資源・コモディティ価格の上昇が中国の製造業の業績を悪化させる懸念が高まっている。大和総研経済調査部主席研究員の齋藤尚登氏は7月20日、「中国:景気下振れ懸念と政策余地」と題したレポート(全10ページ)を発表し、中国経済の現状を分析した。レポートの要旨は以下の通り。

◆中国国家統計局によると、2021年4月~6月の実質GDP成長率は前年同期比7.9%となり、1月~3月の同18.3%から低下した。1月~3月は前年の低迷の反動増で高成長を遂げたが、4月~6月はその影響が小さくなった。

◆資源・コモディティ価格が大きく上昇しているが、中国では加工工業品や生活財分野の価格競争は厳しく、消費者に近い分野ほど、価格転嫁の動きは部分的にとどまる可能性が高い。価格転嫁が進まなければ、コスト増加によって製造業企業の業績は悪化を余儀なくされることになる。企業の業績悪化⇒所得の伸び悩み⇒消費の抑制が懸念されるほか、企業は設備投資を抑制する可能性が高くなるだけに、今後の輸入物価や卸売物価の動向が注目される。

◆中国人民銀行は7月15日、実体経済へのサポートと企業の資金調達コスト低下を目的に、預金準備率を0.5%引き下げた。それでも大手行の預金準備率は12.0%と高い。景気下振れ懸念はあるが、いざとなったときの政策余地は残されている。(情報提供:大和総研)(イメージ写真提供:123RF)