NY株式市場でリスク選好が強まったことを受けドル円は続伸。節目の105円台半ばを超え、105円57銭までドル高が進み、この日の高値で取引を終える。
 ユーロドルでもドル高が進み、1.20の大台を割り込む。一時は1.1955近辺までユーロが売られ、昨年12月1日以来となるユーロ安・ドル高が示現。
 株式市場は大幅に続伸。市場の熱狂が落ち着き、労働市場の改善も見られたことでダウは4日続伸。ナスダックと、S&P500は揃って最高値を更新。
 債券は小動き。長期金利は1.14%近辺で引ける。ドル高が一段と進んでことで金は大きく売られ、1800ドルの大台を割り込む。原油は4日続伸し、56ドル台に。

新規失業保険申請件数     →  77.9万件
12月製造業受注       →  1.1%
11月耐久財受注(改定値)  →  0.5%

ドル/円    105.22  ~ 105.57
ユーロ/ドル  1.1955  ~ 1.1997
ユーロ/円   126.11  ~ 126.32
NYダウ    +332.26 → 31,055.86ドル
GOLD    -43.90  → 1,791.20ドル
WTI     +0.54   → 56.23ドル
米10年国債  +0.002  → 1.139%

【本日の注目イベント】

日  12月景気先行指数(CI)(速報値)
独  独12月製造業新規受注
英  ベイリー・BOE総裁講演
米  1月雇用統計
米  12月貿易収支
米  12月消費者信用残高
加  カナダ1月就業者数
加  カナダ1月失業率
加  カナダ12月貿易収支

 ドル高が一段と進みました。
 「テクニカルではドル上昇傾向は鮮明」と、3日(水)の本アナリストレポートで指摘しましたが、ドル円は抵抗帯と見られていた105円30銭~105円50銭のゾーンを抜け、105円57銭までドル高が進みました。この水準は昨年11月11日以来となるドル高水準になります。ユーロドルでも同じように、大きな節目であり、重要なサポートであった1.20を割り込み、1.1955近辺までユーロが売られています。米長期金利は大きく動いていないため、この日は「リスク選好」でドルが買われた格好になっています。その結果、金(GOLD)も大きく売られています。

 「有事のドル買い」があったかと思えば、今度は「リスクオンでドル買い」と、個人投資家泣かせの相場展開です。ここはやはり、「テクニカル」が基本になるという状況でしょう。ここまで来ると、市場関係者の「相場観」も変更を余儀なくされると、見ています。「思った以上にドルが強い」といった考えが、じわじわと浸透してきそうです。
 やっかいなのは、ドル高の勢いが緩やかなため、なかなかショートを切る決断が下せないことです。一気にドル高が進めば、それなりに損を確定させる気にもなりますが、足元の状況は、ドル買いの勢いが緩慢で、さらに東京時間ではドルの上値が重いものの、NYを終えて帰ってくると一段とドルが買われている状況です。
 こうなると、輸出企業の為替担当者としては「あわてずに、ゆっくりとドル売り注文を出そうか」ということになり、反対に輸入企業の為替担当者はあわてて予約を持ち込む状況になります。これが「リーズアンドラグズ」と言われる行動です。
 この動きが定着すると、市場の需給関係が大きく変わる可能性もあります。貿易に関わる為替量よりも、はるかに大きい投資に関わる需給にも変化が出て来ることも予想されます。生命保険会社など機関投資家が、外債投資に関わる為替リスクを、ヘッジなしにしたり、あるいは、これまでのヘッジを外したりする行動も予想されるからです。

 昨日発表された新規失業保険申請件数は前週よりも減少していました。前日発表されたADP雇用者数も、市場予想を大きく上回る増加を示していました。
 労働市場が改善傾向を鮮明にして来た可能性も指摘されます。今夜の雇用統計がますます注目されることになりますが、市場予想を大きく超えるようだと、106円テストもないとは言えません。
 その雇用統計では、非農業部門雇用者数が現時点では10万5000人の増加と予想されていますが、今週は初めには「5万人」、その後は「7万5000人」に上方修正され、さらに直近では10万人を超える予想になっています。上記、新規失業保険申請件数やADP雇用者数の内容から、本番の雇用統計での予想値も増えている状況です。ただ注意したいのは、仮に予想を大きく上回る結果であったら、バイデン大統領が提案している大規模な追加経済対策の「論拠」が崩れ、正当
化されないことになります。
 その結果、債券が買われ、金利が低下する可能性があり、その場合には「ドル売り要因」の一つになると考えられる点です。

 個人投資家による投機的な株の売買も鎮静化してきました。ネット掲示板「レディット」を駆使して多くの個人投資家が結託してヘッジファンドを相手に闘ったことから、彼らを「レディット集団」とも称されていますが、昨日イエレン財務長官は、ここ最近の株式市場での熱狂的な動きについて、より深い理解が必要だとの認識を示しました。
 イエレン氏は、「行動に移る前に何が起きたのかを深く理解する必要がある。しかし、われわれがこれらの出来事を慎重に注視していることは確かだ」と述べ、「金融市場が適切かつ効率的に機能し、投資家が保護されていることを確実にする必要がある」と指摘しました。イエレン氏のほか複数の米監督当局者は、何らの行動が必要かどうか協議する予定です。(ブルームバーグ)市場が再びリスク選好に傾いてきたため、先週一時「37.2」まで上昇した「VIX指数」は、足元では「21.7」と急低下しています。

 本日は、上でも述べたように雇用統計の結果が注目されます。
 ドル円は105円~106円程度といった予想をしていますが、106円台では一旦ドルを手放す動きも出て来るのではないかと考えています。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)