東京時間に115円台を回復したドル円は「リスク回避」が強まったことから小幅に下落。114円46銭まで売られ、115円台維持に失敗。米金利上昇にドルが買われ、ユーロドルは1.1315まで下げる。株式市場は3指数が揃って大幅安。早期利上げ観測の高まりからダウは543ドル安。金利上昇を背景にナスダックは2.6%の厳しい下げに。債券は続落。長期金利は一気に1.88%台まで上昇。金は3日続落。原油は続伸し、約7年ぶりとる85ドル台を付ける。中東情勢の悪化とOPECの強気の石油需要見通しが背景。

1月NY連銀製造景況業指数  →  -0.7
1月NAHB住宅市場指数   →  83

ドル/円     114.46 ~ 114.72
ユーロ/ドル   1.1315 ~ 1.1382
ユーロ/円    129.70 ~ 130.49
NYダウ   -543.34 → 35,368.47
GOLD     -4.10 →  1,812.40ドル
WTI    +1.l61  →  85.43ドル
米10年国債  +0.089 → 1.873%

【本日の注目イベント】

豪  1月ウエストパック消費者信頼感指数
独  12月消費者物価指数(改定値)
欧  ユーロ圏11月経常収支
英  12月消費者物価指数
米  12月住宅着工件数
米  12月建設許可件数
米  バイデン大統領、記者会見
米  企業決算 → P&G、バンク・オブ・アメリカ、モルガンスタンレー、アルコア
加  12月消費者物価指数

日銀の金融決定会合の結果を受け昨日の昼過ぎには115円台を回復し、115円06銭近辺まで上昇したドル円でしたが、115円台維持には失敗しています。NY市場では利上げ観測の高まりから長期金利は大幅に上昇したものの、ドル円は株価の大幅下落に引っ張られ、「リスク回避の円買い」が進み、再び114円台半ばまで押し戻される展開でした。クロス円も全体的に下げており、ドルと円が買われた格好です。

ダウは500ドルを超える大幅な下げとなり、さらに金利上昇に弱いナスダック指数は386ポイント売られています。リスク回避の流れが強まったことで円が買われましたが、長期金利の上昇がドルを支える格好となり、ドル円の下げは小幅に留まっています。NY債券市場では3月のFOMCで利上げ開始との観測が強まり、さらに「0.25%」の引き上げ幅ではなく、「0.5%引き上げ」といった見方も高まったことから債券が売られ、長期金利は先週末から一時10bpほど上昇し、1.88%台まで上昇しました。

久しぶりに注目が集まった日銀決定会合では、一部で予想された利上げへの言及はなく、政策が現状維持だったことで円が売られ115円台に乗せました。黒田総裁は記者会見の席でも、「物価が直ちに2%に近づくことは考えづらい」と語ったり、「オミクロン株で物価が2%に近づく可能性は極めて低い」と述べています。さらには「利上げ議論は全くしていない」と発言したことで日米金融政策の違いから円が売られました。また円相場については、「悪い円安とは今、考えていない。考える必要もない」と述べ、これまでの認識に変化がないことに言及しています。ただ、物価見通しについては今年度の消費者物価指数の見通しをこれまでの「0.9%」から「1.1%」へ上方修正し、2023年度についても「1.0%」から「1.1%」へ引き上げています。全体的には「ハト派的」だった印象が残り、新型コロナウイルス感染症の影響に注視しながらも、「必要があれば躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる」と、これまでの常套句を繰り返していました。

米国では、株式市場への豊富な資金流入や、オミクロン変異株の感染拡大が米景気に大きな影響を及ぼすことはないといった楽観的な見方に支えられ、ダウが引け値で3万6799ドルの最高値を記録したのはわずか2週間前でした。その後1日の新規感染者数が146万人にも達したことはご承知の通りです。懸念されるのは、経済指標にも、やはりその影響がジワジワと表れてきた可能性があることです。昨日発表された1月のNY連銀製造業景況指数は市場予想の「25」を大きく下回る「-0.7」まで低下していました。同景況指数の「32.6」ポイントの低下幅は、新型コロナのパンデミックが始まった直後の2020年4月以来の大きさとなっています。12月の同指数が「31.9」だったことを考えると、受注と出荷の指数が大きく落ち込み、新型コロナウイルスのオミクロン変異株の感染拡大で活動が抑制されたことを示唆している(ブルームバーグ)可能性があります。今後の米経済指標が注目されます。

ドル円は115円台維持には失敗していますが、今後FRBによる利上げ回数の上振れなど不透明な部分も多くあります。肝心なのは米株価がどこで下げ止まるかという点でしょう。米長期金利の上昇がドル円の下げをある程度抑制すると見られますが、株価がされに下げると大量の資金が株式市場から債券市場に流れ込むことにもなり、こちらは米金利上昇を抑えることにもつながります。昨日もこの欄で触れましたが、来週のFOMCを前に市場では「タカ派見通しの波」が急速に高まって来たように思います。FRBとしても株価のさらなる下げは避けたいところ。先走る市場の利上げ観測が行き過ぎなのか、あるいは市場の見方が正鵠を射て、FRBが市場観測に引き寄せられることになるのか、今後数週間で答えが出ると見ています。個人的にはFRBは、先走る市場に再考を促すようなスタンスを示すのではないかと予想していますが、再び厳しい判断を迫られます。「前門のインフレ、後門のオミクロン」といった状況でしょうか。

本日のドル円は114円20銭~115円程度を予想しますが、日中は日経平均株価次第です。どこまで下げるのか注目です。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)