ここ数日、米国の株式市場を中心に今年最大の下げ幅を記録するなど、株高への警戒感が強まっている。そんな中で硬直状態だったドル円相場も、これまでの円高基調から米ドルが買われるトレンドへの転換を見せている。株高=バブルという声が聞こえ始める中で、為替市場はどう動いていくのか・・・。外為オンラインアナリストの佐藤正和さん(写真)に、2月の為替相場の動向をうかがった。

 ――ここ数日ほどドルが買われましたが、2月の動向は?

 新型コロナウィルスによるパンデミックを横目に見ながら、米ナスダック市場などを中心に株価上昇を続けてきた株式市場ですが、さすがにここにきて株価が乱高下する展開になってきました。株安に連動する形で、「有事のドル買い」が復活し、このところ続いていた1ドル=103円台のドル円相場も、約2週間ぶりに104円台まで上昇。安全通貨の円が買われるトレンドは、長続きしない相場になっています。

 さらに、恐怖指数=VIX指数も「37」台まで上昇。昨年11月以来のレベルにまで上昇しました。年率1.19%まで上昇した米国長期国債の金利も1.04%まで下落し、本来であれば円が買われる局面ですが、円と米長期金利との相関関係が弱まっている可能性もあります。

 現在の株安、ドル買いの動向が、2月相場まで続くかどうかは微妙なところですが、新型コロナのワクチン接種の状況などによって、異なる動きになるかもしれません。いずれにしても、コロナ禍の収束のめどが立つまではこの状況が続くと考えた方がいいでしょう。

 ――バイデン政権の政策内容が徐々に見えてきましたが、金融市場に与える影響は?

 議事堂乱入事件など紆余屈折を経て誕生したバイデン政権ですが、米国の場合、新大統領に対しては、メディアや国民も100日間はハネムーン期間として、好意的に見る風習があります。現在の株安も政権移行期にありがちな市場の混乱かもしれません。

 さらに、コロナ禍による経済の落ち込みが、2020年10-12月期決算で少しずつ明らかになってきていますが、中央銀行にあたるFRB(米連邦受微理事会)のFOMC(米連邦公開市場委員会)でも、継続して金融緩和を続けて行く姿勢を鮮明にしています。金融緩和の縮小を意味する「テーパリング」の噂も、「程遠いものがある」と強く否定しており、景気の落ち込みに対する対応には安心感があるようです。

 ただ、ひとつ懸念があるのはトランプ前大統領に対する弾劾裁判が、2月9日にもスタートすることです。再びアメリカ中が混乱するような事態にならないか、注視する必要はあるかもしれません。もっとも、弾劾裁判でトランプ氏が有罪になる可能性は低いようです。弾劾裁判の進行に賛成した共和党の上院議員はわずか5人で、トランプ前大統領の有罪に持ち込むために必要な17人には到底及ばないようです。

 ――ドル円以外の動向はどうなるでしょうか?

 新型コロナウィルスによる感染拡大の第2波に襲われている欧州では、なかなかロックダウンが解除されずに、経済の疲弊が懸念されています。そんな状況の中で、欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのクロット・オランダ中央銀行総裁は、金融状況の改善とインフレ目標達成のためには、中央銀行の預金金利の引き下げを行う余地があると発言して、注目を集めました。

 とは言え、現在のECBの政策金利はマイナス0.5%であり、これをさらに引き下げるのは難しいと思われます。ユーロ高を牽制した発言と見るのが自然かもしれません。とは言え、買われ続けてきたユーロもここにきて転換点を迎えつつあるようです。

 オーストラリアも、トランプ政権が去ったからといってオーストラリアと中国の関係が急速に改善されるものでもなく、中国経済への依存度の高い豪ドルは、円やユーロ同様に対ドルで売られています。ここに来て、これまでのドル安の流れにやや変化が出てきました。

 ――2月の各通貨の予想レンジは?

 こうした流れの中で2月相場のレンジを考えてみると、やはり全体的にはドル高のトレンドが続く可能性が高いと思います。株安に明確な理由もなく、特別な材料にも乏しい状況です。相場の格言に「閑散に売りなし」というのがありますが、リスク回避のためのドル買いが続くと見ていいかもしれません。2月の予想レンジは以下の通りです。

●ドル円・・1ドル=103円-105円
●ユーロ円・・1ユーロ=124円-128円
●ユーロドル・・1ユーロ=1.19ドル-1.23ドル
●ポンド円・・1ポンド=140円-147円
●豪ドル円・・1豪ドル=78円-81円

 ――2月相場の注意点を教えてください。

 材料に乏しく、コロナ禍の影響が出て景気指標の下ぶれリスクはあるかもしれませんが、2月相場もボラティリティーの少ない、穏やかで静かな相場になる可能性が予想されます。

 こうしたマーケットでは、こまめに利益確定することが大切になります。コツコツと利益を確保していくテクニックを使いながら、ドル高をベースとした小幅な利益確定を繰り返す戦略を考えていくことが重要です。(文責:モーニングスター編集部)