ファーストコーポレーション <1430> は造注方式を特徴として、分譲マンション建設などを展開するゼネコンである。成長戦略として再開発事業にも注力している。21年5月期は完成工事高の拡大と完成工事総利益率の上昇で2桁営業増益予想としている。そして第2四半期累計は2桁営業増益と順調だった。通期ベースでも収益拡大を期待したい。株価は昨年来高値圏から反落してモミ合う形だが調整一巡感を強めている。上値を試す展開を期待したい。
 
■造注方式が特徴のゼネコン
 
 東京圏(1都3県)中心に分譲マンション建設などを展開するゼネコンである。造注方式による大手マンション・デベロッパーからの特命受注と高利益率、品質へのこだわりによる安心・安全なマンション供給を特徴としている。
 
 造注方式というのは、当社がマンション用地を開発し、マンション・デベロッパーに対して土地・建物を一体とする事業プランを提案し、マンション・デベロッパーから特命で建築を請け負うという受注方式である。入札方式に比べて好条件での請負が可能となる。大手を中心とする優良なマンション・デベロッパーである。
 
 品質に関しては「安全と品質の最優先」を掲げて、施工品質管理標準・マニュアル類の整備、階層別研修会の実施、施工検討会による安全で堅実な施工計画の策定、巡回検査による正確性の担保など、良質で均一な品質を維持するための取り組みを推進している。また第三者機関による検査導入については、施主が第三者機関による検査を実施しない場合でも、建造物の安全性を確保するために重要な杭工事、配筋工事、レディーミクストコンクリートを対象として、当社が自前で第三者機関による検査を導入するなど、安心・安全なマンション供給に向けた体制を整備している。
 
 20年10月には、東京理科大学の認定ベンチャーであるサイエンス構造と、新たな免震集合住宅の工法として「ジーナス(ZENAS)工法」を開発し、建築構造物の「新構造システム」に関する特許および実用新案を共同出願した。
 
 完成工事高の収益認識は工事進行基準だが、不動産売上(マンション用地販売)によって四半期業績が変動する可能性がある。利益還元方針は、配当性向30%以上で経営成績や内部留保確保等を勘案して決定するとしている。
 
■利益率向上を図る
 
 中期経営計画「Innovation2020」では目標数値を、23年5月期売上高260億円、営業利益22億54百万円、経常利益22億円、純利益14億82百万円、受注高220億円としている。
 
 業容の拡大と利益水準の向上に継続的に取り組むとともに、重点施策として中核事業(造注方式、建築事業)強化の継続、再開発事業への注力、事業領域拡大(大規模修繕、収益不動産など)による新たな価値創出、人材の確保・育成および働き方改革の推進に取り組む。
 
 再開発事業への注力では、JR前橋駅北口地区第一種市街地再開発事業に共同施工者として参画し、20年11月に施設建築物新築工事を着工(JV受注、23年10月工事完了予定)している。前橋市内初の超高層・免震タワーマンションとなる。さらに他の再開発案件にも積極的に参画していく方針だ。
 
 また中期的な定量目標としては、完成工事総利益率13%以上、売上高営業利益率8%以上、自己資本純利益率(ROE)20%以上、自己資本比率50%以上を目指すとしている。造注比率向上と生産性向上による利益率の底上げ、内部留保の蓄積による自己資本の充実、手持不動産の売却および有利子の圧縮による財務体質の向上を図る方針だ。
 
■21年5月期2桁営業増益予想で2Q累計順調
 
 21年5月期業績(非連結)予想は、売上高が20年5月期比9.9%減の211億円、営業利益が11.7%増の15億円、経常利益が9.5%増の14億20百万円、純利益が9.5%増の9億55百万円としている。受注高の計画は9件で前期比51.5%増の217億円(うち造注方式が4.3倍の80億円)としている。配当予想は2円増配の22円(期末一括)である。
 
 第2四半期累計は、売上高が前年同期比13.2%増の76億70百万円、営業利益が11.9%増の2億50百万円、経常利益が0.7%増の2億24百万円、純利益が1.7%増の1億47百万円だった。
 
 売上面では、不動産売上が前期大型案件の反動で減収、共同事業収入が新型コロナウイルスの影響で減収だが、完成工事高が18.6%増収と順調に増加した。営業利益は増収効果で2桁増益だった。経常利益は金利負担増加で小幅増益にとどまった。なお受注高は6件で合計133億57百万円だった。
 
 通期ベースでも不動産売上と共同事業収入が減収だが、大型造注案件の受注と進行工事数の増加で、完成工事高の増加および完成工事総利益率の上昇(20年5月期実績9.4%、21年5月期計画10.2%)を見込み、全体として減収ながら2桁営業増益予想としている。さらに計画外案件の成約によって利益の上積みを目指すとしている。通期ベースでも収益拡大を期待したい。
 
■株主優待制度は毎年11月末、保有期間に応じた内容に変更
 
 株主優待制度は毎年11月末現在の株主を対象としてクオカードを贈呈する。なお20年11月末適用から、保有株式数および保有期間に応じた優待内容(詳細は会社HP参照)に変更した。
 
■株価は調整一巡
 
 5月26日発表の自己株式取得(上限100万株・7億円、取得期間20年6月1日~21年5月31日)については、20年12月31日時点で累計取得株式数67万1100株となっている。
 
 株価は20年10月の昨年来高値圏から反落してモミ合う形だが調整一巡感を強めている。上値を試す展開を期待したい。1月15日の終値は709円、今期予想PER(会社予想のEPS74円98銭で算出)は約9倍、今期予想配当利回り(会社予想の22円で算出)は約3.1%、前期実績PBR(前期実績のBPS466円55銭で算出)は約1.5倍、時価総額は約95億円である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)