ドル円はリスク回避の流れが強まり、米長期金利の低下からドル売りが優勢となり113円15銭まで下落。ユーロドルは小幅に反発し1.13台に乗せる。株式市場は続落。オミクロン株への懸念や利上げに対する警戒感からダウは532ドル安。ナスダックの下げは小さく10ポイントに留まる。債券は続伸し、長期金利は1.40%台に低下。金は続伸し、約4週間ぶりに1800ドル台を回復。原油は大幅安に。

ドル/円      113.15 ~ 113.77
ユーロ/ドル    1.1236 ~ 1.1333
ユーロ/円     127.73 ~ 128.34
NYダウ    ―532.20 → 35,365.44
GOLD      +6.70 → 1,804.90ドル
WTI       -1.52 → 70.86ドル
米10年国債   ―0.009 → 1.402%

【本日の注目イベント】

欧   ユーロ圏10月経常収支
米   11月景気先行指標総合指数


 先週ドル円が114円台を回復し、114円28銭まで上昇した際、「115円は近いようで遠い距離」とコメントしましたが、ドル円は再び113円台前半まで押し戻され、FRBがタカ派姿勢を明確にしたにもかかわらず、上値の重い展開が続いています。その最大の理由が米株式市場の乱高下に伴う、ボラティリティーの高さにあるとみています。先週のNYダウは、300ドルを超える上昇を見せた後、週末には532ドルの大幅安を見せるなど、不安定な動きに終始しています。このため安全資産の債券が買われ、金利がなかなか上昇できず、先週末には一時1.4%を割りこむ場面もありました。金利上昇の勢いが鈍っていることでドル円も上値を重くしているともみられます。

 ウォラーFRB理事は、FOMCは早ければ来年3月15-16日の会合で利上げを開始する可能性があるとの考えを示しました。同理事は17日のイベントで講演を行い、「テーパリング加速で最も重要な点は、当初よりずっと早い3月にプログラムを終了させることだ。それにより3月の会合で政策金利の変更があり得る。テーパリング加速の意図はそこにある」と述べ、「今後入手するデータの内容にもよるが、3月は利上げ開始を決定し得る会合になり得る」と語っています。さらに「オミクロン株による深刻な影響が労働市場の改善や失業率の低下を遅らせるようなことがない限り、3月が利上げの開始検討の重要な時期から外れることはない」と、明確に述べ、「私の見通しでは、3月に利上げを決定する可能性は極めて高い」と語っています。(ブルームバーグ)

 またNY連銀のウイリアムズ総裁も17日のCNBCとのインタビューで同じように、「米金融政策スタンスを好位置に置くということだ。もちろん、来年のある時点でフェデラルファンド(FF)金利誘導目標の引き上げを実際に開始し得るという選択肢を作るという意味もある」と発言し、「実際に利上げとなれば、景気サイクルのどの時点にいるかという観点で前向きな展開を示す兆候となろう」と述べています。さらにサンフランシスコ連銀のデーリー総裁もウォール・ストリート・ジャーナル(WJ)のバーチャル形式のイベントで、「米経済が、私の予想通り勢いを増し、新型コロナウイルスを切り抜けるように、1四半期は成長が低迷してもその後は回復するといった状況であれば、来年2、3回の利上げは適切だと思う」と説明しています。このように、FRBの幹部からの発言は既に来年2~3回の利上げを規定路線としているような言い回しになっていました。もっとも、これらも市場に2~3回の利上げがあることを徐々に浸透させ、利上げによる混乱を排除するための「フォワードガイダンス」的な意味合いもあると思われます。

 ただ、それでも米長期金利が上昇せず、1.4%台で推移していることに首を傾けざるを得ません。パウエル議長も先週のFOMC後の会見の席で同じような質問を受けた際に、「日本やドイツの国債利回りを見てほしい。米国債の利回りははるかに高く、多くの投資需要がある」と答えていました。また機関投資家の間には、「FRBが利上げに踏み切っても、FRBが想定しているほど米経済が強くなく、利上げを途中で断念するのではないか」といった見方もあるようです。米金利が相対的に高いのと同時に、米国債の流通規模や流動性の高さもあり、さらに長い間の超緩和的な政策の影響から、大量の資金が行き場を探している構図も無視できない事実かと考えています。

 オミクロン株を含むコロナ感染が欧州でさらに拡大しています。
 特にイギリスでは感染拡大が続いており、「サーキット・ブレーカー」と呼ばれる短期間のロックダウン措置を数日以内に導入されるとの見方もあります。フランスやキプロス、ドイツなどがイギリスからの渡航者に対する規制を厳格化しています。またオランダではオミクロン株の広がりに対応するため、19日から少なくとも1月14日までロックダウンを再実施することを決めています。一方我が国ではオミクロン株への感染者が6-7人程度で、昨日の新型コロナウイルスによる感染者数も全国で177人と、極めて低い水準を保っています。ただ厳密には、少しずつですが感染者数が増えてきたことも確認できます。仮にこのまま感染者数の拡大を防ぐことできれば、景気への影響等から円が見直される可能性も、確率は高くはないものの、あるのではないかと考えます。その意味で112円50銭近辺を割り込むようだと、円高加速するリスクも頭の片隅に入れておきたいものです。本日のドル円は113円10銭~113円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)