アジア市場では上値が重かったドル円はじり高となり、NYでは米長期金利が上昇したことを受け114円21銭までドル高が進む。ユーロドルではさらにドル高・ユーロ安が進み、ユーロは1.1356前後まで下落。2020年7月14日以来となるユーロ安を記録。株式市場は好調な経済指標を受け、朝方は上昇していたもののその後失速。金利が上昇したことからマイナスに転じたが、下げ幅は限定的に留まる。債券は続落。長期金利は1.61%台に上昇。金は8日ぶりに反落。原油は小幅ながら上昇。

11月NY連銀製造景況業指数   → 30.9

ドル/円  113.84 ~ 114.21

ユーロ/ドル 1.1356 ~ 1.1448

ユーロ/円  129.68 ~ 130.42

NYダウ   -12.86 → 36,087.45ドル

GOLD   -1.90  →  1,866.60ドル

WTI   +0.09  →  80.88ドル
 
米10年国債  +0.053 → 1.615%

本日の注目イベント
豪   RBA、金融政策会合議事要旨公表
欧   ユーロ圏7-9月期GDP(改定値)
欧   国際エネルギー機関(IEA)月報
英   英10月失業率
米   10月小売売上高
米   10月輸入物価指数
米   10月鉱工業生産
米   10月設備稼働率
米   11月NAHB住宅市場指数
米   デーリー・サンフランシスコ連銀総裁講演
加   カナダ10月住宅着工件数

 間もなく米中首脳会談が始まります。オンライン形式の会談ですが、日本時間9時45分から始まり、1時間半程度行われる模様です。貿易や台湾問題、さらに人権問題や中国の経済慣行などが話し合われるようです。事前の報道では両国にとって利益になる部分では関係を深めていくことのようでしたが、今回の首脳会談でどこまで両国間に横たわる「溝」を埋めることが出来るのか注目したいと思います。

 ブルームバーグ・エコノミクス(BE)は今回の首脳会談に合わせて「米中関係が新冷戦へと進んだ場合」のシミュレーションを行いました。幾つかのケースを挙げていますが、その中でも最悪のシナリオとして、米中関係がさらに悪化し、両国間の全ての貿易が事実上停止した場合のシミュレーションが興味を引きます。この場合、他の全ての国が米中いずれかの側につくことが余儀なくされ、中国のGDPは6%押し下げられます。また、アジアの近隣国およびブラジルやロシアなど主要資源輸入国から成る「中国ブロック」も負け組となります。一方、米国のGDPは約7%押し上げられ、カナダ、メキシコ、インド、のプラス効果はさらに大きくなるといった分析結果を発表しています。このシミュレーションにある程度の信頼性があるのであれば、さすがに中国も危機感を抱くのではないでしょうか。

 11月のNY連銀製造業景況感指数は予想を大きく上回る「30.9」と、前月の「19.8」から力強い伸びを見せました。同指数は「0」が活動の拡大と縮小の境目で、今回の指標では受注の伸びと雇用の加速が寄与しており、販売価格の指数は統計でさかのぼれる2001年以降で最高となっています。

 足元で高進しているインフレをあなどるべきでないと警告を与え続けているサマーズ元財務長官は15日、今度は、過度なインフレへの対処に失敗すれば、トランプ前大統領の返り咲きをもたらす可能性があると警告しています。サマーズ氏はブルームバーグへの寄稿者であるため、同社のニュースに登場する頻度は高いものの、今回は「バイデン政権によるFRBの人事では、インフレ抑制という課題を認識する必要があり、それが金融政策全般に反映されるべきだ」とツイートし、さらに「過度のインフレとそれが抑制されていないという感覚が、リチャード・ニクソンとロナルド・レーガンの当選を後押しした。ドナルド・トランプ氏が権力を取り戻すリスクもある」と指摘しています。また英国でもBOEのベイリー総裁はインフレの状況を「非常に懸念している」と述べ、「労働市場は逼迫している」と指摘。今月利上げを見送ったことについては、「非常にぎりぎりの決断だった」と語っています。

 日本でも第3回目のワクチン接種が来年そうそうにも開始される見込みですが、欧州では感染の再拡大が懸念される中、昨日の全国の新型コロナウイルスの新規感染数は「79人」と、今年最小を更新しています。東京都でも「7人」と最小を記録し、医療従事者もようやく小休止といった状況です。米疾病対策センター(CDC)は、米国から日本への渡航について、警戒レベルを引き下げることを発表しています。非常事態宣言が解除され、「リベンジ旅行」も盛り上がり、さらにこれからは年末年始と、人の移動もより活発になります。専門家は声を揃えて「第6波は必ずくる」と、警戒を緩めないよう警告しています。このままの状況で年末年始を迎えられることを祈念したいと思います。

 ドル円は再び114円台前半まで戻ってきました。114円台ミドルを試す動きになるのか、今回も注視したいと思います。予想レンジは113円70銭~114円50銭といったところでしょうか。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)