ドル円は109円12銭まで続落。アジア市場でも上値は重く、NYでは朝方株価が大きく下げ、金利も低下したことで円を買う流れが強まった。ユーロドルは反落。ユーロ円の売りも活発となり、ユーロを押し下げ、1.1768までユーロ安に。ユーロ円は3月下旬以来となる128円台半ばまで続落。株式市場はタリバンのカブール制圧を受け朝方は大きく下げたが、その後反発。結局、ダウとS&P500は5日連続で最高値を更新。債券は続伸し、長期金利は1.26%台へと低下。金は続伸。原油は大幅に続落。

8月NY連銀製造景況業指数   →  18.3 
       
ドル/円  109.12~ 109.44
ユーロ/ドル 1.1768 ~ 1.1790
ユーロ/円  128.49 ~ 128.81
NYダウ   +110.02  → 35,625.40ドル
GOLD     +11.60→ 1,789.80ドル
WTI   -1.15   → 67.29ドル 
米10年国債  -0.012 → 1.265%

【本日の注目イベント】

豪   RBA議事録
欧   ユーロ圏4-6月期GDP(改定値)
英   英7月失業率
米   7月小売売上高
米   7月鉱工業生産
米   7月設備稼働率
米   8月NAHB住宅市場指数
加   カナダ7月住宅着工件数
米   パウエル・FRB議長、カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁。
    タウンホール会議を開催

 昨日のこの欄で、NY株の下げに伴うリスク回避の流れから、109円前後の円高を予想しましたが実際の動きは109円12銭まで売られ、想定内の展開でした。株価の方も、ダウは朝方280ドルを超える下げを見せましたが、その後は急反発し、結局110ドル高で取引を終え、これで5営業日連続の最高値更新です。S&P500も同じように最高値を更新し、NY株の上昇には驚きを禁じ得ません。デルタ変異株の感染拡大も、タリバンによるアフガン制圧も、さらに昨日発表された8月NY連銀製造業景況感指数が市場予想を大きく下回る結果にも、「なんのその」と買われ、ダウは朝方の底値から400ドル近く上昇したことになります。ただこれらの影響は、債券市場では安全資産の債券が買われ金利は低下する形になっていますが、結局、株式も債券も買われたことになります。先週末のミシガン大学消費者マインドといい、昨日のNY連銀製造業景況感指数といい、これまでに見られなかったほど景気の下振れを示唆する指標に、何か危うさを感じている次第です。

 バイデン大統領は16日ホワイトハウスから全国向けの演説を行いました。その中でバイデン氏は、アフガニスタンからの米駐留軍撤退を決めた自身の判断について、適正だったと擁護しています。「20年を経て、米軍を撤退させる上で適切な時期などないと経験を通じて知った」と語り、「われわれのアフガニスタンでのミッションは決して国家建設ではなかったはずだ」と述べ、「テロとの闘い」であったことを強調していました。報道によると、米国はこの20年にわたる戦いで、戦費は少なくとも2兆2610億ドル(約250兆円)もの莫大な資金をついやし、2300人以上の米兵が命を落としています。国民の間にも今や厭戦気分が広がっており、世論、人的・物的コストの面らも撤退を決めたものと思われます。ただ今後タリバンが「9・11」のように、米国を標的にする行動を起こすようなら、再び米国が軍事力を行使する可能性もあります。タリバンの報道官は「誰も命を心配する必要はない」と表明し、ナンバー2であるバラダル師も、「われわれは思いあがってはいない。われわれがいかに住民に奉仕し、安全を守り、可能な限り良い生活と未来を確実にすることができるか、試される時がきた」(ブルームバーグ)と述べていますが、その保障もなく、国際社会もこの言葉を受け入れてはいません。中東の地政学的リスクという意味でもタリバンの今後の行動を注視する必要があります。

 政府は1都5県に発出されている「緊急事態宣言」の期限を来月12日まで延期する方針のようです。さらに福岡など7府県を追加する予定です。夜のニュースではどの番組でも、「医療崩壊」が既に起きていることを報じていました。新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、今月15日までのお盆の人の移動は、昨年を大きく超えていたようです。この影響が今週どのように出るのか、専門家のみならず多くの人にとっても関心があります。欧米では爆発的な感染後ワクチン接種が急速に進み、これが経済再開を促し景気の急回復につながったことはGDPなどでも確認できました。日本の場合、一時的な景気浮揚もないままデルタ変異株の感染に襲われている状況です。昨日発表された4-6月期のGDPは、前期比年率で「1.3%」と2期ぶりのプラス成長でしたが、その成長力は欧米に比べるとかなり見劣りのするものでした。コロナウイルス第5波の感染状況を考えると7-9月期は再びマイナス成長に逆戻りする可能性もありそうです。「最大の景気対策は、コロナの感染拡大を防ぐことです」昨日のNHKキャスターの言葉が正鵠を射ていると思います。

本日のドル円は109円~109円70銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)