国民的なメッセージアプリ「LINE」が2019年8月に証券サービスを開始して2年が経過した。オンラインで完結するスピーディな口座開設に加え、口座開設者にクイズの正解数に応じて株式の購入代金をプレゼントする「初株キャンペーン」や対象銘柄が割引価格で買える「株のタイムセール」などユニークなキャンペーンを展開し、既に口座数は80万口座を超えた。株式投資を中心に口座開設者が増えてきているLINE証券では、分散投資の重要性を感じた方を中心に、徐々に投資信託へのニーズが高まってきたという。「今、毎日のように投資信託関連のサービス拡充に向けた議論をしている」というLINE証券取締役執行役員のイ ウォンチョル氏(写真)に、今後の投資信託関連サービスの拡充計画などについて聞いた。

 ――LINE証券の投資信託の取り扱いは、「全銘柄の購入手数料無料」「毎月1,000円からの積立投資サービス」「100円からのスポット購入」などが特徴です。投資未経験者に投資を始めるきっかけを提供することに重点が置かれているのでしょうか? 

 LINEの強みは、徹底的なユーザー調査にあります。どこよりもユーザーが求めているサービスに徹することによって、利用者からも「LINEのサービスはいいね」と思っていただき、LINEのサービスを利用するようになっていただくことをめざしています。この徹底したユーザーが求める価値の追求を日々行うことで、今以上に投資信託のサービスを充実させたいと考えています。

 2019年8月にLINE証券を立ち上げて2年間を振り返ると、ユーザーの方々が求めているのは、株式の取引だということが明確でした。そこで、株式投資について徹底的に使いやすいプラットフォームを作ることに集中してきました。エントリーしやすい、売買しやすいという環境を整え、信用取引なども含めてネット証券各社と比較してそん色のないサービスを展開するようになってきています。その結果として、2年間で80万口座を超える口座を開設していただきました。

 株式投資というと、年配でベテランの投資家の方々が多いというイメージなのかもしれませんが、30代~40代くらいの方々が、最近の株価の上昇で株式投資の成功体験を積んで、積極的に株式売買をなさっています。たとえば、ユニクロを展開するファーストリテイリングが、昨年春に4万円くらいの株価だったのが1年もたたずに10万円を超えました。最近始めた若い投資家の方々は、「株式投資は儲かる」という意識が強いのです。

 ただ、コロナ・ショックの後で大きく値上がりした株価が、昨年の年末から今年の夏頃にかけて、一旦、頭打ちのような、上げたり下げたりという相場に変わってきて、初めて「投資の壁」にぶつかったような段階です。投資タイミングを考えた方が良いこと、また、分散投資の重要性を感じる方が増えています。その中で、投資信託についても関心が高まってきています。このような中で、今、まさに投資信託のラインナップの拡充などに取り掛かろうとしているところです。

 ――投資信託のラインナップについて、その特徴と狙いを教えてください。現在(2021年10月22日時点)の30銘柄は、低コストのインデックスファンドから、ブル・ベア型商品まで多彩なラインナップになっていますが、このラインナップの狙いは?

 現在のラインナップは、お客さまのニーズを知るために、資産クラスを幅広く分散し、運用成績の良いファンドや、リスクの低い債券ファンドからリスクの高いブル・ベア型ファンドまで、様々な性格の商品を一通り取り揃えてご提供しています。

 幅広いカテゴリーの商品を揃えたことで、ユーザーは、やはりパフォーマンス重視で商品を選ぶ傾向が強いことが分かりました。この2年間を振り返ると、アメリカのハイテク株式ですとか、アメリカを中心とした先進国の株式が大きく値上がりしましたが、投資信託で購入が多いのも北米を中心とした先進国の株式アクティブファンドでした。

 ――今後のラインナップの拡充の方針について教えてください。ネット証券では品揃えの多さを競うところがありますが、LINE証券の考えは?

 ラインナップは、徹底的にユーザーニーズに沿った品ぞろえを行っていきます。お客さまニーズを考えると、1,000本や2,000本など、やみくもに取扱いファンドの数を増やす必要はないと思っています。LINE証券は、営業員が説明しながら販売するわけではないので、ファンドがいくつもあって、それぞれの違いについて1本ずつ説明が必要なような販売の仕方はできません。お客さまのニーズに適した、これはという選りすぐりの商品を取りそろえ、分かりやすい商品提供をめざしていきます。

 10月25日から新たに「フィデリティ・割安成長株投信(愛称:テンバガー・ハンター)」と「野村グローバルAI関連株式ファンド」をラインナップに加えました。この2ファンドは、これまで野村證券でしか取り扱いがなかったファンドで、非常にパフォーマンスが良いファンドです。

 「テンバガー(株価が10倍になると期待される銘柄)」が狙える株式に投資するとか、「AI(人工知能)」に関連する株式に投資するなど、分かりやすい商品性になっています。しかも、野村證券でしか買えなかった希少性もあります。加えて、LINE証券では購入時手数料が無料で購入していただけます。非常に魅力を訴えやすい商品になっていると思います。このような魅力が分かりやすい商品を増やしていきたいと考えています。

 ――最後に、今後のサービス拡充策などの計画は?

 今まさに、投資信託のサービス拡充策については議論をしているところです。商品の品揃えや制度対応なども含めて、スピード感を持ってサービスの拡充を進めていく計画です。

 LINE証券が提供するサービスの拡充には、2つのフェーズがあると思っています。まずは、LINEのユーザー8,900万人に、いつでも手軽に始められる証券取引の窓口として、使いやすいサービスの拡充です。先ほどのファーストリテイリングの株式を買おうとすると、一般の証券会社の単元株なら750万円程度必要になります。それを、1株から買えるようにして、株式投資をより身近に感じてほしいというところをやっています。それは投資信託でも同じ考えです。まずは、多くのお客さまに利用していただける入り口を増やします。現在のLINE証券のユーザーは約60%が株式投資未経験の方々です。一方で、経験者の約40%の方々は、FXや信用取引なども求めておられます。まずは、お客さまのニーズに幅広く応えられるフルラインのサービスを提供する計画です。

 その後、徐々にサービス品質を上げていくステージに入りますが、そこは、ユーザーの皆様と一緒に成長していくイメージです。幅広い年代の方が利用するLINEだからこそ、世代に応じて金融ニーズが異なっていきます。それに合わせて、LINE証券のサービスも一緒に成長し、常にユーザーの方々にぴったりな商品・サービスを提供する会社でありたいと考えています。(情報提供:モーニングスター社)