三井住友DSアセットマネジメントが設定・運用する「グローバルAIファンド(為替ヘッジあり)」がファンド オブ ザ イヤー2020で最優秀ファンド賞を受賞した。2020年のトータルリターンは96.64%と類似ファンドから抜きん出て高く、かつ、運用の効率を示すシャープレシオは3.03と極めて効率的な運用ができている。同ファンドの運用の特徴について三井住友DSアセットマネジメントのグローバルパートナー運用部シニアファンドマネージャーの田中弘幸氏(写真:右)と、実質的な運用を担っているアリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパン営業本部の井村真也氏(写真:中央)と運用部の滝沢圭氏(写真:左)に聞いた。

 ――2020年のトータルリターンは96.64%と2019年の28.34%を上回って大きく伸びました。2年連続で高いリターンを残しましたが、特に20年が跳びぬけて大きな成果になった理由は?

滝沢 コロナ禍でデジタルトランスフォーメーション(DX)への注目度が急速に高まり、AI(人工知能)の利用が加速し、コロナ禍における勝ち組企業としてAI関連株が脚光を浴びたことが、2020年のパフォーマンスを押し上げた要因だと思います。また、デジタル化に関する関心が高まったことで、従来はアマゾンやマイクロソフトなど大企業が注目対象でしたが、革新的なサービスを提供する中小企業の取り組みにも関心が広がってきました。運用チームは中小企業についてもきめ細かな調査を行い、ポートフォリオに積極的に組み入れていることが、パフォーマンスに反映されたと思います。

 DXやAI関連企業は、これから更に業績が伸び、成長率が高まっていくと見ていますので、これからの成長の加速を株価は引き続き評価していくと思っています。AIはニューノーマル時代に利用が加速していますが、あらゆる産業への普及というのはこれからであり、AI革命はまだ始まったばかりであると考えています。

田中 2020年のパフォーマンスの結果について運用責任者のセバスチャン・トーマス氏に聞いたところ、「投資ユニバースの中身が良くなった」と言っていました。ファンド設定時はAIの黎明期で選べる銘柄にも限りがあったものの、どんどん対象銘柄が広がり、企業も技術水準もどんどん良くなっている。ユニバース自体が良くなっていっているので、ポートフォリオに組み入れる銘柄もどんどん良くなっているということなのです。

 ――過去1年間のシャープレシオが3.03と極めて効率的な運用ができていますが、リスクを抑えて、より高いリターンが獲得できている理由は?

滝沢 投資効率が良い理由は、上がり過ぎた銘柄については持ち高を減らし、割安な銘柄を買い増すという機動的な売買と、各銘柄に設定している目標株価に到達したら売買判断を行うという規律ある売買を行っている効果が現れていると思います。

井村 機動的な売買は、ポートフォリオのリスク管理にもつながっています。たとえば、昨年初に中国で新型コロナの感染拡大が起こった時にはサプライチェーンの影響を懸念して半導体関連のウエイトを落としています。一昨年、米中貿易摩擦が激しくなった局面でも貿易摩擦の影響の小さいソフトウェアやサービス関連の組入れを増やしています。このように、機動的な売買を行うことで、ポートフォリオのリスクを抑え、シャープレシオを引き上げる要因にもなっていると思います。

 また、投資銘柄に設定している目標株価は、アップサイドの目標株価に加えて、ダウンサイドの目標株価も設定しており、万が一そこに到達した場合は損切りを行います。下値まで目標株価を設けているのは珍しいと思うのですが、この辺にも機動的、かつ、規律ある運用というアリアンツの特徴が表れていると思います。

田中 当ファンドの運用で印象的だった出来事の1つが、一昨年の夏にWeWorkの上場延期などがあって高成長銘柄が大きく売られる局面で、成長力の高い銘柄をいろいろと購入していたことです。この時に購入していた銘柄が、コロナ禍でDX関係が脚光を浴びた時に株価が大きく上昇しました。また、昨年は4-6月に基準価額が大きく回復したのですが、6月以降には株価が大きく値上がりした銘柄のポジションを外していくという作業をしていました。機動性のある売買の背景には、先々を見通す力が大きく寄与していると感じました。

 ――運用はサンフランシスコにあるアリアンツ・グローバル・インベスターズUSのテクノロジー運用チームが行っているということですが、チームのメンバーの変更など、運用チームに変更はありませんか?

