ドル円は下落し、約1週間ぶりに110円台を割り込む。良好な経済指標を受けても米長期金利が低下したことでドル売りが強まった。ユーロドルは反発。ドル安の流れからユーロ買い戻しが強まり、1.1819まで上昇。株式市場は大幅び続伸。先週末の良好な雇用統計に加え、この日発表されたISM非製造業景況指数も予想を上回ったことを好感。ダウとS&P500は最高値を更新。債券は反発。長期金利は1.700%近辺まで下落。金は小幅に上昇。原油は大きく売られ58ドル台に。需給悪化の見通しが重石となり2ドル80セントの下落。

3月ISM非製造業景況指数              →  63.7
3月マークイットサービス業PMI(改定値)      →  60.4
3月マークイットコンポジットPMI(改定値)     →  59.7
2月製造業受注                    →  -0.8%

ドル/円  109.96 ~ 110.52
ユーロ/ドル 1.1757 ~ 1.1819
ユーロ/円  129.87 ~ 130.19
NYダウ  +373.98  → 33,527.19ドル
GOLD  +0.40 → 1,728.80ドル
WTI  -2.80 → 58.65ドル
米10年国債  -0.021 → 1.700%

【本日の注目イベント】

豪   RBA、キャッシュターゲット
中   中国3月財新サービス業PMI
欧   ユーロ圏2月失業率
米   IMF世界経済見通し(WEO)

 先週発表されたISM製造業景況指数に続き、非製造景況指数も予想を大きく上回り、米景気が順調に回復していることを示す結果でした。3月のISM非製造業景況指数は「63.7」と、実に1997年の統計開始後で最高となりました。前月の「55.3」を大きく上回り、過去最高でしたが業種別の内訳を見ると、18業種全ての活動が拡大しており、中でも「娯楽」、「リクリエーション」、「卸売り」、「鉱業」の伸びが目立っています。ISM非製造業景況調査委員会のニエベス委員長は、「3月はサービス業の拡大ペースが大きく加速した」と述べています。(ブルームバーグ)細目では「新規受注」が統計史上最高の「67.2」と、前月の「51.9」から大幅に改善しています。同指数は「50」が活動の拡大・縮小の境目で、製造業同様、サービス業でも活動が大きく回復していることが確認されました。

 先週からの相次ぐ経済指標の上振れを受け、インフレ懸念の高まりから債券が売られ、長期金利が上昇するのがこれまでのセオリーでしたが、昨日のNYでは債券は買われ、金利は低下しています。債券市場が落ち着きを取り戻し、「経済データの上触れ→債券売り」といった反応を見せなくなったようです。長期金利の下落を受けドル円ではドル売りが強まり、堅調だったドル円も先月30日以来となる110円割れを示現しています予想したように、「111円が近いようで遠い」結果になっています。それでもこのステージは調整局面に過ぎず、ドルが売られた所は、押し目買い(Buy on dip)という基本スタンスは維持されると考えます。参考までにIMMのポジションを見ても、投機筋のネット円売りポジションは急拡大しています。米商品先物取引委員会(CFTC)のデータでは、3月30日時点でのネット円売り枚数は4万8510枚と、2019年1月以来の大幅な円売りとなっています。投機筋は3月に入ってから、それまでの「ドル売り・円買い」のポジションを、「ドル買い・円売り」に転換しており、これがドル円を111円手前まで押し上げた原動力の一部と見られます。

 イエレン財務長官はシカゴ国際問題評議会(CCGA)の会議で、国際的な経済政策に関する初の主要な演説を行い、米国の「国際舞台」への復帰をアピールしました。中国の名前を挙げつつ、競争環境を公平なものにするため米国には「世界市場での強力なプレゼンス」が必要だと述べています。イエレン氏は、「米国第一が、米国単独ということであっては決してならない」と述べ、トランプ前大統領の「アメリカ・ファースト」を批判したと思われる発言を行い、その上で「世界におけるリーダーシップと関与の欠如は、米国の機関と経済を脆弱させる」と指摘しました。さらにイエレン氏は、トランプ前政権の4年間について、米国を「自ら孤立させ、米国が築いた国際秩序から後退させた」(ブルームバーグ)と批判し、コロナ対策の財源確保のために、米国が主導する形で法人税における最低税率(Minimum Corporate Tax)の創設を提案しています。イエレン氏は著名な経済学者でありFRB議長経験者であることはご存知の通りですが、財務長官就任後は、歯に衣着せぬ、それでいて、経験に裏付けされた鋭い発言が目立っていると感じます。立場の違いはあるにせよ、トランプ政権時代のムニューシン財務長官との存在感の違いに驚くばかりです。

 ドル円は昨日のNY市場で一旦110円を割り込みましたが、110円近辺には短期的な動きを示す「1時間足」の「200時間移動平均線」があります。引き続きこの水準を明確に抜け切るかどうかに注目しています。

本日のドル円は109円90銭~110円60銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)