ドル円は小幅に下落。欧州で新型コロナウイルスの感染が再拡大していることで、株安・債券高となり、円を買う動きが強まった。ユーロドルは続落し、1.1250まで売られる。新型コロナウイルスの感染拡大で、オーストリアが最大20日間のロックダウンを決めたことなど、景気への懸念が強まる。株式市場は欧州での感染拡大の影響からボーイング株などが大きく売られ、ダウは268ドル安。一方ナスダック指数は金利低下を好感し最高値を更新。債券は続伸。長期金利は1.54%台へと低下。金と原油は揃って下落。

ドル/円     113.69 ~ 114.07
ユーロ/ドル   1.1250 ~ 1.1322
ユーロ/円    127.97 ~ 129.04
NYダウ   -268.97 → 35,601、98
GOLD     -9.80 → 1,851.60ドル
WTI      -2.90 → 76.10ドル
米10年国債  -0.039 → 1.546%

【本日の注目イベント】

欧   ユーロ圏11月消費者信頼感指数(速報値)
米   10月中古住宅販売件数
米   企業決算 → ズーム


 欧州では新型コロナウイルスの感染が再拡大し、過去最多の感染者数を記録する事態になってきました。オーストリアでは全国規模で感染が広がっており、22日から最大20日間のロックダウンを決め、20日はこれに抗議する数万人規模のデモが首都ウイーンでありました。またドイツでは連日5万人前後の新規感染者が出ており、フランスやイタリアでも同様に感染者数が急拡大しています。

 行動制限の導入で景気への影響は必至と見られ、ユーロは連日安値を更新しており、先週末のNYでユーロドルは1.1250まで売られ、2020年7月以来となる安値を付けています。ユーロは対円でも2カ月ぶりの安値です。欧州での感染拡大の影響は米国にも及び、NY株式市場ではボーイングなど、航空株が大きく売られ、ダウの下げをけん引しています。日本では依然として感染者数が減少傾向で、安心感が漂ってはいますが、北海道では感染者数が微妙に増加傾向を示しており、「第6波」への懸念も残っています。これから寒さも増し、年末年始で人の移動なども増えてきます。警戒感を緩めるわけにはいきません。

 米政府は、ロシア軍はプーチン大統領からの命令が下りれば直ちにウクライナの複数の箇所から大規模な攻撃を始められるよう、国境付近に軍の配備を増強しているとして、地図などの情報を欧州同盟国と共有しています。バイデン大統領も警戒を強めるよう指示している模様です。そのバイデン氏は79歳の誕生日を迎え、健康診断でも極めて健康で、大統領の職務を全うできるとのお墨付きをもらったようです。そのこともあってか、ワシントンポスト紙は、バイデン氏が2024年の大統領選に出馬する意向を関係者に伝えたと報じています。仮に事実だとすれば82歳での大統領選出馬ということになり、勝利すれば86歳まで大統領職を務めることになります。さすがに「ご高齢」です。すでにトランプ氏は2024年の大統領選には出ると見られており、稀に見る高齢者同士の闘いになるかもしれません。

 ウオラーFRB理事は講演で、「労働市場の急速な改善とインフレデータの悪化を受け、私はテーパリングを加速し、来年には金融緩和をより急速に解除することを支持する方向に傾いている」と発言し、「最新のデータを見守るつもりだが、金融政策はこれに基づいてテーパリング加速の方向へとかじを切る必要があるかもしれないと考える」と語っています。セントルイス連銀総裁のブラード総裁もすでに同様な考えを示しており、来年中ごろに予定しているテーパリング終了が早まる可能性もあります。そしてその結果、さらに利上げ開始のタイミングにも影響が出て来ることも考えられます。

 先週「115円台乗せ」に失敗したドル円はやや上値を抑えられ、重苦しい展開です。FRBによる金融正常化への道筋が着々と進められると見られ、長期金利は緩やかに上昇していくと想定されています。米金利との相関が強いドル円はその影響から同じ様に、緩やかにドル高が進むとみていますが、気になるのは足元での各国のコロナ感染の影響です。今年春先から夏にかけては、日本のワクチン接種の遅れや、爆発的な感染者数の増加から円が売られ、円は「全面安」の展開でした。今回欧州で感染が再拡大し、米国でも感染者数は高止まりしています。一方日本では遅れていたワクチン接種率が今や世界でもトップクラスです。今度は円が見直され、主要通貨に対して円が「全面高」になる可能性もないとは言えません。金融政策の差は明らかに「円安」を示唆してはいますが、主要国のコロナ感染の状況にも注意しておくにこしたことはありません。

 本日のドル円は113円50銭~114円30銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)