滝沢 運用チームはファンド設定後に大きく変更はありません。シニアのポートフォリオマネジャー3人は、それぞれ運用経験が20年以上あるベテランですが、加えて、経験豊富なアナリスト2名がチームにおり、このメンバーにもしっかりとポートフォリオ運営の引継ぎ等を行いながら運用を続けています。ポートフォリオマネジャー3名は同等の能力や権限をもって運用にあたっていますので、特に、誰かが抜けると運用が壊れるようなキーマンリスクはありません。

 コロナ禍によって、ビデオ会議などが当たり前になって、今まで以上に企業との面談、ミーティングがフレキシブルに、よりやりやすくなりました。また、サンフランシスコには別のテクノロジー運用チームがあるのですが、このチームとの情報交換会議が以前よりも活発になっていて、投資アイデア交換やポートフォリオの中身の検討などについてディスカッションできているのも、運用にプラスに働いていると思います。

 ――今後のAI関連業界の見通しについて、運用チームはどのように考えているのでしょう?

滝沢 引き続き堅調な推移を予想しています。現在、2020年10-12月期の業績が発表されていますが、中小型企業を中心に、成長率を加速させている企業が、相当あります。

 これからコロナのワクチン接種が広がって経済の正常化が進むことになりますが、一度、AIを使って便利で効率的なサービスを使い始めると、それを止めてしまうということは想像し難いので、堅調な需要は続くでしょうし、コロナで業績が厳しくてデジタル化投資ができなかった企業も経済正常化によって投資が進むことになると思います。したがって、企業業績については、高い成長が継続するとみています。

 今年は、金利が上がってくることが懸念材料になっていますが、この1-2月に金利が上昇する中にあっても、当ファンドは引き続き基準価額が上昇し、インデックスをアウトパフォームしています。テクノロジー関連企業だけではなく、AIを活用しているヘルスケア、金融、消費関連企業にも投資し、これらの企業の株価もパフォーマンスに貢献していますので、金利が上昇する局面でも引き続き堅調なリターンを提供できるのではないかと考えています。

井村 今年は新たな注目テーマとして、AIの5つの側面に注目しています。まず、「交通輸送に変革をもたらすAI」として、自動運転技術の進化・発展に寄与するAI企業群です。電気自動車の他、トラックなど産業用、そして、無人のドローンなど自動運転は広がりがあるテーマです。次に、ヘルスケアの分野で、コロナをきっかけに「より個別化された健康促進サービス」が普及するとみています。また、「サプライチェーンを最適化するAI」です。コロナ禍で中国などに集中していた拠点を分散し、再構築する動きが活発化し、AIを使った効率化の動きが出てきています。4点目は引き続き「DX関連のAI」です。最後は、「金融分野」で、セキュリティーも含めて大きな動きが期待されます。

 これまでも、年ごとにけん引するAIが変わってきたように、今年、来年にも新しいけん引企業が出てくると期待されます。

 ――基準価額が4万円に近づいて、この価格の水準だけで購入をためらう投資家の方もいると思いますが、どのようにして当ファンドを運用に取り入れればよいのでしょう?

田中 これから10年間を展望した時に、どの産業が一番伸びるかを考えると、テクノロジー企業の成長率が高いであろうことは多くの方に同意していただけると思います。AI業界は、5年で2倍程度の規模に拡大する見通しで、10年では4倍~6倍に成長すると期待されます。このような大きな成長を展望すれば、足元で基準価額が500円や1000円動いたところで、小さな変化でしかないといえます。投資のタイミングというよりも、どの程度保有するかということがポイントではないでしょうか。

 当ファンドは設定してから4年5カ月ですがポートフォリオの長期予想EPS成長率(年間ベース)を均してみると年率20%で推移してきました。価格変動が気になる方は、毎月、積立てで購入されることも方法です。市場の変動によって当ファンドの基準価額も影響を受けて値下がりすることもあるでしょうが、向こう10年というような長期に成長を期待していただけるファンドだと思います。ぜひ、資産形成の手段としてご検討ください。(情報提供:モーニングスター社)