ドル円は109円台を割り込み、108円78銭まで反落。2月の小売売上高がマイナスに沈み、株価も下げたことで利益確定のドル売りが優勢となる。 ユーロドルは1.1882まで売られたが反発。株式市場はまちまち。上昇を続けていたダウは8日ぶりに反落。前日比127ドルの下落。一方ナスダックは小幅ながら続伸。債券相場は反落。長期金利は1.61%台に。金は続伸し、原油は3日続落。

2月鉱工業生産           →  -2.2%
2月設備稼働率           →  73.8%
2月小売売上高           →  -3.0%
2月輸入物価指数          →  1.3%
3月NAHB住宅市場指数      →  82

ドル/円    108.78  ~ 109.08
ユーロ/ドル  1.1882  ~ 1.1950
ユーロ/円   129.48  ~ 130.31
NYダウ    -127.51 → 32,825.95ドル
GOLD    +1.70   → 1,730.90ドル
WTI     -0.59   → 64.80ドル
米10年国債  +0.012  → 1.618%

【本日の注目イベント】

日  2月貿易統計
欧  ユーロ圏2月消費者物価指数(改定値)
欧  国際エネルギー機関(IEA)月報
米  2月住宅着工件数
米  2月建設許可件数
米  FOMC 政策金利発表
米  パウエル議長記者会見
加  カナダ2月消費者物価指数

 ドル円は昨日の夕方から欧州時間にかけては上昇し、109円29銭辺りまでドルが買われたものの、NY市場にかけては売りが強まり、109円台を割り込んでいます。109円台半ばをテストする雰囲気でもなく、発表された経済指標でも、2月の小売売上高がマイナスに沈んだこともセンチメントを悪化させ、108円台後半までドル売りが進みました。NYダウは7連騰した後だけに、FOMCを控えて一旦ポジションを整理する動きが出たのも当然です。
 ドルの反落も、株式市場の下げも、いずれもFOMC前の利益確定の動きと理解できます。

 2月の小売売上高が「-3.0%」であったことはややサプライズでしたが、これは厳しい寒波に襲われたことによる一時的な落ち込みの可能性があると受け止められています。
 また1月分が速報値の「5.3%」から「7.3%」に上方修正されたことも安心感を与えています。所得制限はあるものの、追加経済対策の実施による1400ドル(約15万円)の直接給付金がすでに開始されており、3月も含め、今後同指標は上振れするものと見られます。
 政府から届く1400ドルの小切手は個人消費を刺激するものと思われ、ネット上では「もうStimmy(スティミー)は届いた?」といった書き込みが多く見られると、日経新聞「ウォール街ラウンドアップ」が報じています。
「Stimmy」は「Stimulus Check」(景気刺激策の小切手)の俗語だそうです。
 また強気の予想で知られる米ゴールドマンは、10-12月期(第4四半期)の米成長率を8%になるとの見通しを示し、直近では「6.2%」の失業率も来年は「3.5%」、2023年には「3.2%」まで低下すると予想しています。 「3.5%」という失業率は、コロナ前の2020年2月に記録した過去最低水準に並びます。
 コロナ感染が年内にほぼ終息し、大規模な経済対策が景気を押し上げるといった見通しに基づいているものと思われます。米国がこのストーリー通りに展開すれば、やはりドルがこの先も上昇することにつながりそうです。

 欧州各国ではアストラゼネカ製のコロナワクチンの接種を一時的に見合わせています。同ワクチンが接種後に血栓などの副作用の疑いがあるということでしたが、欧州医薬品庁(EMA)は、同社のワクチンがもたらす恩恵はリスクを上回ると、あらためて強調しています。EMAのクック長官は、「ワクチンに対する信頼性に影響が及ぶ可能性を懸念している」と表明し、「われわれの責務は、当局に承認された製品は安全であり、欧州市民が信頼できるものであると明確に示すことだ」と述べています。
 イタリア政府はEMAが安全だと勧告すれば、アストラゼネカ製ワクチンの使用を再び許可する用意があると表明しています。(ブルームバーグ)

 昨日このレポートで、バイデン大統領が大規模な経済対策の原資として増税を検討していることに触れましたが、その増税の基本は大企業が対象となり、年間所得11万ドル(約1200万円)の世帯を含む中間層には負担軽減を前面に押し出すものになると、ホワイトハウスの経済チームは述べています。ラマムルティ国家経済会議(NEC)副委員長(金融改革・消費者保護担当)は、「大事な点は、この数十年間で極めて好調だった大企業や富裕層はもう少し負担を増やすべきだと、大統領が固く信じていることだ」とブルームバーグ・テレビジョンとのインタビューで述べています。バイデン大統領は25日に、就任後初の「正式な記者会見」を行うことをホワイトハウスのサキ報道官が明らかにしていますが、この会見で経済対策の成果を表明すると同時に、その原資にも触れると見られています。

 本日はFOMCと、日本時間明日の朝方3時半にパウエル議長の記者会見があります。政策変更はないものと予想していますが、足元の物価はFRBが予想しているよりも速いスピードで上昇しています。
 「物価上昇は一時的であり、当局が目標とする物価上昇にはまだかなりの時間が必要だ」といった意味のコメントを残すのか、注目されます。3月4日に行われた、ウォール・ストリートジャーナル(WSJ)紙主催の講演では、市場の期待(?)を裏切る形で金利上昇への対処療法は示さず、「パウエル・ショック」から、金融市場は混乱しました。
 パウエル議長が同じ轍を踏むとも思えず、ここは慎重に言葉を選びながら安心感を醸し出す方策を選ぶと予想しています。

 本日のドル円は108円50銭~109円50銭程度と見ています。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)