前年同期比9.4%増)は10期連続増益で5期連続最高更新、経常利益17.49億円(同10.8%増)は13期連続増益で10期連続の最高益更新となるなど、売上高、全利益項目において過去最高を更新した。当日、決算説明会を実施し、同社代表取締役社長の朝倉智也氏(写真)は、「13年連続で増益を達成する間には、リーマン・ショック、東日本大震災、欧州危機、チャイナ・ショックやコロナ・ショックなどの危機があった。それらを危機を乗り越えられるような事業ポートフォリオを構築してきた。今期は、近年のけん引役であったアセットマネジメント事業に加えて、ファイナンシャル・サービス事業も復調してきた。引き続き継続的な成長が期待できる」と語った。

 当期も2ケタ成長を続けたアセットマネジメント事業は、グループの運用会社の運用受託残高が20年12月末と比較して38.9%増に拡大した。特に、地方銀行の余資運用を中心とした私募投信の受託が伸び、国内全体の私募投信残高が過去1年間で5.2%増の約111兆円になったことに対し、同グループの残高は21%増の約2.1兆円になった。過去3年では私募投信の受託残高は約4倍になっている。地方銀行と信用金庫などの地域金融機関の日銀当座預金残高は21年12月末現在で約230兆円になっているが、日銀は「地域金融強化のための特別当座預金制度」として実施してきた当座預金の特別付利に22年4月以降に上限を設定するとしており、この230兆円の一部が有価証券運用などに置き換えられると考えられている。

 朝倉氏は、「当社グループは地方銀行64行から受託している。手数料を抑えて金融機関のニーズに適った商品を提供している他、地域金融機関で保有が多いマルチアセットファンドの分析・評価の提供や高度なリスク管理ツールの提供、さらに、フロントからミドル、バックまでトータルで経験できる研修生の受け入れて人材育成の面でもサポートしていることなどが評価されている」と語った。加えて、日銀が21年12月から始めた「気候変動対応を支援するための資金供給オペ」によって、地域金融機関の間でグリーンローン/ボンド、サステナビリティ・リンク・ローンなどESG投融資の取り組み強化が求められているが、「米国モーニングスターが20年7月に世界最大規模のESG評価機関であるサステナリティクス社を買収しており、この評価情報を活用したファンドも組成できる」(朝倉氏)として、ESG投融資の面でも地域金融機関向けのサービスを拡充できるとした。また、公募投信では、積立投資で主として利用されるインデックスファンドの品揃えを拡充し、市場環境を問わずに資金が流入するような商品ポートフォリオにしてきた。

 一方、ファイナンシャル・サービス事業では、窓販サポートツールである「Wealth Advisors」が引き続き提供台数の2ケタ成長が続き業績をけん引している。21年12月末時点での提供台数は11.36万台(前年同期比12.9%増)になった。現在、CMS連携(顧客情報連携)を実施しているのは「Wealth Advisors」を利用する503社のうち4社にとどまるが、CMS連携の検討金融機関が13社になっているという。また、「新型ライフプランシュミレーションツール」(企業名の入力で年収を表示、高校・大学名の入力で必要な学費を表示など、より現実的で詳細な情報を表示)や「重要情報シート」など、付加価値の高いツールを搭載することも提案することによって、事業収益の上乗せを図っている。「Wealth Advisors」の提供に伴うタブレット端末向けのデータサービス事業の売上高は4.47億円(前年同期比20.2%増)と高い伸びを維持している。

 また、Web広告やセミナーなどについても回復傾向にあるとした。セミナー部門は会場とオンラインのハイブリッドセミナーが集客や顧客満足度の上でも支持され、売上高が2.22億円(前年同期比15.6%増)と明確に回復してきている。

 朝倉氏は、「年初から世界的に株式市場が下落する局面となり、経営環境は厳しくなっているが、どのような環境下でも利益が出せるような事業ポートフォリオを築いてきた。また、近年、若い方々を中心に新たに証券投資口座を開設し、自ら進んで投信を購入する方々が増えていると感じている。この新しい投資家が主に使っているのは積立投資だ。当社グループが提供するインデックスファンドを利用していただけると思う。新しい投資家が増えていることは光明だ」と語っていた。