ドル円は荒っぽい展開に。ジョージア州で民主党が勝利との報道に102円台後半から103円44銭まで上昇。長期金利の上昇がドルを押し上げた格好だったが、その後ワシントンでの混乱から再び103円を割り込む。ユーロドルは続伸。1.2345までユーロ高が進み、対円でも127円台に。株式市場は「トリプルブルー」を好感し続伸。ダウは437ドル買われた。ただ金利高からナスダックは78ポイント下落。債券は大幅に売られ、長期金利は1%の大台を突破。金は金利上昇を嫌気して大幅反落。原油は続伸し引け値で50ドル台に。
  
12月ADP雇用者数                →  -12万3千人
12月マークイット製造業PMI(改定値)      →  55.3
12月マークイットサービス業PMI(改定値)    →  54.8
11月製造業受注                  →  1.0%

ドル/円  102.88  ~ 103.44
ユーロ/ドル 1.2266 ~ 1.2345
ユーロ/円  126.79 ~ 127.01
NYダウ  +437.80 → 30,829.40ドル
GOLD  -45.80 → 1,908.60ドル
WTI  +0.74  → 50.63ドル
米10年国債  +0.081 → 1.035%

【本日の注目イベント】

豪   豪11月住宅建設許可件数
豪   豪11月貿易収支
独   独11月製造業新規受
欧   ユーロ圏12月消費者信頼感(確定値)
欧   ユーロ圏11月小売売上高
欧   ユーロ圏12月景況感指数
欧   ユーロ圏12月消費者物価指数(速報値)
米   新規失業保険申請件数
米   11月貿易収支
米   12月ISM非製造業景況指数
加   カナダ11月貿易収支
米   エバンス・シカゴ連銀総裁講演
米   ブラード・セントルイス連銀総裁講演
米   ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁講演
米   デイリー・サンフランシスコ連銀総裁講演
米   バーキン・リッチモンド連銀総裁講演

 ジョージア州で行われた米上院決選投票と、選挙人投票を集計し、次期大統領を正式に決める上下両院合同会議という「2つのイベント」を巡り、金融市場は乱高下しました。為替も株も債券も大きく値が動き、金価格にも影響が出ています。

 「トリプルブルー」・・・・。ジョージア州の連邦議会上院2議席の決選投票で、民主党候補が2議席を取り、6年ぶりに上院で主導権を握ることになりました。この動きを織り込む格好で、株式市場では株価が急騰。財政支出の拡大観測から景気敏感株が値を飛ばし、ダウは一時600ドを超える上昇を見せた一方、金利上昇からハイテク株の多いナスダックは下落しました。引け値で、ダウは437ドル上昇しS&P500も21ポイント上昇したものの、ナスダックは78ポイント下げ、これほど上げ下げまちまちの展開も稀です。

 バイデン政権での財政支出拡大観測から債券市場では債券が大きく売られ、長期金利は1%の節目を超え、1.05%台まで上昇しました。米長期金利が1%を超えるのは昨年3月以来のこととなります。昨日の東京時間に102円60銭を割り込んだドル円は、103円台を回復し、長期金利の上昇を手掛かりに103円44銭までドルが急反発しました。この日ドル円は株価の上昇ではなく、金利の上昇に素直に反応した格好となっており、今週指摘したように、今回も102円台半ばが結果的にサポートになっています。株価の上昇はドル安傾向に振れる流れが定着しつつありましたが、さすがに1%を超える金利上昇では金利に注目せざるを得ないのかと思います。そもそも為替に最も影響を与える要因は、長期的に見れば金利であり、日米金利差であると筆者は考えています。

 ただこのままで終わらなかったのが昨日の金融市場でした。ワシントンで行われた大統領選勝利者を認定する合同会議を巡って、トランプ支持者が連邦議会前に結集し大規模なデモを行い、一部の支持者は議会議事堂に乱入しました。混乱を鎮めるため警察が出動し、警察は催涙スプレーを使いデモ隊に対応した模様です。一部には銃声も聞こえたとの報道もあり、トランプ大統領はツイッターで「Stay peaceful」(平和的な行動を)と呼びかけていましたが、一方では支持者には「絶対に(敗北を)認めない」と述べています。また、大統領選の選挙人投票の集計と結果認定を行う上下両院合同会議を進行するペンス副大統領に対し、バイデン氏を次期大統領に公式認定しないよう求めました。これに対しペンス氏は、大統領選の結果を覆す権限を自分は有していないと表明しています。議会議事堂は建物を取り囲むバリケードをデモ隊が突破したため、ロックダウン状態に置かれ、選挙人集計結果の認定作業は停止し、ペンス氏は議場を離れています。(ブルームバーグ)この事態にNYダウは上げ幅を縮小し、103円台半ばまで上昇したドル円は103円を割り込む水準まで押し戻されています。

 この4年間、トランプ氏の言動に市場は何度も翻弄されてきましたが、最後の最後までその動きは止まりません。一歩退いて、この4年間の言動を公平に見ても、トランプ氏のそれは受け入れ難いものがあると、個人的には思います。しかし一方では、今回の大統領選で7400万票の支持を得たのも事実です。今月20日の大統領就任式に向けて、結果は変わらないと思いますが、残念なことに米国の「分断」がかつてないほど強まったことは認めざるを得ません。バイデン次期大統領にとって、この分断の波はコロナを収束させる以上に難しいかもしれません。コロナにはワクチンがありますが、米国の分断に効く薬は今のところないからです。

 2つのビッグイベントの影響で、ADP雇用者数の結果が消されてしまった感がありますが、12月の雇用者数は予想の「プラス7.5万人」に対して「マイナス12.3万人」でした。内訳では、娯楽、ホスピタリティ、小売業界で雇用の減少が集中しており、やはりコロナの感染拡大にともなう行動制限の影響を大きく受けていると見られます。ADP雇用者数のマイナスは昨年4月以来のこととなりますが、明日の雇用統計でも大きく下振れするリスクはありそうです。米景気が再び下降傾向を見せたと判断されれば、好調な株価にも急ブレイキがかかり、ドル売りがさらに進む可能性も排除できません。1日で30万人近くが新規に感染する米国では、ワクチンの接種が想定されていたよりも遅れているようです。現在、医療従事者を優先的に行っていますが今後は、教育関係者、救急や公安、さらには交通機関の要員、そして75歳以上の高齢者に接種を行う予定です。クオモNY州知事は、「ワクチンは供給面でまだ問題がる」と述べています。

 ドル円のボラティリティも徐々に上がっています。より慎重な取引を心掛けたいものです。本日のドル円は102円60銭~103円40銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)(イメージ写真提供:123RF)