2020年の香港IPOは、新規上場銘柄数が142銘柄、上場時の資金調達額(オーバーアロットメント等による追加を除く)は約3169億8328万香港ドル(約4兆2222億円)と、2019年の165銘柄3599億2692万香港ドル(約4兆7942億円)を下回った。1336億香港ドル(約1.8兆円)の資金調達規模で11月5日に予定されたアント・グループのIPOが実施されていれば、少なくとも資金調達額では2019年を大幅に上回ったと考えられるため、コロナ禍によって1月下旬から2月上旬にはIPO市場が一時的に機能マヒしたかのような状態があったものの、1年を通じて活発な新規上場が続いた。

 新株の売り出しを行った銘柄の初値状況は、70銘柄(49.30%)が公募価格を上回って生まれた。公募価格比で初値の上昇率は10月15日に上場した捷心隆(02115)の222.22%が最高。この銘柄は、10月8日の上場予定をアンダーライターを変更して繰り下げて上場したものだが、おそらく、公募時の価格の設定方法に問題があったと考えられる。ちなみに、2019年は86銘柄(52.12%)が公募価格を上回って誕生し、公募価格に対し127%上昇した華営建築(01582)が最高の上昇率だった。

 世界の注目を集めたアント・グループのIPO見送りは、同グループに対して小口融資業務に対して銀行同様の自己資本を積むなどビジネスモデルを大きく変更することを当局から求められ、現在、金融持ち株会社化に向けた大規模な組織改編が計画されていると伝えられている。同グループでは、アリペイによる資金決済プラットフォームの他、小口融資(クレジットテック)、「インベストメントテック(理財商品)」、「インシュアテック(保険商品)」へと事業を拡大している。これらを、それぞれ子会社として分離し、金融当局の求める自己資本比率を確保した上で、金融持ち株会社の傘下に組み込むという構想だという。これによって、同グループの成長の魅力は減退したという見方が強く、中には企業価値が半減したという報道もある。2021年に再上場の手続きが取られるのかどうか、今後の動向が注目される。(イメージ写真提供:123RF)