東京時間夕方に110円42銭近辺まで買われたドル円はADP雇用者数の発表を契機に反落。110円を割り込み109円88銭まで売られる。ユーロドルは続伸。ECBによる資産購入縮小観測を支えに、1.1857まで上昇。株式市場はまちまちながら、大型ハイテク株の上昇にナスダックは連日で最高値を更新。ダウは小幅に下げ、S&P500は小幅高。債券は反発。長金利は1.29%台に低下。金は反落し、原油は小幅に反発。

8月ADP雇用者数              →  37.4万人
8月ISM製造業景況指数           →  59.9
8月マークイット製造業PMI(改定値)    →  61.1
8月自動車販売台数              →  1306万台

ドル/円  109.88 ~ 110.38
ユーロ/ドル 1.1814 ~ 1.1857
ユーロ/円  130.12 ~ 130.45
NYダウ   -48.20  → 35,312.53ドル
GOLD    -2.10 → 1,816.00ドル
WTI   +0.09 →  68.59ドル 
米10年国債  -0.015 → 1.294%

【本日の注目イベント】

豪   豪7月貿易収支
日   8月マネタリーベース
米   新規失業保険申請件数
欧   ユーロ圏7月生産者物価指数
米   7月貿易収支
米   7月製造業受注
加   カナダ7月住宅建設許可件数
米   ボスティック・アトランタ連銀総裁、オンラインイベントで質疑応答に参加
米   デーリー・サンフランシスコ連銀総裁、ウェビナーに参加
加   カナダ7月貿易収支

 ドル円は昨日の東京時間から底堅い動きを見せ、夕方には110円42銭近辺までドル高が進みました。「ひょっとしたら、110円台を固める動きの前兆か」との見方も台頭しましたが、そうは簡単にいかないところがここ数カ月の相場展開。NY時間朝方に発表された8月のADP雇用者数の結果にあえなく110円台を割り込み、109円88銭まで押し戻れ、110円前後で取引を終えています。米長期金利の低下がドル円の上値を抑える展開になっている一方、ユーロ円など、クロス円が再び上昇基調に転じてきたことがドル円を支える構図になっています。

 8月のADP雇用者数は事前予想の「62.5万人」に対して「37.4万人」と、予想を大きく下回りました。7月の時も予想を大きく下回り、これで、2カ月連続で下振れしたことになります。7月分はさらに下方修正され、ここから窺えることは、企業の人材確保が依然として困難だということを示唆しています。さらに新型コロナウイルスのデルタ変異株の感染拡大で外食などサービス業への消費支出が大幅に減少すれば、人員採用へのさらなる向い風になる恐れもあります。ただ予想を大きく下回ったものの、8月の雇用はあらゆる規模の企業で幅広く増加しています。従業員5000人以上の企業では13万8000人増え、小規模企業でも8万6000人増加しています。(ブルームバーグ)

 明日は雇用統計の発表です。7月はADP雇用者数が予想を大きく下回ったものの、雇用統計では予想を大きく上回る結果だったことは記憶に新しいところです。さて、今回も前月のように「逆相関」を見せるのか、あるいは予想を大幅に下回り「相関」を見せるか注目されます。言えることは、両データにははっきりとした相関関係はないと言うことです。相関係数で言えば「ゼロ」に近い値と言えます。因みに「+1」であれば極めて相関関係が強く、「-1」に近づくほど「逆相関」が強まるということになります。果たして今回は?

 ECBの政策委員会のメンバーであるワイトマン・ドイツ連銀総裁は講演で、「物価見通しに対するリスクを注視しなければならない。私の見解は、上向きのリスクが優勢だ」と語り、「緩和的な金融政策は依然として適切だが、インフレが加速し過ぎるリスクを無視すべきでない」と述べています。8月のユーロ圏のCPIは前年同月比3.0%上昇し、10年ぶりの高インフレを記録しました。中でもドイツやフランスでは3%を大きく超えています。ECB内ではドイツに近いとされる、オランダ中銀とオーストリア中銀の総裁が、ユーロ圏の景気回復の進展に照らし、債券購入を減速させるべきだという意見を主張していますが、ギリシャ中銀総裁は反対に、インフレ急上昇を過剰に解釈してはならないと反論しています。来週9日に開催されるECB理事会での議論と、ラガルド総裁の判断が注目されます。ユーロドルは先月20には1.16台ミドルまで売られましたが、すでに底値から200ポイント程の反発を見せており、ECBのテーパリングを意識した動きと見られます。

 ジャクソンホールのシンポジュウムでのパウエル議長の講演を踏まえるまでもなく、明日の雇用統計と来月の雇用統計の結果が非常に重要な意味合いを持ちます。議長の発言がややハト派寄りであったことから、株と債券が買われ、ドルはやや軟調に推移しています。底堅いドル円はコロナワクチンや政治的リスクがやや織り込まれているのかも知れません。短期的にはドルの上値が重いと予想している筆者の見方がどこまで有効か、あるいは読み違えなのか、明日の雇用統計が教えてくれそうです。

本日のドル円は109円60銭~110円40銭程と予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)