BOEが利上げを決めるなど、ポンドやユーロがドルに対して上昇したことを受けドル円も反落。114円台前半から114円台を割りこみ、113円58銭までドル売りが進む。ユーロドルも急伸。ECBが来年3月にPEPPの終了を決めたことで1.1360近辺まで買われたがその後下げに。株式市場は反落。特にナスダックの下げがきつく、前日の上昇分を全て吐き出す385ポイントの下落。債券は上昇。長期金利は1.41%台へ低下。金は3日ぶりに大幅反発。原油も大きく買われ72ドル台に。

11月住宅着工件数               → 167.9万戸
11月建設許可件数               → 171.2万戸
新規失業保険申請件数              → 20.6万件
12月フィラデルフィア連銀景況指数       → 15.4
11月鉱工業生産                → 0.5%
11月設備稼働率                → 76.8%
12月マークイット製造業PMI(速報値)    → 57.8
12月マークイットサービス業PMI(速報値)  → 57.5
12月マークイットコンポジットPMI(速報値) → 56.9

ドル/円     113.58 ~ 114.16
ユーロ/ドル   1.1299 ~ 1.1360
ユーロ/円    128.45 ~ 129.63
NYダウ    ―29.70 → 35,897.64
GOLD    +33.70 → 1,798.20ドル
WTI      +1.51 → 72.38ドル
米10年国債  ―0.046 → 1.411%

【本日の注目イベント】

日   日銀金融政策決定会合
日   黒田日銀総裁記者会見
独   独11月生産者物価指数
英   英11月小売売上高
独   独12月ifo景況感指数
欧   ユーロ圏11月消費者物価指数(改定値)
米    ウォラー・FRB理事講演


 各国中銀の金融政策会合が集中した昨日、多くの中銀が利上げに踏み切りました。サプライズだったのがBOEの利上げです。物価上昇が続くものの、オミクロン株の感染拡大を考慮して、今回は利上げを見送るといった観測が市場のコンセンサスだったことから、利上げ後にはポンドドルが急伸し、1.3374近辺まで買われ、約3週間ぶりの高値を付けています。BOEは声明で、「金融政策委員会(MPC)は8対1で、政策金利を0.15ポイント引き上げて0.25%にすることを決定した」と発表しました。
 イギリスでは昨日も新型コロナウイルスの新規感染数が7万8000人を超え、中でもオミクロン株の割合が急拡大しています。このような状況にもかかわらず利上げに踏み切ったことは、足元の物価上昇の勢いは看過することが出来ないというBOEの強い意志の表れであると同時に、オミクロン株の感染はいずれ克服できるといった読みが背景にあるとも考えられます。因みにBOEの利上げは「G7」諸国の中では初めてのことになります。

 ECBも政策会合で、パンデミック緊急購入プログラム(PEPP)の下での純購入額を来年3月で終了することを決めましたが、従来の資産購入プログラム(APP)の購入を増額すると発表しています。ラガルド総裁は会合後の記者会見で、「以前にも述べたように、2022年に利上げする可能性は極めて低い。これは変わっていない」と述べました。ただ「インフレ見通しには上振れリスクがある可能性もある」と釘をさしています。ユーロドルは一時1.1360まで上昇しましたが、これはポンドドルでドルが売られポンドが買われたことによる「連れ高」の影響と見られます。ラガルド総裁の会見を受け、その後ユーロはじりじりと値を下げています。

 上記以外にも、ノルウェー中銀が今年2回目となる利上げを行い、メキシコ中銀も政策金利を引き上げています。そんな中、「我が道を行く」のがトルコ中銀です。トルコ中銀は昨日4カ月連続となる「利下げ」を発表しました。1週間物レポ金利を1.0%引き下げ、14.0%にしています。この「利下げ」は市場予想通りでした。 トルコでは20%近いインフレが続いており、度重なる利下げを受け、ドルリラが15近辺までリラ安が進み、過去最安値を更新しています。これに対してトルコ中銀は「市場介入」でリラ安に対抗してはいますが、介入時には一時的にリラは反発しますが、今月3回の「市場介入」が確認されている中で、リラの下落圧力はそれほど弱まってはいません。

 トルコ中銀が利下げを発表するとドルリラは一時、前日比5.7%安の15.65前後までリラ安が進みました。今年1月は7.44前後で推移していたリラはこれで、110%を超える価値が減少したことになります。対円でも再び7円台前半まで下げ、リラに対する恐怖心も収まりません。

 「利下げが物価抑制につながる」といったエルドアン大統領の意向に沿った利下げですが、同国のネバティ財務相も、「われわれは金利を上げない」と、中銀に圧力をかけています。金融政策とインフレの「ねじれ」が「大幅な通貨安」を引き起こしており、「市場介入」の原資となる外貨準備も潤沢ではありません。トルコの最大の外貨獲得手段である「観光」は、本来ならリラ安でさらに観光客を呼び込む格好の材料になりますが、こちらは「新型コロナウイルスのパンデミック」が立ちはだかり、機能不全です。泣きっ面に蜂状態と言えます足元のリラ安には多分に投機的な部分はあろうかと思います。そうである以上、どこかの時点で必ず大きく反発するのが「市場の原理原則」です。ただリラについてはその見通しが立てられないのが非常に難しい点です。

 ドル円は今回も114円台は回復したものの、前半で押し戻されました。各国が利上げに向け足並みを揃えて来る中、日銀だけが、まだその列に加わっていません。今後も円売り圧力が大きく弱まる可能性は低いと思われます。「非難通貨」の一面を持つ円と、「低金利」が続く円との微妙な綱引きは2022年にも持ち越されそうです。

 本日のドル円は113円30銭~114円10銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)