米国の長期金利が上昇してきたことにより、史上最高値を更新し続けてきた米国の株価が大きく揺さぶられている。特に、2020年の株高をけん引してきたテクノロジー株の株価の変動率が大きくなっている。三井住友DSアセットマネジメントが設定・運用する「グローバルAIファンド」は、2020年の1年間のトータルリターンが87%と大幅に値上がりしたこともあって、基準価額の値動きが1日で5%程度も動くことがある。現在の市場波乱の受け止め方と運用状況について、三井住友DSアセットマネジメントの田村一誠氏と、同ファンドの運用を実質的に担っているアリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパンの井村真也氏と滝沢圭氏に聞いた。

 ――ファンドの基準価額の値動きが大きくなっています。どのように受け止めればよいとお考えでしょうか?

田村 基準価額の動きを毎日見ていると、1日に5%程度、約1500円も基準価額が動くとヒヤヒヤされる気持ちはわかります。ただ、当ファンドのトータルリターンは今年1月は8.0%、2月は2.23%と、今年になっても月間のプラスリターンを重ねています。日々の基準価額の変動は大きいのですが、それらを1カ月間、1年間と少し長い期間で見ていただくと、当ファンドがしっかりとしたリターンをお返しできる商品であるということが分かっていただけると思います。AI産業の成長は、始まったばかりだと思います。これから続く成長を、長い目で楽しみにしていただきたいと思います。

 ――運用の立場では、現状をどう見ていますか?

滝沢 米国の長期金利が急上昇している局面において、米国のテクノロジー株などの高成長銘柄が下落しているのは確かです。2月下旬から3月の上旬にかけて、米国10年国債利回りが1.6%台に乗せるほどに大きく上昇したために、米国のNASDAQ指数などは高値から10%ほど下落しました。ただ、このような金利の急上昇局面でテクノロジー株が下落するということは、過去にも見られた現象です。ここ10年を振り返っても、2013年、2016年後半、2018年前半などに金利上昇局面がありました。この時にもテクノロジー株は金利が急上昇した際には一時的に下落しましたが、その後は金利が上昇する中でも、業績の伸び率を評価して株価が回復し、結果的に市場インデックスを上回る上昇になっています。

 好業績企業などファンダメンタルズが優れた企業が市場全体の下げに連動して株価が下落した場合は、むしろ、投資のチャンスだと前向きに考えています。

 ――直近の運用状況は?

滝沢 2つの動きがあります。1つは、既に保有している高成長銘柄について株価が下がった局面で一部買い増しています。例えば、テスラは株安で保有比率が落ちたところを買い増して保有比率を引き上げました。また、デジタル広告の分野で今後の成長期待が高いトレードデスクは、ここへきて株価が下落しましたのでウェイトを引き上げています。不動産取引にAIを活用して新しい不動産取引の仕組みを提供しているレッドフィンも、今回の下落局面で買い増しています。

 一方、ワクチン接種の拡大によって今後の経済回復が見込まれる中で、AIを活用して事業効率を高めようと取り組んでいる企業群について昨年夏頃から、新たな組み入れ対象として保有を進めています。デルタ航空、ゼネラル・エレクトロニクス、JPモルガン、ディズニーなどが、今年になってパフォーマンスに寄与するようになっています。NYダウに採用されるような伝統的な大型企業が多いですが、これら企業がAI活用によって非常に大きな変化が生じています。

 また、今年になって投資を開始しているシュルンベルジェは油田開発や油田探査用機器の開発・サービスを行っている会社ですが、油田の探査や掘削機器の管理にAIを用いるなど、デジタル部門が売り上げの15%、利益の30%を占めるほどに成長しています。このようにAIを活用したデジタル部門の成長、業績への貢献を評価して、新規で組み入ています。

田村 JPモルガンやシュルンベルジュなど、一見テクノロジーとは縁遠いような産業でもAIの活用が始まっています。当ファンドでは、AIについて「インフラ」「開発」「活用」という3つの側面で銘柄を評価して組み入れるようにしています。昨年の上昇局面では「インフラ」「開発」といったテクノロジー企業の株価がけん引していましたが、今年になってから「活用」の部分で組み入れている銘柄がパフォーマンスに貢献しています。AIの進展に伴って、投資対象が広がり、これまで以上に幅広い投資対象の中から、より優れた企業を厳選して投資できるような環境になっていることが、ファンドの成績を押し上げていると感じています。

