中国の2021年1月~2月の主要経済指標は鉱工業生産や小売売上など軒並み30%以上となり、コロナ禍からの脱却を印象付けているが、3月11日に閉幕した全人代(国人民代表大会)で示された今年の成長率目標は「6.0%以上」という慎重な数字になった。大和総研経済調査部の主席研究員の齋藤尚登氏は3月23日に「中国:急回復。でも『今年は頑張りすぎない』」と題したレポート(全8ページ)を発表し、「6%成長目標」について考察した。レポートの要旨は以下の通り。

◆3月11日の全人代閉幕後、李克強首相は内外の記者を招いて記者会見を行った。2021年の成長率目標は前年比6%以上(以下、変化率は前年比、前年同期比)とされたが、成長率に対する考え方のポイントは2つである。1つは、6%は最低ラインであり、実際はより高い成長率を想定していることである。もう1つは、それでも高すぎる成長は避けたいということである。今年頑張りすぎて、来年にその反動が出て「大起大落」(乱高下)という状況に陥れば、2022年秋の党大会を良い雰囲気で迎えることはできなくなる。「今年は頑張りすぎず、来年に余力を取っておく」が、6%以上に込められたメッセージなのである。

◆中国の実質GDP成長率が2020年の2.3%から2021年には8.0%程度に大きく回復するとの見通しに変更はない。前年同期がコロナショックで大幅なマイナスとなった反動もあり、2021年1月~2月の主要経済指標は軒並み30%以上の増加を記録した。春節の連休を中心とした帰省・旅行の自粛の影響は少なからずあったが、回復基調は維持された。新型コロナウイルス感染症の一日の新規感染者数は20人未満に抑制され、接触型消費の全面回復の素地も整いつつある。今後のダウンサイドリスクとしては、不動産開発投資の行方や輸出のコロナ特需の剥落が気になるところである。一方でアップサイドリスクは大規模経済対策が成立した米国を中心とする世界経済の回復加速であり、当然、中国もこの恩恵を受けることになろう。(情報提供:大和総研)(イメージ写真提供:123RF)