井村 AIの3つのカテゴリーは、設定時からイメージしていました。運用チームは、「AIのエコシステム」と呼んで、「インフラ」から「開発」、「活用」までを一連の調査でカバーしています。AIの「インフラ」と「開発」だけでは一般的なテクノロジー株ファンドとしての側面が強くなりますが、「活用」を加えることで、テクノロジー株ファンドにプラスαの魅力を加えたユニークな商品価値があると考えています。

 ――株価上昇で売却した銘柄はありますか? また、テスラは昨年は株価が8倍になり、割高を指摘する声も高いのですが、買い増しているのはどういう理由ですか?

滝沢 昨年後半に株価が大きく上昇し、目標株価に到達した一部の高成長銘柄については、昨年の10-12月期や、今年の1月などに売却をして対応しています。

 一方、テスラについては、長期での高い成長性を見て評価しています。電気自動車(EV)の普及は始まったばかりで、これから世界的な市場拡大が期待されます。さらに、自動運転技術や蓄電池などの事業が業績に貢献する中で利益率が更に向上すると見られ、これから成長が加速するステージにあると考えられます。今年の利益に対するPER(株価収益率)などで株価を見ると高過ぎるとみえるかもしれませんが、これからの成長を評価すると、まだまだ大きなアップサイドがあると判断しています。

 ――ESGの視点では、シュルンベルジュなど温暖化ガスを排出する企業は時代に合わないように感じますが?

井村 シュルンベルジュは石油の探査、埋蔵量の解析や開発・生産に至る技術・サービスを提供する企業であり、一見すると二酸化炭素(CO2)を排出する側として投資を回避したいところですが、今は、水素や地熱、またCO2回収技術等の再生エネルギー分野を強化しています。同社のAIやデジタル技術は、このような新たな成長市場において重要な役割を果たすと考えています。

 また、ベーカー・ヒューズという油田サービスの会社がシースリーAIというAIのソフトウエア会社との戦略パートナーシップにより、排出されるCO2の回収についてモニタリングし、解析するシステムを開発しています。日々回収するCO2のみならず、将来の回収見通しまで分析ができるようになっています。このように、伝統的企業とみられている企業の中にもAIを活用することによって、新たな企業価値を生み出そうとしている企業があります。

 アナログデバイシーズという会社は、電気自動車用の走行に影響するバッテリーを効率的に管理する半導体を開発し、再生エネルギー時代を支えるAIインフラの1つになろうとしています。テスラの電気自動車や蓄電装置、太陽光発電等も脱炭素社会に向けたプラットフォーマーの一翼を担うと期待されるという点も、当ファンドで評価しています。

田村 脱炭素という点では、世界中が2050年までに温暖化ガスの排出をゼロにする目標を掲げていますが、この目標を達成するためには、現在ある技術だけでは不可能なのです。蓄電池にしても効率的な送電網にしてもテクノロジーによる技術革新ありきで「2050年カーボンニュートラル」の目標が掲げられています。世界で研究開発投資を行っています。大きな成長期待があることは間違いありません。

 このように、「グローバルAIファンド」は、非常に大きな追い風を受けています。この大きな波をしっかりとらえて離さないことが、資産形成で大きな果実を得るポイントになると思います。「いつ売るか」ではなく、「どれだけ長く保有するか」だと考えられます。このファンドが見ている5年先、10年先の未来に思いをはせていただき、じっくりと運用の成果をお待ちいただきたいと思います。

 また、これから投資する方にも大きな期待が持てるファンドであると思います。価格の変動が気になる場合は、一括で投資するのではなく、何度かに分けて投資すれば価格変動のリスクを平準化することもできると思います。ぜひ、投資対象として「グローバルAIファンド」をご検討ください。

 当ファンドは2016年9月9日の設定から4年半が経過しましたが、この間にも幾度かの波を経験してきています。これまでを振り返ると、波を受けて沈んだところが大きなチャンスでした。AIは、様々な技術革新に欠かせない産業のプラットフォームのような存在です。自動運転やロボテック、バイオなど楽しみな技術はありますが、AIをベースに持つことで、今が旬と考える投資テーマを上乗せするなどという活用の仕方もあると思います。大きな楽しみが待っている「グローバルAIファンド」を、長期の視点でご活用ください。(情報提供:モーニングスター社)